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企業に社会性(社会課題解決性)が求められている?地域の事業者と伴走する「休眠預金活用事業」の現場から見えてきたこと③

こんにちは。トラストバンクの休眠預金活用/ソーシャルイノベーションデザイン室の元岡です。

「企業が収益性だけでなく社会性(社会課題解決性)を獲得するにはどうしたらいいの?」をテーマに全4回でお届けする第3回です。(方々からの「やっとの更新、待ちわびたよ」の声が聞こえてきます。笑)
第1回では、掲載の背景と、企業が社会性(社会課題解決性)を求められている現状について、第2回では、海外や日本の事例をご紹介しました。
そして今回は、「企業が社会性(社会課題解決性)を示すための方法」を皆さんにお届けします。

企業が社会性(社会課題解決性)を示すための方法

第2回で記載の通り、諸外国ではベネフィットコーポレーション(以下「BC」)が法整備され、海外では企業が社会性(社会課題解決性)を獲得・証明する動きが進んでいるといえます
日本の場合でも、先進的な企業ではBCの定義に従い、社会性(社会課題解決性)の獲得(証明)を独自に進める企業が出てきています。
その一環で、企業の環境・社会に対するパフォーマンスを評価する「民間版のBC認証」を受けることも有効です。ただ、現在は日本国内に民間のベネフィットコーポレーションの認証制度はありませんので、諸外国に依頼する必要があります。たとえば、米国の非営利団体「B Lab」が、2007年から運営開始した「B Corp(Certified B Corporationの略)」という第三者認証では、2022年5月時点で、世界79カ国で5,000社以上が認証を受けているそうです。(「ベネフィットコーポレーション等に関する調査 最終報告書」による)


出展:ベネフィットコーポレーション等に関する調査 最終報告書「諸外国の制度の比較(サマリー)」 (一般財団法人社会変革推進財団/2023年 3月 公表)

「B Corp」は、B Impact Assessment(BIA)という「企業の社会・環境に対する影響を評価する無料のオンライン認証試験」を受け、「ガバナンス」「従業員」「コミュニティ」「環境」「顧客」の5分野について、一連の質問に回答し、自社の社会・環境に対する影響を評価します。認定を受けるためには、まずこのBIAで80点以上を取得することが条件となっています。
その後「B Lab」側からの審査や面談を経て、「B Corp認証」の獲得という流れです。

出展:ベネフィットコーポレーション等に関する調査 最終報告書「諸外国の制度の比較(サマリー)」 (一般財団法人社会変革推進財団/2023年 3月 公表)

社会にとって、地球にとって、良い会社とは? 国際企業認証B Corpに関する情報提供サイト」の記事「日本のB Corp取得企業は36社 (2024年1月時点)」によると、2024年1月時点で、日本国内で36社が、2023年に19社が新たにB Corp認証を取得したそうです。企業が社会性(社会課題解決性)を獲得(証明)する国内ニーズの高まりをこれまた感じますよね。
しかし一方で、BCの法整備がこれからの日本で、海外のB corp認証を受けるって、正直、かなりハードルが高いと思います。そのように感じる方々におススメしたい方法が、国内の評価機関の手を借りながら、自社で「社会的インパクト評価」をしてみることです。
社会的インパクト評価は「社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加えること」であり、企業が社会性(社会課題解決性)を獲得(証明)することに有効なツールです。前回紹介した「丸井グループ」の「IMPACT BOOK」もこの社会的インパクト評価によって、設定したインパクトに向けて事業活動で創出できた価値を説明していました。
私たちトラストバンクがJANPIA(一般財団法人日本民間公益活動連携機構)から資金提供を受けて実施している地域事業者伴走プログラムでは、この「社会的インパクト評価」の実施が必須と定められています。それは私たちにも、私たちが伴走する先の地域事業者にもです。

出展:ともに「地域事業者伴走プログラムの伴走先事業者への社会的インパクト評価 研修資料」より抜粋(トラストバンク)

この「社会性インパクト評価」は、体系的に整理されており、我々トラストバンクのように一営利企業でも学び、実践することが可能です(JANPIAのご担当者様が取り組み方法を懇切丁寧に教えてくださったおかげですが……)。そのため、企業が取り組む事業の社会性(社会課題解決性)を獲得(証明)する入口として、最適な方法なのではないかと思います。
 
社会的インパクト評価の注意点を一つあげるとすると、それは「あくまでもステークホルダー間での合意形成である」ということです。となると、社会的インパクト評価やインパクト測定・マネジメント(IMM)が行われた事業や企業に関わっていない人々は、ステークホルダーとして関与している人々と比べて、その事業や企業の背景にある考えや理想像を理解していない場合、評価された内容を理解したり納得したりするのが難しいかもしれません。

第3回では、企業が社会性(社会課題解決性)を示すための方法をご紹介しました。次回、最終回となる第4回では、「企業の社会性(社会課題解決性)のこれから」について動向を予測し、〆たいと思います。


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