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2022年10月の(音楽とかの)こと

先週末に友人2人と私の家でレコード会を開催。すごく久しぶり。すごく楽しく大満足。まずは記録していた全ラインアップを順番に。

Terje Rypdal『S.T.』
Meng Que『Yue Jian Fang』
Galapagos Duck『Ebony Quill』
GRAPEVINE『Here』
Arctic Monkeys『The Car』
Makaya Mccraven『In These Times』(内容のよさに興奮し過ぎて痛恨の撮影し忘れ。申し訳ないが後日私が購入した盤で。)
Everything Play『POSH』
Mono Fontana『Cribas』
Miles Davis『In a Silent Way』
長谷川孝水『日々の泡』
優河『言葉のない夜に』
MULATU ASTATKE『ETHIO JAZZ』
yumbo『間​違​い​の​実 / The Fruit Of Errata』
Arctic Monkeys『The Car』2回目 B-side (1回目はA-side)

いい音楽しか流れないものだから、聴きながらどれだけでも喋れてしまう。そうして喋っていて、一人で聴いているのでは到底見えてこない視座に到達した瞬間こそやはりこの遊びの醍醐味であろう。やはりこれはもっと定期的にやりたいんだよなー。

個人的にはつい後回しにしがちな新譜の話題作をかけてもらって、しっかりと聴くことができたのもよかった。Arctic Monkeys『The Car』とMakaya Mccraven『In These Times』、どちらも素晴らしかった。Arctic Monkeysの新作はさすがに数回聴いていたけれど、Makaya Mccraven『In These Times』の方は聴いたら気に入るのだろうなーと思いつつも、ついついスルーしていたのだ。私ともう一人、聴いてその場で即オーダーする。


また、時系列的に遡る方向に行って、最初の1周目は3人全員がその日下北沢のBonus Truckで開かれていたレコードマーケットで購入したばかりのレコードを流したのだけれど、これが非常にエキサイティングで印象に残っている。私が自分で流したTerje Rypdal『S.T.』を愛聴していた以外は完全初聴の3枚に対して、3人揃ってあーだこーだとリアルタイムで反応しながら楽しむ。Terje Rypdalはともかく、他2枚中国のSSW (Meng Que)と、オーストラリアのジャズ・ロック・バンド (Galapagos Duck)はあまりにフックとなるポイントが多すぎる音楽かつ存在でよきセレクトだった。


ときに下北沢BONUS TRACKで春と秋の年2回開催されているレコードマーケットは本当に最高ですよ。

BONUS TRACK内に店舗を構えていて、主催にも名を連ねるpianola recordsにまさに引き寄せられたというべき、極上の出店リスト。大げさでなくどこのショップの棚を見ても、驚くほどおもしろいのです。

中でも楽しみにしていたのは、先月実店舗を奈良に開店したciruelo records。春と比べて、天候に恵まれたからか大盛況のマーケットの中でも、一際賑わっていたように見えたcirueloさんの棚からTerje Rypdal『S.T.』のW.Germanyオリジナル盤を首尾よく抜き取り購入。そして店主さんと開店セール品で出ていたMaher Shalal Hash Bazについて一瞬話す。

ciruelo recordsについては先月書いていますので、未読の方はぜひどうぞ。

他の出店ではフランスのJean Pierre Mas (ピアノ) とCesarius Alvim (ベース) によるデュオ作品、富樫雅彦・鈴木勲・市川秀男のトリオ編成によるスタンダード演奏作品を試聴で気に入り購入。どちらもとても "いいところ"と表現したい雰囲気の作品が手に入り満足。愛聴しています。

レコードのことばかり書いているが、実はこのところはCDの方がよく買っている。

武田吉晴の2ndアルバム『Before The Blessing』が鈴木惣一朗 (a.k.a. World Standard) のレーベル『Stella』からリリース!!マジでうれしすぎて発表されたとき泣きそうになりました。World Standardが2年前に発表した『色彩音楽』というアルバムのタイトルトラックに鈴木惣一郎が付した言葉を見てからそれはもう楽しみに待ち続けたわけですが、こんなに早く実現するとは。

若き音楽家、武田吉晴くんに出会ったとき、彼の笑顔を見たとき、かつての自分を思い出しました。「好きな音楽さえあればいい」と、彼は全身で訴えていたのです。『色彩音楽』とは、素晴らしい音楽家・武田くんのためにある言葉です。彼との出会いから、このアルバムが始まったことを祝して、当初から「タイトル・チューンにしよう」と決めていました。いつの日か、武田くんのアルバムをステラ・レーベルから紹介しようと思っています。

World Standard『色彩音楽』ブックレット

リリースされて1ヶ月、朝から夜入眠する瞬間まであらゆる状況で何回も聴いています。

1stからフックと言える展開や音色は減り、ひたすらに"武田吉晴の音"を追求するような至極ピュアな仕上がりが胸を打ちます。


あとは先月エリック・ドルフィー『Out To Lunch』の全曲カバー盤を聴いて急激に興味が高まっていたOtomo Yoshihide’s New Jazz Orchestra (以下ONJO)、Otomo Yoshihide’s New Jazz Quintet (以下ONJQ)のディスコグラフィをちまちまと集める。ONJOの1stアルバムを聴いたら一曲目でJim O'Rourke「Eureka」のあまりに素晴らしいカバーが流れてきて衝撃を受ける。これは知らなかったなー。

伸びやかで思い切りのよいサックスの音色が視界を開いてくれるような、たまらなく痛快なカバー。

ONJQのライブ盤『ライブ・イン・リスボン』の方にも収録されているのですが、どちらのテイクも甲乙つけがたく素晴らしい。

大編成で緻密なスタジオ録音を達成したONJO ver.、小編成でフィジカルを重視したONJQ ver.。


同じく最近CDを買った工藤冬里の『徘徊老人 その他』という作品でFrank Ocean「Thinkin Bout You」がカバーされているのもとてもびっくりしたな。工藤冬里Frank Ocean聴いているんだ…!!という。こういう情報は基本誰も教えてくれない。


10月はこれから先の諸々の前準備というか前触れというかでけっこう忙しく、なかなか本が読めず苦心した。多和田葉子さんの3部作完結編『太陽諸島』の単行本も待望の刊行がなされているので、早くまとまった時間を用意して腰を据えに据えて読みたい。
電車での移動途中などには保坂和志の『あさつゆ通信』を読み進めていた。

これぞ保坂和志の書く小説の神髄というべき概念を自身の言葉で軽やかに表現していてグッとくる。これは読めて本当によかった。

「あんな、だらだらした文章で何も起きない話ばっかり書く人が、そんなに落ち着きがないなんて、意外だ。」と言う人がいるが、意外ではない、だらだらしていると言われる文章が退屈しないとしたら細かく忙しなく動いているからだ。

保坂和志『あさつゆ通信』


ライブ。10月上旬の3連休に京都音博へ。前後一日の観光も含め楽しんだ。野外の開放的な雰囲気でのAntonio LoureiroとRafael Martiniの緻密かつ大胆なデュオ演奏に見とれる。
Rafael Martiniのこのアルバムから2曲も演ってくれたのが、(どちらかと言うと) Rafael派の私としてはとても嬉しかった。Rafaelのピアノプレイの節々に重厚な音楽知識が垣間見えるところが好きです。

他ポイントとしては、マッキー「世界の一つだけの花」演るんだ!?、くるりが出てきているステージ隅でのピース又吉直樹の朗読、台湾以来の胡椒餅との再会、10月の雨は寒すぎるというところでしょうか。

数年前台湾旅行に行ったとき屋台でよく売っていた胡椒餅という食べ物がうますぎて友達と狂ったように食べていたのですが、この日の出店で久しぶりの再会。ちゃんと台湾で食べたのに近い味がしました。

四ツ谷に専門店があるんだなー。

それ以上に楽しかったので帳消しと言えば帳消しですが、10月に一日中雨に打たれるのはあまりに酷であった。フジロックで数回同じような目に遭っていますが、7月と10月では訳が違う。帰ってきて1週間くらいはいつまでも身体の芯が温まる気がせず、パフォーマンスが落ちてしまったのも、10月が忙しく感じた原因かもしれない。


ライブといえば、今週末のFRUEは全部が本当に楽しみです。行かれる方楽しみましょうねー。


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