企業に社会性(社会課題解決性)が求められている?地域の事業者と伴走する「休眠預金活用事業」の現場から見えてきたこと④
こんにちは。トラストバンクの休眠預金活用/ソーシャルイノベーションデザイン室の元岡です。
「企業が収益性だけでなく社会性(社会課題解決性)を獲得するにはどうしたらいいの?」をテーマにお届けしてきたこの連載も今回で最終回。(方々からの「さみしい」「永遠に続けてほしい」の声が聞こえてきます。笑)
第1回、第2回、第3回と、企業の社会性(社会課題解決性)についての現状や国内外事例、獲得(証明)の方法をお届けしてきましたが、第4回目となる今回は、「企業の社会性(社会課題解決性)のこれから」について予測し、〆たいと思います。
企業の社会性(社会課題解決性)の動向予測
第3回でご紹介した「社会的インパクト評価」は、ベネフィットコーポレーション(以下BC)で義務付けられる「ベネフィットレポート」やB Corp(Certified B Corporationの略。アメリカの非営利団体「B Lab」による民間認証制度)の質問「コミュニティ」への回答にも活用できるものです。企業の社会性(社会課題解決性)が問われるようになった昨今、海外ではBCに関する制度や認証制度の活用が進んでおり、日本国内でもBC制度の検討がされています。そのため、企業が取り組む事業の社会性(社会課題解決性)を獲得(証明)する手段がより必要となり、必然的にこの「社会的インパクト評価」はこれからの企業経営のあり方を示す一般的ツールとなっていくのではないでしょうか。
弊社トラストバンクでは、JANPIAからの資金提供を通じて、「社会的インパクト評価」の方法を学び、実践し、他社(助成先)に伴走・提供していますが、この助成先からも「社会的インパクト評価を通じることで、地域や受益者への想いと自分たちの活動の意義を、地域外の皆さんへ理解してもらうことができると思う」という声を頂いています。
我々としても、自社外のステークホルダーの皆さんとともにこの社会的インパクト評価に取り組むことで、「課題を抱える誰のために、どのような未来に向けて、何を実施するか」という課題解決事業の意義=社会性(社会課題解決性)を、徐々に獲得(証明)できていると感じています。
もしこの「社会的インパクト評価」を学びたい・実践してみたいという方がいらっしゃいましたら、ご一緒に取り組ませていただく機会があればうれしいです。
少し話題を変えて、ふるさと納税について触れてみようと思います。
”ふるさと納税のリーディングカンパニー”で働く者として、それが持つ可能性について思うことがあります。我々は、ふるさと納税は、地方自治体がこれまで手が出せなかった/出しづらかった地域課題解決策を実現可能にしてくれる面があると考えています。そのため、「ふるさとチョイス」という総合サイトの運営を開始して以来、我々は自治体職員さんたちに「ふるさと納税(寄付金)の使い道を大切にしましょう」とずっと呼び掛けてきました。
このことは、サイト設計や運営にも反映されています。例えば「ふるさと納税をする際に使い道を必ず選択する」といった「ふるさとチョイス」のサイト仕様、使い道で寄付先を選択するふるさと納税型クラウドファンディングサイト「ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング(GCF)」、ふるさと納税で自治体の災害支援を応援するサイト「ふるさとチョイス 災害支援」などです。
こうしたなか、先ほどご紹介した社会的インパクト評価など、事業の社会課題解決性を証明する方法が日本で広く受け入れられ、証明が常識化すると、ふるさと納税にも新たな未来が待ち受けているのではないかと思うのです。
具体的には、「寄付金の使い道を大切にしましょう」から、寄付金の使い道とその効果、つまり「地域がどのように変化したか(成果/アウトカム)を大切にしましょう」へと、ふるさと納税の視点が変わるのではないでしょうか。そうなると、寄付者はふるさと納税(寄付金)の使い道だけでなく、それによって達成される結果にも投資するようになるはずです。自治体側からすると、成果を住民に具体的に説明できる事業への資金調達手段として、ふるさと納税がさらに意義深い制度となるでしょう。私個人としてはそんな未来を、心から期待しています。
おわりに
動向予測というより、宣伝やビジョンの共有のようになってしまいましたが(笑)、
「ちょうど社会課題を解決する事業を構想していた」
「社会課題解決につながる事業案が、社内でなかなか受け入れてもらえない」
「会社で社会課題解決の事業を始めたのだけれど、社内外から何の役に立っているかを問われ、先細りしていってしまいそう」
などのお悩みを持っている皆さんにとって、少しでもお役に立つことができたでしょうか?
私たちもまだまだ学びの過程にいるため、ご覧いただいた皆さんとともに学び続けていきたいです。
今後も、社会性(社会課題解決性)と収益性(自主的な事業継続性)の二つの価値の両立のためにチャレンジを続けてまいります。
経営したり勤めたりするなかで社会への貢献を実感すれば、ますます仕事が楽しくなっていくと思っています。そしてイキイキと仕事をすると家族や大切にしている人も喜んでくれる、そんな好循環を共創していきましょう!