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大学の4つの価値から考えるコロナ禍の大学生活のありかた

大学の価値は”社会全体視点”と”個人のキャリア視点”に分けれれる

最近、日南にはたくさん大学生がインターンとか地域留学で来ているのですが、彼ら彼女らと話すたびに「大学の価値」ってなんなんだろう、と考えてます。大学の価値のアプローチは2つあって1つは社会全体からの目線。もう1つは個人のキャリア目線です。社会全体の目線としては国民の何%が高等教育を受けることで、日本の経済成長にどうつながるとか、研究者の雇用や、学会での発表の場を担保することで日本の科学が前進する、みたいな社会全体の視点。個人のキャリア目線としては大学に行くことで生涯賃金がいくら上がる(もしくは下がる)かとか、スキルが見についてやりたい仕事につけるようになる、みたいな個人のキャリア視点ですね。ここでは個人のキャリア視点から大学の価値について考えてみたいと思います。

4つに分けられる大学の価値(文系編)

で、そもそも大学の価値を大きく分けると以下の4つに分かれるんじゃないでしょうか。※文系の学部を前提としています

① 大学の授業やゼミ等の学業
② 大学生同士の繋がり、切磋琢磨できる仲間との出会い
③ 大学生という身分を利用した課外活動からの学び
④ 大学卒という学歴

社会人に「大学に行って得られたことは?」と聞くと、だいたいが②か③が挙げられると思います。①が挙がらないのは本心で、④が挙がらないのは享受を自覚してないケースが多いと思います。(大卒は大卒が多い職場に就職するので)

そして、今はコロナ禍です。2年生に至っては大学時代ずっとコロナ禍だし、尾身会長いわく「変異株に対応していけば数年はこんな感じだろう」という言葉が現実であれば、大学の4年間がコロナ禍で終わっちゃうことになります。これは相当なかわいそうな事態だと思います。

コロナ禍で変化した大学の価値

① 大学の授業やゼミ等の学業
→ オンライン授業、ゼミが中心。オンライン授業であれば今や世界中の大学はもちろん、日本でも東大やSFC等の授業が一部公開されている。大学に限らなくても専門家がわかりやすく授業をしている動画も無料でみれる。ゼミに関しても今や大学の枠や年齢を超えた「同士」で学ぶゼミもある。もはや授業やゼミを自分が通ってる大学に固執する必要はない。

② 大学生同士の繋がり、切磋琢磨できる仲間との出会い
→ いまだ同級生とリアルで会ったことがないという状況。オンラインだけで切磋琢磨できる仲間を探すのは結構難しそう。あとリアルに恋愛の機会がないという声も聞く(そこは大学時代の僕も同じ。僕の場合はコロナ禍関係ない。)

③ 大学生という身分を利用した課外活動からの学び
→ ここが一番壊滅的で、大学生の身分だから世界をバックパックできたし、バイトやインターンとして複数の会社で働けた(そして辞めるのも簡単)。吸収力のある時期に日本以外のいろんな社会を見ておくことは価値観や常識感を形成するいい経験だし複数の会社で働くことでそれぞれの会社を相対化することができる。それは就職活動だけでなくその後のキャリアにおいて非常に有益だろう。もちろん、オンラインでも仕事はできてお給料ももらえるかも知れないが、対面での経験値は上がらないのは不安だと思う。  

④ 大学卒という学歴
→ これはコロナ禍が直接影響するわけじゃないけど、そもそも大卒って大手企業の正社員になるためには効率のいい資格でした(過去形)。サントリーの45歳定年制やリンダ・グラットンさんのLIFE SHIFTのように、大企業の正社員として一生過ごせるわけではないし、そもそも一生過ごしたいんでしょうかね?大卒はこれまでの終身雇用・年功序列の日本大企業に正社員で入社することは生涯賃金が高くとっても費用対効果が良かったです。高卒と大卒の平均賃金は(4年働く時間が短いにもかかわらず)4,000万円ほど大卒の方が高いというデータもあります。なので従来は大学は相当割の良い投資だったことが分かります。しかし、そんな仕組みがまだあと40年以上続くと思ってる方はさすがにいないんじゃないでしょうか。


投資先としての大学

そうやって考えていくと、18歳~22歳の貴重な時期の4年間に250万円~450万円(国立文系~私立文系)の投資先として「コロナ禍の日本の大学」が最適なのでしょうか?という問いに行き着きます。

ただでさえ、大企業の正社員になって年功序列、終身雇用が幻想になってる中、コロナ禍で授業もオンライン(しかも面白くもわかりやすくもない)、仲間も恋人もできにくい(恋人は個人差あり)、海外旅行はもちろんイベント等の課外活動も制限される条件下での4年と数百万の投資にどれだけのリターンが見込めるのかは冷静に考えたほうが良さそうな気がします。

昔は間接業務のコストが大きかったし、ソフトの購入もままならなかった。電卓とワープロ時代では本業以外の経理を自分でやるのは骨が折れたし、デザインソフトも個人で購入するのはかなりの負担でした。しかし、会計やデザインツールなどはSaaSモデルの普及でフリーランスのような個人でも使え、それによって起業のハードルはかなり下がりました。従来は一握りの人しかフリーランスや起業というキャリアを選択できませんでしたが、今ではもっと気軽なものになったわけです。(本人が気づいているかどうかは別にして)会社員じゃないほうがむしろ自由度高く稼げる人が急増している時代とも言えるでしょう。そんな時代に大手企業の正社員の年功序列・終身雇用という幻想4年と数百万円を投資するのはさすがに割に合わないのではないでしょうか?正社員で入社したのに奨学金の返済に苦しんでる人が多いのもそんな背景があるのかも知れません。

投資先候補として「大学」とみたとき、コロナ禍のタイミングも鑑みるとちょっと、割りに合わない”投資案件”になっている気がします。


コロナ禍は休学したほうがお得

のということで、大多数の若者にオススメなのはとりあえず(休学中も授業料がかからない)大学に入学してすぐに休学。密が無い地方でバイトやインターンやって経験積んだり、オンラインを駆使して勉強しする。コロナ禍が落ち着いてきたら復学して、大学の価値②と③を享受する、みたいな感じなんだろうなー、と思った次第です。

そんな皆さんに朗報①
日南の地域留学プログラム「ヤッチャの学校」というものがあります!宮崎県日南市というそこそこ田舎の地方都市を舞台に開催されてます。これまで3期開催しており、全国から大学生が集まってきております!次回は来年の春休み、ということで休学するには今から準備すればバッチリですね。
もっと早く行ってみたい!という方は主催者に個別に連絡すればなんとかなるかも知れません(笑)

そんな皆さんに朗報②
もっと全国の地方に目を向けてみたい、という方むけには地域ベンチャー留学という制度があります。過去20年ほどやっていて、参加者は1,000人を超えています。毎年夏に開催されているので、ちょっと先ですがぜひご検討ください。

余談ですが大学はよっぽどのことがない場合は卒業しておいたほうがいいと思います。それは④の大企業に就職しやすくなるためです。(ずっと所属しなくていいけどね) ファーストキャリアが有名な企業だと、転職の幅が広がるので、モラトリアムを継続できます。逆に言うと「モラトリアムは不要!自分がやることが見えた!!」という人にとっては卒業にこだわらなくてもいいんじゃないかな、と思います。

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