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【別府】後世に残したい銭湯文化

山は富士、海は瀬戸内、湯は別府
かつて油屋熊八が銘打ったように、別府の魅力の1つは「温泉」。

別府の街を歩くと、あちらこちらに大衆浴場を見かける。
別府市民にとっては大衆浴場は家の「お風呂」のような感覚。

入湯料は毎日利用しやすいようにお財布に優しい100~300円に設定されているところが多い。別府市や公民館等が運営しているところが多く、みんなで町のお風呂を守ろう!という姿勢が伺える。

街を歩いていると、上半身裸のおじいちゃんや、パジャマ姿でシャンプー・リンスをプラスチックの籠バッグに入れぞろぞろと家族で浴場へと向かう人達と遭遇する。市民たちにとっては大衆浴場までの道も「我が庭」なのかもしれないな、と思わずにはいられない。

別府は、かつて鶴見岳の噴火により地盤が南北に引っ張られて形成された土地。「別府八湯」と呼ばれる、8つのエリアに異なる泉質が湧き出るという、奇跡的な恵みを与えられた地域でもある。この土地に住んでいる人々は1300年以上に渡り、その恩恵に感謝し、大切に現世へと守り継いできた。

私のお気に入りは別府市末広町にある「末広温泉」。入湯料は200円、泉質は単純温泉である。

女湯と男湯に異なる銭湯絵が描かれている。その特徴は、全国で一般的にみられるようなハッキリとしたカラーではなく、パステルの淡い色彩で描かれているという点である。

女湯には男岳である由布岳が、男湯には女岳である鶴見岳が描かれ、浴槽のふちに頭をかけ、じんわり身体を温めながら眺める時は、私にとって至福の時だ。

大衆浴場を利用する時必ず心得ておきたいルールの1つが「挨拶」である。「こんばんは」「おやすみなさい」見ず知らずの方々とも挨拶を交わすのが、この町のスタイル。古き良き日本が、ここ別府には今も息づいている。

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