読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」5
1.神話と情報
なぜ近親相姦が語られるのか?
一つはその話題が「面白い」からだろう。つまり近親相姦という情報には価値があるってことだ。
情報価値は極論、確率だ。低い確率ほど価値がある。
近親相姦が情報になるということはその発生確率が低いてことになる。つまりその社会で近親相姦は滅多に発生しない。であれば逆にその社会には近親相姦タブーがあるのだろうと想定してもよさそうだ。
2.情報価値
確率が低いことに興味を感じる、情報価値を感じる、のは我々も同じだ。犯罪や事故がニュースとなる。3年前のコロナの時にも似たようなこと書いたっけ。
それどころか顔しか知らない芸能人のゴシップや、匿名の人生相談の不倫や浮気にさえ腹を立てたり同情したりする。
前回も記したがxx族の神話は決して遠い「未開社会」の物語ではない。現代日本にも溢れてる。近親相姦なんてAVやエロ漫画で堂々たる一ジャンルだ。
要はそれを見聞すると感情が動いてしまう、興味を惹かれてしまう、刺激を感じてしまうのはその発生確率が低いために情報価値があるからだ。これは別に人間に限らない。あらゆる生物の原理。ユクスキュルよろしく生物によって環世界が違ってもこの原理は同一だ。
3.情報価値と構造
「匿名の人生相談の不倫や浮気にさえ腹を立てたり同情したりする」ということは、ある特定の人物に腹を立てたり同情してるわけではない。「家族構造を逸脱したこと」その事自体に腹を立てたり同情したりしているということだ。
神話も同じだと思う。
神話の主人公の「ある男」も「人生相談の匿名」と同じく特定の人物ではない。家族構造における「男」という位置のことだ。
つまり神話は人の話をしているのではない、構造の話をしているのだ。
なのでとりあえずは固有名詞は必要ない。
係長や課長の話をしているのであり、係長である鈴木太郎さんや課長の田中花子さんの話をしているわけではないてことだから。
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