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夏の詩

夏、ちょっとだけ血の匂いがする
目に見える景色と蝉の声、全てが過剰に鮮やかな季節

むせ返る暑さも日差しが肌を焼く感覚も
いっこうに慣れなくて、フィクションみたい

あの子の手を握れないことを夏のせいにして
わたしがひとりでいることを夏のせいにして
木蔭を選んで歩いている

いつから夏は頑張らないといけない季節に
なったのですか?
ラムネ色の空気と入道雲、塩素の匂い
記憶のなかの片鱗だけをきっと
夏と称するのでしょう。

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