テレワークゆり物語 (167) 「テレワークの努力義務化」だけでない、大きな一歩
2023年12月26日 厚生労働省「第66回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」において、「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(案)」が合意され、武見厚生労働大臣に建議することが決まった。
この会議を傍聴するために、久々の北見へのクリスマスイブ帰宅を1泊2日に短縮し、開催前日の最終便で東京へ移動した。
なぜ、そこまでして傍聴したかったのか。
理由は、テレワークが初めて法律に記載されるための、大きな節目の会議だからである。(※注 訂正あり)
自らのテレワーク歴は31年。自営型テレワークを推進する(株)ワイズスタッフを起業して25年。企業に向けた日本初のテレワーク専門コンサルティング会社を立ち上げて15年。国のテレワーク推進とともに、歩んできた。と自負している。
しかし、テレワークは新しい働き方ゆえ、国として推進はするものの、法律には記載されていなかった。(※注 訂正あり)
「テレワークが日本の法律に入れば、世の中が動く」
そう信じていた私にとっては、ひとつの夢でもあったのだ。
今回の会議の報告の決定を経て、厚労大臣への建議、来年の閣議決定から国会、そして、法改正へとコマが進んでいく。(ことを願う)
さて、自分の思いを書くのはこれぐらいにして、会議における以下資料には、「努力義務化」だけでない、テレワークに関するさまざまな内容が記載されている(テレワークという言葉が28か所で登場)。
テレワークの視点から、詳しくご説明しよう。
【資料1】仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(案)
子が3歳になるまで、テレワークを事業主の努力義務化とする
資料の3ページめ、「必要な措置の具体的な内容」に、最初から登場する。
ふたつめの〇には、「難しい場合には、職種や配置転換などまでは企業に求めない」という記載はあるものの、逆に言えば「可能な職種は、努力してください」ということである。
短時間勤務制度の代替措置として、テレワークを追加する
「努力義務」に隠れてしまいがちであるが、私は長年、これを願ってきた。
義務である「短時間勤務制度」が難しい場合の措置として、従来は「フレックス制度」「出勤・退社時間の繰り上げ・繰り下げ」「保育施設の設置」などがあるものの「テレワーク」は無かったのである。
資料には、代替措置として「テレワークを追加することが適当」と記載されているのだ。
子が小学校就学前までの新たな仕組みの中で「テレワーク」を選択肢とする
さらに、「子3歳になるまで」だけではない。
資料には、子が「小学校就学前まで」として、新たな仕組みについて記載されている。
ここで重要なのは、「所定労働時間を短縮しないもの」である。
保育園のお迎えなどのために勤務時間を短縮するのではなく、テレワークにより(通勤時間を削減できて)フルタイムで働くことを推奨している。
これにより、男女かかわらず、子育て中の社員が、戦力ダウン(給与もダウン)せずに働き続けることができる。
なお、このテレワークの頻度の基準として「勤務日の半数程度」と明記しつつ、より高い頻度が望ましいとしている。
また、フルタイムでのテレワークを推奨しつつ、短時間勤務においてもテレワークも望ましい、としている。
心身の健康への配慮として、テレワークでの労働時間を適正に把握する
テレワークにより、夜間の勤務や長時間労働が発生し、心身の健康の不調が生じないよう、テレワークでの労働時間の適正な把握について、
テレワーの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
を参照するよう記載されている。
親の介護期においても、テレワークを努力義務とする
最近「ビジネスケアラー」という言葉をよく耳にする。介護をしながら働く人が増えているからだ。
「少子化対策」として注目されているが、基本となる法律は、「育児・介護休業法」である。
なんと、介護についても「テレワークの努力義務を適当」としている。
時短やフレックスなどの選択的措置の選択肢には入らないものの、とても重要な部分である。
私としては、この資料に書かれていることが、来年の国会での審議を経て、「育児介護休業法」に反映され、ひいては日本の働き方を変える、最初の「針の穴」になることを願っている。
令和5年12月26日 田澤由利
※注 テレワークに関して、国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)に「情報通信技術利用事業場外勤務」との記述あり「初」ではないことを教えていただきました(感謝)。ただ、企業や国民にとって、「初」級に影響を与える事だと、私は思っています。(^^)
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