見出し画像

成長志向が強い人ほど地方で働いたほうが理にかなっているよ、という話

地方創生とはなんだったのか

 2014年から始まった地方創生では東京一極集中の是正掲げられましたが、東京一極集中は止まるどころかむしろ加速してしまいました。第1期地方創生戦略で目標とされた「2020年までに東京圏の転入超過数をゼロにする」ことは早々にあきらめられ「定住人口から関係人口へ」への軸足が移されました。国の政策では止められなかった東京一極集中ですが、結局は新型コロナウイルスの影響で、東京都は1996年以来25年ぶりに転出超過に転じる見込みです。東京都の2021年は約17,000人の転出超過(12月は未反映)、日本人だけに限れば約37,000人の転出超過となります。また転出・転入の大部分を39歳以下が占めてることもあり、出生数も約10%の減少(約1万人)が予測され、それにより2021年の東京都人口は26年ぶりに人口減少となると予測されています。

地方創生は「東京一極集中の是正」に焦点が当てられがちですが、実はもう一つの論点があります。それは日本の経済成長です。地方創生は主に2つの目的があり、一つは人口政策で、もう一つが経済政策です。人口政策は「出生率が低い東京に人が集まると、日本の人口減少が加速する。少しでも出生率が高い地方に人口を留めることで日本の人口減少を緩和しよう」という説明がされていました。これはすごく分かりやすく、移住の機運が高まったり、地方に本社を移すと優遇制度がうけられるなどの法整備が進んでいきました。

 では経済はどうでしょう。分かりやすい日本の経済成長率は年率1%くらいを推移しており、近隣諸国と比べて低いことはもちろん、OECD加盟国の中でもかなり下位を推移しています。東京一極集中是正の話がでると「東京に人が集まって何が悪い!日本経済を牽引する東京に若者が集まることで日本の経済を再生させるんだ!」と声高に叫ぶおじさんに何度か会ったことがありますが、東京は本当に日本経済を牽引しているのでしょうか。東京が日本経済を引っ張っているのか、それとも幻想なのかを数字で検証していきましょう。
 

日本の経済成長の足を引っ張る東京

経済成長率の実態2

東京都の2010年のGDPは約96兆円で2015年は約103兆円でした(RESAS調べ)。つまりこの5年における経済成長率は6.6%です。東京都民一人あたりGDPは2010年は約761万円、2015年は約765万円で一人あたり経済成長率は0.5%でした。ちなみに、日本全体だと2010年の日本のDGPは505兆円(実質・円ベース)で2015年が531兆円、日本全体の経済成長率は5.1%でした。国民一人当たりGDPは2010年が389万円、2015年が415万円、一人あたり経済成長率は5.7%でした。つまり東京都の経済成長率は日本全国より高い水準であるものの、一人あたりの経済成長率だと日本全国とくらべて1/11の水準となります。ちなみに僕が住む宮崎県は2010円の宮崎県のGDPは約3.3兆円、2015年は3.5兆円。成長率は7.9%と東京都の約1.2倍の成長しています。さらに、宮崎県民一人あたりGDPだと2010年が289万円、2015年が321万円となっており、なんと約11%も成長しているのです。東京都民一人あたり経済成長率と比べてなんと約22倍も高いことになります。つまり、東京都は日本の平均以上は成長していますが、日本中から若者を集めることで成り立っており、一人あたりの経済成長率はかなり低いことが分かります。生産性が上がらない東京に人が集まることで、日本の経済成長の足かせになっている。であれば経済が伸びてる地方に若者にいてもらって経済成長を牽引してもらおう!ということが地方創生の経済的側面からの目的でした。


一人あたりの経済成長著しく、まだまだ伸びしろのある地方

よく、日本はもう成長しないし、お年寄りが増え続け現役世代の負担が増える、若い人は成長している国に移住できるくらいの力をつけなければならない、などという論調を耳にする事がありますが、まったくもって解像度が低いと言わざるをえません。経済成長せず現役世代の負担が増え続けるのは東京都の話であって、地方のなかにはすでに高齢者が減少し社会保障費は年々軽減しつつ、経済成長続けている地域は珍しくありません。働き手が減りながらも経済成長しているということは生産性が上がり続けているわけです。しかしそれでもDXはもちろん、ZOOMやスプレッドシート、Slackを使って仕事ができる企業はまれです。また常に人で不足なので、常に地域社会から求められて仕事ができます。

まだまだ伸びしろがあり、社会保障が軽減されていく経済成長著しいこれからの地方と、膨大な予算が社会保障費に割かれ産業分野に投資できず、経済成長もしないこれから東京。「成長したい!」「稼ぎたい!」「自分しかできない仕事をしたい」という野心を持っている人こそ地方と相性がいいはずです。ゲームのルールは変わりました。こういった統計や数字の変化を読み取れる優秀な方こそブルーオーシャンである地方に目を向けてもらえると嬉しいです。現場からは以上でーす!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?