✒たゆたい うみこ

私が愛したものたちの話。とか、ポエマーオタクの熱情を認めたり、虚構まみれの妄想エッセイ…

✒たゆたい うみこ

私が愛したものたちの話。とか、ポエマーオタクの熱情を認めたり、虚構まみれの妄想エッセイを書いてみたり。文章で遊ぶのが好きです。

最近の記事

「魔法の指輪」

知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる。馴染みのない店の名前に、馴染みのない商品達。そこにぽつんとひとつだけ、微かな記憶と重なる一冊の本。日に焼け、薄汚れて見えるそれは周囲を飾る色とりどりのガラス細工の中で浮いている。まるで、そこだけが過去。 不思議に思うも、手に取るのは憚られ、あたかも商品に興味があるように振る舞う。数秒そうしていれば、店の奥から店員が笑顔で話しかけてきた。 「いらっしゃいませ。どうぞお手にとってご覧くださいね。」 「あの、これは……?

    • 「誰かの話」2022.9.17~10.30

      『誰かの話』 「彼女は、彼等の人生が後悔多きものにならぬようにと、何度も何度も手を差し伸べたが、彼等はその手を終ぞ取ることはなく。ああ、彼等の不幸は彼等が自ら招いたものなのだ。決して、彼女の仕業ではない。」 「彼女の人生は痛み多きものであったが、彼女はその痛みを恥じてはいなかった。彼女が彼女を誇れるままであれたことは、彼女の人生にとって最も幸福なことだろう。」 『彼女の話』 「だから私言ったんです。我慢することは必ずしも良いことにはならないって。でも彼女、そう言っても微

      • 妄想エッセイについて

        こんにちは、たゆたい うみこです。 「私と彼の始まりと終わり」というタイトルで虚構まみれの妄想エッセイを投稿することがあります。今はこのシリーズだけですが、他にも思い付きで妄想エッセイが増えるかもしれません。 これは私の中にある"エッセイという創作"に対するアプローチのひとつとしての試みでしたが、キャラ名を出すことによって不快な思いをされる方もいらっしゃるのでは?と思うのでイニシャルに改めました。 しかし、イニシャルにすることによって最後に「全て虚構だよ!」ということが判明す

        • 「私と彼の始まりと終わり CASE.1」

          ※妄想エッセイについて 告白は三度目のデートの帰りがけだった。 もう少し時間良い?と言われて、特に急いでもいなかったので了承した。 ちょっと歩こうか、と促されて夜景の綺麗な場所へ移動した時「あ、これは」と思ったのを覚えている。まぁデートも三度目だったのでそろそろだろうなとは思っていたけれど、意識すると途端にドキドキとしてくる。 彼がベンチに座り、私は何だかその隣に座れなくって立っていた。 暫くの沈黙の後、彼が「好きです」と私に言った。その途端に顔が熱くなって、ごにょごにょと

          『Love,Hate,Love.』感傷文

          こんにちは、たゆたい うみこです。 今回はヤマシタトモコ『Love,Hate,Love.』(祥伝社、2009)の感傷文です。 (※感傷文とは:感想文の中でも特に心が揺れ動き過ぎている、酷く感傷的な文章のこと。さっき思いついた造語ですがたぶん私が一人目ではない。 【感傷】かん―しょう:わずかな刺激ですぐ感情が動かされる心の傾向。感じやすい心のさま。『日本国語大辞典』より) この作品を読んだ時、私の恋愛バイブルが決定した。 ……というか、2009年に初版刊行なのか。もうそんな

          『Love,Hate,Love.』感傷文

          私が愛したものを遺そう。

          はじめまして、たゆたい うみこです。 私の人生に在る愛するもの達についての話をどこかに遺すのもいいのかもしれない、と思ってnoteを始めてみました。 大好きなものについて長々と語る場所が欲しかった、というのが一番の理由ですが、もし私の「好き」が誰かの「好き」に繋がったら、それはとても素敵なことなのではないかと思います。

          私が愛したものを遺そう。