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「やりたいことが分かりません!」という就活生が大事にすべきキャリア選択の戦略

やりたいことが見つからない人の基本戦略は人生の選択肢を増やすこと

3月になり大学3年生の就職活動が(おおやけに)はじまり、Twitterでは就活がんばってます的な投稿も増えてまいりました。どこの企業にインターンに行っただの、すでに内定をもらった友人と比べて焦りを感じているだの、学業そっちのけで就活一色になるシーズンですね。これからは4月には内定が出始め、6,7月くらいが内定のピーク。その後は、9月に内定式があり、その後は卒論を提出して無事に卒業、友達や恋人と卒業旅行というのが王道というところでしょうか。

 さて、就職や転職の支援をしたり、企業の人事担当と意見交換したり、地方移住の相談を受ける中で、僕が大事だと思っていることを(誰に頼まれたわけでもないのに)まとめてみました。自分で言うのもの割とかっこ悪いのですが、お世辞半分でも喜んでもらえることも多いので、ひょっとしたら誰かの参考になるんじゃないかな、と思って書いてみました。「へー、そんな考え方もあるかもねー」くらいの距離感で読んでいただけると幸いです。

この記事は「やりたいことが見つかってない人」にむけて書いています。なので就活生はもちろんですが、若手社会人でもやりたいことが分からない、という人にも参考にしてもらえるかと思います。


まず「やりたいことが分からないよー!」という人がキャリア選択で取るべき王道戦略は「人生の選択肢が広がる就職先を選ぶ」ことです。「やることを決めることはやらないことを決めること」などと言われますが、やることを決められないのであれば、やらないことも決めない(保留する、オプションとして残す)ことが合理的です。やらないことを決めるというのはやることを決める以上に悩むと思います。高校時代の文理選択のときに「理系を選んでも文系に戻れるから」という理由で理系を選ぶ人もいますし、「大卒資格があれば潰しがきくから」ととりあえず大学進学した人も多いと思います。それと同じ感覚で就職先を選ぶイメージですね。

ということで、このやりたいことが見つからない就活生が唯一心がけるべきことは、分からないものはわからないものとして受け入れて、人生の選択肢を拡げる就職先を探すことが重要です。人生の選択肢を広げ続ければ”やりたいことが網にかかる可能性”も上がるわけですね。ということで、ここからは「人生の選択肢を広げ続けるために何をすればいいのか」についてまとめてみました。

 人生の選択肢に影響する因子は3つのカテゴリーに分かれる

まず人生の選択肢に影響する要因は大きく3つのカテゴリーに分けられます。1つ目は「人生の選択肢を拡げる因子」でこれは揃えば揃うほど拡がります。2つ目は「人生の選択肢を狭める因子」でこれは逆に揃えば揃うほど狭まってしまいます。そして3つ目は「人生の選択肢を拡げることもあれば狭めることもある因子」です。揃えるかどうかはケース・バイ・ケースですのでここがとても迷うところです。(だからこそ人生の醍醐味です)


人生の選択肢を拡げる因子(=揃えば揃うほど良いもの)
① 健康な身体、精神
まずは健康です。これは自分自身の健康はもちろん、パートナーや両親、子供、親戚等々すべてが対象になります。病気になって健康のありがたみが分かるとよく言われますが、やりたいことに挑戦するためには自分や周囲の人たちが心身ともに健康であることがとても重要です。なので、健康に影響する睡眠や食事、適度な運動、ストレスマネジメント等にリソースを割くことは、結果的に自分の選択肢を拡げるためにとても有意義なことになるのです。就職する先の会社の社員が心身ともに健康であるかどうかはぜひチェックしてみましょう!

② 資産、不労所得
お金があることも人生の選択肢を広げてくれます。やりたい仕事だけど給料が低いからできない、、、という場合も多くの資産を持っていたり、金融資産等の不労所得があれば躊躇なく働くことができます。ほかにも家賃が少々高くても職場の近くに住めたり、大学院学び直そうと思ったときも学費を気にしなくてもよいなど、お金を時間やスキルに変えることもできます。資産や不労所得は人生の選択肢を拡げることに直結します。ただ、大学生から資産や不労所得を持ってる人は多くないと思いますので、まずは応募する企業の初任給や、5年先くらいの想定給料が把握できると安心ですね。補足ですが、お金持ちが転落していく話を聞きますが、それはお金を持ったから人生が悪くなったのではなく、お金の使い方が悪くて人生が転落したわけなので別ですね。

③ 社会的地位、役職、学歴職歴、知名度など
有名企業に勤めていたり、大きな会社の取締役だったりするとそれだけで信用が上がったりします。メディアに出ていたりして知名度が高いと信用がついたりもします。実際の人柄や実力は別にして、社会はそういったラベルで人を判断してしまう傾向にあります。もちろん信用がある人には多くの面白い話が持ち込まれたりもするので、選択肢が増えることにつながります。大手企業とベンチャーで決めきれないのであれば大手企業を選んでおいたほうが無難でしょう。(そもそもここで迷うくらいであればベンチャーでは活躍できない、という説もありますし。実際はしらんけど)

④ スキル・資格
需要があるスキルを持っていると仕事やプロジェクトに声掛けされることが多くなります。例えばエンジニアだとIT企業から引く手あまたですし、例えば看護師も辞めても再就職には困らないと聞きます。何か一つ需要のあるスキルや、業務独占資格(その資格が無いと行えない業務を行える資格)を持っていると例え何かに挑戦してうまく行かなくても戻るところがあると安心でしょう。その意味で人生の選択肢は広がります。


⑤ リベラルアーツ
リベラルアーツは日本語では“教養“と訳されますが、リベラルアーツ自体の正式な定義は専門家に任せるとして、ここでは「自由になるための考え方」という意味で使っています。「自由になるための考え方」を定義するのであれば、逆に「自由を縛るものは何か」を挙げると早いかもしれません。それはルール(法律や約束、規則など)と常識です。「そういう決まりだから。」とか「それは常識的におかしい。」等のように我々はルールと常識によって行動を制限されています。しかしルールも常識も変わります。例えば男性は外で働き女性は家事をすべき、というのはかつての常識でした。実際1960年の国語辞典で男性は「主に外で働きお金を稼ぐ役割の性」と書かれています(驚)飛行機の乗務員、看護師は女性が当たり前という常識も変わってきていますすね。「今の常識からしたらそうかも知れないけど、そもそも、本来の目的からしたら他のやり方のほうが合理的だよね?」とラディカルに考えることができればあらゆる行動制約から開放されます。そのためにリベラルアーツを学ぶことは長期の人生設計において人生の幅を拡げてくれることでしょう。


人生の選択肢を狭める因子(=揃えば揃うほど悪いもの)

それでは、逆に人生の選択肢を狭める因子について見ていきましょう。
① 病気(自分、周囲含めて)
これは「健康」と逆ですね。例えば足をけがしていたら移動には制限されますし、精神的にまいってしまうと何かに挑戦することもできません。病気や怪我で入院をすることになればその間は自由が制限されますし、後遺症が残ってしまってもその後の人生でできないことが増えてしまいます。健康はすべて資本です。目の前のことに集中しすぎて将来の健康を毀損してしまうことは長期的にマイナスが大きいので気をつけましょう(特に激務の職場とかね)


② 借金、固定費
借金を抱えていたり、毎月決まった支出があったりすると、お金を稼ぐことを優先せざるを得なくなります。奨学金を返すためにやりたくない仕事でも給料の理由だけでやらざるを得ないかもしれないし、住宅ローンを返済するために転職ができなくなるかもしれません。また本意ではない転勤や出向なども住宅ローンを返済するためだけに受けてざるを得ないでしょう。このように借金などの固定費を持ちすぎてしまうと、人生の選択肢を狭めてしまいます。余談ですが昔は大学を卒業することで仕事の選択肢を広げられたので、奨学金を借りてでも大卒資格を得たほうが利が大きかったですが、昨今のように学歴の価値が低下してきたり、会社員の給料自体が上がらなくなってきたりすると、奨学金の返済が人生の選択肢を狭めてしまうかもしれません。(返済義務のある)奨学金で大卒の資格と4年の時間を交換することは、合理的な取引なのか、今の時代は改めて考えてみる価値のある論点だと思います。

③ 凝り固まった常識、柔軟性のない考え方、先入観
強固な思い込みや、原理主義的な思想、柔軟性のない考え方を持っていると、その考え方自体に人生の選択肢を狭められてしまいます。「自分はこうあるべきだ」「人はこうあるべきだ」「常識的にはこうだ」などの強すぎる思いが思考の幅に制限をかけてしまうのです。これはリベラルアーツとは対極な考え方ですね。常識をすべて疑っていると生活が成り立ちませんが、常識を適切に疑う力は人生の選択肢を拡げてくれます。


人生の選択肢に影響を与える因子(=多い少ないよりも質が大事。人の価値観による)

最後は人生の選択肢に影響を与える因子です。これらは多く揃っていれば良い、少なければ良いというわけでもなく、人生の選択肢を拡げることも狭めることもある因子です。したがって、自分にとって必要だと思えば得ればいいし、自分にとって必要なければ得なくてもよいものです。ここの判断こそが人生で悩むポイントですし、その判断の積み重ねこそが人生を濃厚なものにしてくれるでしょう。

① 家族(=パートナー、子供など)
昔は結婚するのが当たり前、という社会でしたが生涯未婚率が3割近くまで上昇する現代において、結婚は各人が選択するものとなってきています。例えばパートナーがとんでもない束縛してくるタイプだと自分の人生の選択肢は狭められてしまいます。反対に自分の知らない世界を見せてくれたり、ポテンシャルを発揮させてくれたりするパートナーであれば自分の人生の選択肢を拡げてくれます。子供を持つかどうかもどっちにもなり得ると思います。出産や育児に時間が取られ、教育にお金がかかかります。その一方で子供を通して見える世界に触れられることで広がる可能性もあります。このあたりはケース・バイ・ケースになるので、自分はどうありたいのかという価値観や、パートナーのタイプによって変わってきます。例えば同性婚や事実婚の概念が社会にもっと浸透することで、パートナーを通して人生が拡がるかもしれないし、精子卵子の冷凍保存のテクノロジーがより発達すれば、出産適齢期を理由にキャリアを諦めることも無くなるかもしれません。とにかく結婚すればいいというわけでなく、この条件以下であれば結婚しないほうが自分の選択肢を増やせるという考え方ができるのです。

② コミュニティ(=自分の信用、信頼、スキル等を拡げてくれるネットワーク)
日々交流している人達も人生の選択肢を拡げることもあれば、狭めることもあります。友人経由で仕事になった、友人から紹介された本を読んだら興味の範囲が広がったという人もいるでしょう。その一方で同じ友人たちと付き合ってばかりだと新しい発展がないという場合もあります。気心知れた仲良しメンバーは快適ですが、それは気が付かない間に新しい自分の発見の妨げになっているかもしれません。複数のコミュニティに積極的に参加して自分の人生の選択肢が拡がるのはどういうコミュニティなのかを探ってみることをおすすめします。ちなみにコミュニティ論の分野になりますが、コミュニティに参加するときは自分が貢献できることを探したほうが結果的に自分への恩恵につながります。フリーライダーは慎みましょう。


以上です。
やりたいことが見つかってないのであれば、それを見つけるために選択肢を拡げる。逆にやりたことが見つかったらそれを実現するために注力する。そしてやりたいことが実現したらまた次のやりたいこと探すために選択肢を広げていく。このように人生のフェーズにあわせて意思決定のルールを持っておくと良いかもしれません。

就職活動の時点でやりたいことが見つかってないことは当たり前だと思います。そういう学生は焦ってやりたいことを決めてしまうのではなく、人生の選択肢を拡げられるような就職活動をおすすめします。


最後になりますが、人生の選択肢を拡げることは手段です。はあくまで目的は自分のやりたいことをやったり、自分の人生を充実させたり、自分の幸せになることです。人生を終えるときに「あれれ、選択肢を拡げ続けただけの人生だったじゃん」となると悲しいので、手段が目的化しないように気をつけましょう。

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