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ノンフィクション作家の日常「消えたゴールデンウィーク」

0503
太田出版の村上さんから新著「スポーツアイデンティティ」の再校ゲラを受け取り、カタナで事務所へ。道も駐車場も空いている。
初校で何度も読み返したはずだが、気になるところが沢山出て来る。立ち止まって考えることが大切なのだ。


0505
週刊現代のゲラが届く。吉本興業の大﨑洋会長インタビュー。単行本の再校を中断して校了。とにかく面白く、4ページでも足りないぐらいだった。本当は大﨑さんが注力している「教育」「地方創生」についても書きたかった。ぼくたちの仕事の半分ぐらいはいかに原稿を削るか、である。

スティーブンキングは『書くことについて』でこう教えている。

「何かを書くときには、自分にストーリーを語って聞かせればいい。手直しをするときにいちばん大事なのは、余計な言葉をすべて削ることだ」
このとき、グルードはほかにも含蓄のある言葉を口にした——ドアを閉めて書け。ドアをあけて書きなおせ。言いかえるなら、最初は自分ひとりのものだが、次の段階ではそうではなくなるということだ。原稿を書き、完成させたら、あとはそれを読んだり批判したりする者のものになる。運がよければ、批判するより読みたいと思う者のほうが多くなる。

まったく正しい。

0506
久しぶりに新橋で軽く飲みながら打合せ。全く人気がない。いつも混んでいる人気の居酒屋ががらがら。待たずに入ることが出来た。顔を合わせて話をすると次々とアイディアが出て来る。戻って再校ゲラと格闘。あと少し。

0507
朝一番、カタナで「スポーツアイデンティティ」のゲラを村上さんに届ける。
そのまま調布のSCMでカタナを預ける。新型コロナで自粛していても、車検はやってくる。こんなに天気がいい中、遠出できないというのに。

そして、週刊現代の発売日でもある。

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0512
多いときは週三回、だいたい週二回、柔術の練習をしていた。そんな日々が嘘のようだ。躯を動かすために自転車に乗る機会を増やすことにした。車、オートバイ、自転車、ぼくは車輪のついた乗り物が好きである。

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ようやくカニジルwebが立ち上がる。カニジル04は明日から配布。

0513
数日間、フットボール批評の新連載の録音データを起こし、取材データ、資料を読み込んでいた。すでに膨大な量に膨れ上がっている。話を聞きたい人物が何人か亡くなっているのが惜しい。過去に遡るノンフィクションは時間との勝負でもある。
データを精査していると不明な点が次々と出てきた。いつもならば国会図書館に駆け込むところだが、今は閉館中。サッカー協会のミュージアムも同様だ。
すると、担当編集者・滝川君が色々と当たってくれ、貴重な資料をお借りすることが出来た。それもすぐに、である。ぼくはつくづく編集者に恵まれている。
書き出すまでは時間が掛かったが、始まると一気に筆が進む。初回からいきなり出て来る人のキャラクターが強い。

キングファーザーこと納谷宣雄、三浦知良、そして李国秀——。面白くないはずがない。

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