田崎健太(ノンフィクション作家)

68年京都市生まれ。ノンフィクション作家。 (株)カニジル代表。著書に「偶然完全 勝新…

田崎健太(ノンフィクション作家)

68年京都市生まれ。ノンフィクション作家。 (株)カニジル代表。著書に「偶然完全 勝新太郎伝」「球童 伊良部秀輝伝」「電通とFIFA」「真説長州力」「真説佐山サトル」など。最新刊は「横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか」(カンゼン)。

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【全文】「真説佐山サトル」ノート

※この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」の連載に修正、加筆したものです。原稿用紙296枚、おおよそ単行本一冊分になります。その他、取材時に撮影した未発表写真、佐山さんからお借りした貴重な資料や写真も掲載しています。 4月20日発売の文庫版「真説佐山サトル」(集英社)と合わせて楽しんでください。 【はじめに】  どんな分野であろうと、人間を取材することに変わりが無い。ひと揃いの使い慣れた道具を取り出せば、どんな分野でも描くことが出来ると

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    • 【書評】「移民の子どもの隣に座る 大阪・ミナミの「教室」から」「男はなぜ孤独死するのか 男たちの成功の代償」

      「カニジル」と「虹くじら」の入稿、新しい企画の準備などで追われ、暑さでへばっています。 コロナ後遺症については、とりだい病院の黒崎先生の勧めで服用をはじめた漢方が効いているのか、ここしばらくは寝込むほどの頭痛はなし。このまま行きたい。 最近読んだ本の一部。 「移民の子どもの隣に座る 大阪・ミナミの「教室」から」(玉置太郎 朝日新聞出版)の著者は朝日新聞の記者。 彼は「移民のルーツ」をもっている人間が多い、ミナミの「島之内」に家族と共に住み、「Minamiこども教室」でボラン

      • 【書評】「狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅」(中澤雄大 中央公論新社)、「スヌーピーがいたアメリカ ピーナッツで読みとく現代史」(ブレイク・スコット・ボール 今井亮一訳 慶応大学出版会)

        出版社を退社した30代はじめから、資料を読み込んだりすることもあって、365日のうち何らかの仕事をしないのはひどい二日酔いの日だけだった。 最近は、コロナ後遺症の頭痛もあるので、ペースを落として土日は休むようにしている。 とはいえ、本は読む。 長らく積ん読になっていた二冊を読み終えた。 まず「狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅」(中澤雄大 中央公論新社) 20代の頃、井田真木子さんと一度だけ仕事をした。そのときに日本の純文学=私小説となったことで、日本文学が矮小化、世界に通

        • 【書評】「サイエンスフィクション あなたが知らない科学の真実」「アメリカは自己啓発本でできている ベストセラーからひもとく」「お客さん物語」

          暑くて仕事山積みで……しかし頭痛が出るので休みながら色々とやっています。 その合間に読んだ本の一部 「サイエンスフィクション あなたが知らない科学の真実」(スチュアート・リッチー ダイヤモンド社)は「エビデンス」という言葉の怖さを思い知らされる。いかに「論文」が恣意的に操作されるか。ぼくたちは科学では「再現性」があるものだと信じている。しかし、多くの論文——特に心理学ではそうではないと著者は書く(日本でも似非心理学者の本が溢れている)。研究者の良心に頼らざるえないという現

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          書評『はじまりのテレビ 戦後マスメディアの創造と知』はテレビを語る上で必読の一冊

          頭痛に悩まされながら、原稿を書いては横になるという感じで、かたつむりのように仕事を進めてます。 その合間に読んだ本の一部。 『ルポ 海外「臓器売買」の闇』(新潮新書)については、ぼくも興味があり調べていた問題でもある。国外での臓器移植の闇を読売新聞社会部が丁寧な取材で追い詰めている。ぼくたちのような個人の書き手、あるいは週刊誌ならば一気に行くところを、(いいかどうかは別にして)新聞ではそうしないところも印象的。 余談になるが、新聞記者たちの総合力、足腰の強さは間違いない

          書評『はじまりのテレビ 戦後マスメディアの創造と知』はテレビを語る上で必読の一冊

          傑作、必見!! ペルー映画「革命する大地(La revolucion y la tierra)

          昨日、教え子たちとの飲み会の前、新宿のケーズシネマでペルー映画「革命する大地(La revolucion y la tierra)をようやく観ることができた。 傑作——。 過去のペルーのドラマ、ドキュメンタリーを発掘、その映像とインタビューを組み合わせるという構成。スピード感のある編集、2時間があっという間だった。 テーマは軍事政権のベラスコ大統領について、だ。 ぼくはペルー大使公邸事件の取材でしばらくリマに滞在、その後も何度かペルーを訪れている。映画に出て来る新聞「エル・コ

          傑作、必見!! ペルー映画「革命する大地(La revolucion y la tierra)

          良質のノンフィクションは時に相手の心臓にナイフを突き立てる——「ルーリード伝」(アンソニー・デカーティス著 奥田祐士訳)

          「ルーリード伝」(アンソニー・デカーティス著 奥田祐士訳) ノンフィクションとしても音楽評論としても第一級の作品。 ルーリードのメディア嫌い、奇人変人ぶりは冒頭、著者でルーリードの友人でもあるアンソニー・デカーティスが教鞭を執る大学に呼んだとき、登壇するかどうかぎりぎりまでやきもきしたというエピソードで分かる。 ぼくは週刊ポスト編集部時代、作家で映画監督のポール・オースターにインタビューしたことがある。取材後、「あなたはルー・リードと仲良いんですよね」と話しかけると、オース

          良質のノンフィクションは時に相手の心臓にナイフを突き立てる——「ルーリード伝」(アンソニー・デカーティス著 奥田祐士訳)

          真説佐山サトルノート Last round 文庫の追加取材——エンセン井上2

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】 エンセンさんの生き様は実に「アメリカ人」的である。  子どもの頃からバスケットボール、野球、そしてラケットボールという複数の競技に触れ、その中で自分に向いていると思われたラケットボールを選んだ。一つの競技を突き詰めることを是とし、他競技との並立を嫌う日本とは違う。  また、大学生のときから「個」の意識を持って

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          【無料公開】真説佐山サトルノート round 29 文庫の追加取材——エンセン井上1

           【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  重版で修正を入れることを除けば、印刷された自分の単行本を読み返すことはほとんどない。  責了までの過程で嫌ほど、読み返し、修正を入れる。もうゲラを見たくないほど、その世界に没頭する。終わった瞬間、ぼくは頭を次の作品に切り替えるのだ。  理由は幾つかある。  まず印刷された後に読み返すと、直したい箇所を見つけてしまうのが嫌

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          真説佐山サトルノート round 28  登場人物の一人をイニシャル「K」とした理由

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  連載開始時には、ほぼ原稿を書き終わっている、あるいはしばらくは〝貯金〟があるという書き手もいれば、ぎりぎりにならないと書かないという人間もいる。  ぼくは後者だ。  『真説・佐山サトル』は、この連載の初回で書いたように見切り発車のような形で始まったこと、そして月刊誌であり時間的に余裕があるということから、毎月、原稿を書き出

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          真説佐山サトルノート round 28  登場人物の一人をイニシャル「K」とした理由

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          真説佐山サトルノート round 27 単行本原稿から落とした前田日明「証言」

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  前田日明さんの二度目の取材を行う日、スーパータイガー対前田さんの試合映像を繰り返しみていた。  UWFにはプロレス団体運営に必須であるテレビ中継がなかった。団体が後に発売するために録画していたものだろう、映像にはアナウンサー、解説者の音声は入っていない。  大阪臨海スポーツセンターのリングは暗い。先にリングに立っていた前田

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          真説佐山サトルノート round 27 単行本原稿から落とした前田日明「証言」

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          真説佐山サトルノート round 26 再び、前田日明と会う

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】 『真説・佐山サトル』を書く際、延べ五十人ほどの人間に話を聞いている。不明な点が出てきた場合は、電話、メール等で確認したことはあるが、その多くは一度きりの取材である。  数少ない例外の一人が前田日明さんである。  すでに触れたように、二〇一六年六月末に前田さんにインタビューしている。このときは、佐山さんとの出会いなどを中心に聞

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          真説佐山サトルノート round 26 再び、前田日明と会う

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          真説佐山サトルノート round 25 「ケーフェイ」の真実

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  井上さんと合流し、京成立石駅前のこじんまりとした洋菓子屋に入った。小柄な女性を想定して作られた空間なのだろう、小さなテーブルに一八〇センチほどのターザン山本さんとぼくが座るのが精一杯だった。付き添いで来た井上さんと伊藤健一さんは隣のテーブルに座ることになった。 「立石には飲み屋は沢山あるけど、落ち着いてお茶を飲めるのはここ

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          【無料公開】真説佐山サトルノート round 24 京成立石のターザン山本

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  新聞あるいは雑誌の人間(及び出身者)は、ネットメディアの編集者、ライターの質の低さを嘆く傾向がある。ぼくもその一人だ。  時々、著者インタビューなどでぼくは取材を受けることがある。これまであまりの不勉強さに席を立ったことが二度ある。両方ネットメディアだった。  紙媒体の取材では、稀に勉強不足だなと感じることはあっても、そこ

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          真説佐山サトルノート round23 ジークンドーの達人

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  〝会議〟の詳細を調べることが難しいことの一因は、修斗に関する資料はごく限られていることだ。  プロレスの場合、『東京スポーツ』――東スポがある。しばしば東京スポーツは日付しか会っていないと、揶揄されるが、それは間違いだ。  特に一九八三年の新日本のクーデターから、翌八四年のUWF立ち上げの時期については、東京スポーツの記事

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          真説佐山サトルノート round23 ジークンドーの達人

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          真説佐山サトルノート round 22 誰も詳細を覚えていない不思議な「会議」

          【この原稿は二〇一六年八月から二〇一八年四月まで水道橋博士主宰「メルマ旬報」での連載を修正、加筆したものです。秘蔵写真も入っている全話購入がお得です】  一九九六年の夏頃、修斗の主たる選手、スポンサーだった「龍車グループ」の人間たちが集まり、佐山さんを追い出す「会議」が開かれた。  この会議で何が話し合われたのかを真説佐山サトルでは、きちんと書かねばならなかった。そしてぼくは主な参加者を一人づつ訪ねていくことにした。  最初に会った〝出席者〟は桜田直樹さんだった。  桜田さ

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          真説佐山サトルノート round 22 誰も詳細を覚えていない不思議な「会議」

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