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Nintendo Switchの後継機によるバーチャル界への影響について

2017年3月3日にNintendo Switchが発売されてから、今年、2024年で7年の月日が経過しています。既に任天堂の古川社長は後継機を今年度中、つまり2025年3月までに発表することを明らかにしており、ゲームキューブやWii、WiiUといった前世代のハードと比べても長期間となったSwitchの時代もようやく終焉を迎え、後継機へとバトンタッチするタイミングが訪れようとしています。

今回考えたいのは、Switchの後継機登場によって、バーチャル界にどんな影響があるのかということ。Vtuberのゲーム実況というジャンルにおいて、無くてはならないものであったSwitch。果たしてどう変わっていくのか考察してみます。


VtuberによるSwitchタイトル流行の実況は流通が安定した頃と重なる

私はVtuber黎明期についてそこまで詳しいわけではありませんが、バーチャル界においてSwitchのタイトルを用いたゲーム実況が流行したのは、2018年ごろと記憶しています。それ以前は「PUBG」といったどちらかと言うと硬派なタイトルをプレイする方が多く、またキズナアイさんや電脳少女シロさんなど、動画勢が主流でした。

その後にホロライブやにじさんじ、ゲーム部にアイドル部といった2Dを活動のメインとするグループが台頭し、また動画でなく生配信へとトレンドが移り変わっていくのとタイミングを同じくして品薄であったSwitchも安定供給されるようになります。そこからSwitchはVtuberにとって重要なゲームハードとなり、今日に繋がっているのです。

カジュアルにプレイできるタイトルの多さと参加型のやりやすさ

Switchタイトルの良さは何といってもプレイにおけるハードルが低いことが挙げられます。先程言及したホロライブやにじさんじ等のグループが配信活動を開始したタイミングから存在した「マリオカート」や「スプラトゥーン2」、後発の有名タイトルである「ポケモン」や「どうぶつの森」等、挙げていけばキリがないほど“実況映えするゲームソフト”が存在し、ゲームスキルが伴わなかったとしてもある程度の撮れ高が期待できるものが多いです。これは高いゲームスキルを持っていないVtuberさんにとってもゲーム実況のハードルが低くなるという面でメリットと言えるでしょう。

また、視聴者参加型のやりやすさも特筆に値します。特に「マリオカート」はコラボではなく配信者が1人の場合、1度のレースで11人ものリスナーが参加でき、また個人に過度にスポットが当たることもない為、参加へのハードルも低くなります。

ゲームといえばPCというのがVtuberの間では定番ですが、リスナーにはPCを持っておらずスマートフォンで配信を視聴している方も多いです。それに対してSwitchは比較的所持率が高い印象があるので、その面でも優秀と言えます。

配信者、リスナー共にカジュアルにゲームを楽しむことが出来るという点においてSwitchは他の追随を許さず、確固たる地位を築いていると言っていいでしょう。

Switch後継機が品薄の場合、ゲーム実況はどう変わっていくか

ここに来てようやく本題です。Switchと言えば、発売直後、慢性的な品薄が話題となりました。発売から数か月経過してもそれは改善されず、多くの方が難民となったのを覚えています。

Vtuberによる生配信が流行したのは、先ほども書いた通り流通が安定したタイミングであった為、影響はほとんど無かったと記憶していますが、今回のSwitch後継機も品薄となった場合、バーチャル界もその影響を受ける可能性があります。

考えられるのはSwitch後継機を入手できたVtuberさんとそうでないVtuberさんに格差が生まれる点。また、リスナーにハードが行き渡るまでにも時間がかかることが予測される為、Switch後継機専用のタイトルの場合、参加型のハードルも高くなってしまうことも考えられるでしょう。これまでのSwitchの良さであったカジュアルさが失われてしまい、何とも歪な形となってしまうことも考えられます。これまでの任天堂ハードを用いたゲーム実況とは違った形が生まれることもあり得ますね。

品薄にはなりにくいと考察されているが…

一応補足しておくと、Switchが品薄であったのは前世代のハードであったWiiUが失敗に終わり、あまり売り上げが伸びなかったことによって任天堂がSwitchの目標販売台数を低めに見積もっていたという経緯があり、Switchが世界的に流行している現状を顧みると、後継機は目標を高めに設定し、最初から思い切って生産できると考えられます。その為、見通しとしてはそこまで極端な品薄にはなりにくいと考察されていますが、近年蔓延する“転売ヤー”であったり、コロナのような予想もつかない出来事が起こることも考えられます。実際に発売される段階にならないと分からないことも多くあると言えるでしょう。

配信者としてプライオリティをどこに置くか

Switch後継機が出た場合、そもそもどのくらいの入手難度なのかということもありますが、もしも容易に入手できる場合でも、Vtuberさんそれぞれがどこにプライオリティを置くかによって、Switch後継機を導入するかどうかは分かれそうです。

Switchに関しては、Vtuberとしてデビューする前から所持していたという方が多く、PC等を新調したという話は聴いてもSwitchを新たに購入したという方はあまり聴きません。これはVtuberが流行し、その数が増えた頃には既にSwitchが多くのユーザーの手に行き渡っていたという証左とも言えます。

一方、Switch後継機の場合は、当然新たに入手する必要があります。具体的な金額がどのくらいになるかは分かりませんが、Switchよりも高性能であるということからも、ある程度高額ではありそう。活動資金に余裕があるVtuberさんならばいいですが、そうでない方もたくさんいる界隈。どうするかという選択を求められそうです。

例えばゲーム実況を主としているVtuberさんなら、間違いなくプラスに働くと思いますし、「新世代のゲーム機でプレイする新しいタイトル」というのはそれだけで注目を集めるでしょう。Switch後継機の入手がイコールで自身の伸びに繋がります。

一方で、例えば歌を中心として活動している方だと、サブコンテンツであろうゲーム配信にそこまでのプライオリティを置くかどうかは悩みどころ。それならば歌ってみた動画等の制作資金に回したい…という考え方もあるでしょう。配信者としてどこにプライオリティを置くかによって、この辺りは変わってきそうです。

大きな変化が訪れるかは分からないが少なからず変化は起こるはず

こうして考えてみると、やはりこれまで当たり前に存在していて、いわゆる“安定択”であったSwitchタイトルの実況が、Switch後継機の登場によって変化していくことは恐らく間違いないと思われます。

もちろん、後継機が登場したからといってSwitchを使ってSwitchタイトルを実況するというこれまでの形が出来なくなるわけではないので、そこまで大きな変化とはならないでしょうが、“バズる”ことが重要視されるバーチャル界では、出来るならば誰もが注目を集めるコンテンツを配信したいと考えているはず。それならばSwitch後継機を導入するという方も多くいるはずです。まだ詳しい仕様は明らかにされていませんが(Switchで言うジョイコンを用いた遊びのような)Switch後継機ならではの遊びがあるならば尚更です。単純なスペックアップなのか、それともSwitch後継機ならではの仕組みがあるのかも大いに関係してくるでしょう。

Switch後継機を入手したVtuberさんがSwitch後継機専用のタイトルでコラボ配信をしたいとなった時に周りにどれだけ所持している方がいるのか等、そういったことも気になります。こればかりは実際にその時になってみないとどれだけのスピードでバーチャル界に浸透していくのかは分かりませんね。しかし、一度配信者・リスナー共にハードが行き渡れば、Switchと同じくゲーム実況において重宝される存在となるのは確実です。

まだまだ分からない点も多く、少し先の話ではありますが、必ず起こる新たな変化。バーチャル界を見守る者としては、注目していきたいです。常に新しい形の遊びを提供し続ける任天堂と加速度的に成長を続けるバーチャル界。きっと注目に値するコンビとして業界を賑わせていくことでしょう。

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