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防衛費増額の前に600ドルの便座を探せ

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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日の話はタイトル通り

防衛費増額の前に「600ドルの便座」を探せ

です。
600ドルの便座とは1980年代のアメリカで起こったスキャンダルのことで、

国防総省がロッキード社から640ドル(85000円)の便座や436ドル(58000円)のハンマーを買っていた

というものです。
それをきっかけに37ドル(5000円)のネジや7622ドル(100万円)のコーヒーメーカーなどの言葉がメディアを賑わせ、それ以来「600ドルの便座」は政府の無駄遣いを象徴する代名詞として今でも時折マスコミに取り上げられます。

さて、昨今の日本において「防衛費増額」の議論が持ち上がり、「賛成」「反対」「増額は賛成だけど増税は反対」など様々な意見が飛び交っています。

しかし重要なのは、予算の大小ではなく

「支出の中に600ドルの便座は無いのか」

です。

岸田政権は2023年度からの5年間で防衛費を総額43兆円まで増額すると発表しました。
同時にそれに必要な年間4兆円のうち、歳出見直しでも捻出できない1兆円については

「国民の税制で協力をお願いしなければならない」

として増税の方針を打ち出しています。
しかしほとんどの人が勘違いしていていることがあります。

国民の負担は増税される1兆円だけではありません。

毎年増える4兆円も含め、総額43兆円の5年間の防衛費全てが国民負担です。

その中に「600ドルの便座」が無いのかを監視できる仕組みがないなら防衛費に限らずですが、

政府予算なんていくら積み上げても同じです。

これは「防衛費増額が必要か」以前の話であり、「600ドルの便座」の検証が出来る仕組みが無い日本では防衛費増額の議論は時間の無駄でしかありません。

「子供が食べ盛りだから食費が掛かって家計が赤字」という家庭があったとして、でもその内容が「子供が好物だから毎日松阪牛と大間のマグロと伊勢海老とツバメの巣を買ってます」なら、赤字の原因は「子供が食べ盛り」ではなく「高級食材ばかり買ってる事」です。

その原因を無視して「食費を増やすべきか」を議論する無意味さは説明するまでもないでしょう。

防衛費増額を語る政府は、復興予算で沖縄のバス停に外国語表示をしたり、スカイツリーのイベントをすることを良しとする政府であることを忘れてはいけません、

ということで、今日は冒頭の「600ドルの便座事件」から40年近く経ったアメリカで書かれた

国防総省の無駄な予算を一掃しろ

という内容のコラムをご紹介します。

予算の浪費が無くならないのはどこの国でも同じだなと思うと同時に、アメリカが世界1位の座にいる要因は世論側に「解決しようとする問題意識がある」事だと思います。
このような議論すらなく、また議論させようとしない風潮が日本の弱さの原因なのでは?ということを考えがら読んでいただければと思います。


2017年7月21日、マティス国防長官は国防総省の無駄な支出をなくすことについて

「省内のあらゆる人々が、支出されたすべての予算に対して最大限の責任を負い、予算規律を浸透させ、コスト意識を持つことによってのみ我々は納税者のお金を預かる議会と米国民の信頼と信用を得ることができる」

とコメントした。

私は30年以上にわたって国防総省のひどい支出を検証してきたからこの長官の言葉には勇気づけらた。
しかし、この言葉の後も国防省は何も変わっていないようだ。

ここ数カ月だけでも、国防総省は3Dプリンターで作られた便座の蓋に14000ドル(180万円)、コップ1個に280ドル(37000円)も支払った理由の説明に追い込まれた。
これらは1980年代の436ドルのハンマー、90年代の117ドルの石鹸皿や999ドルのペンチなど、これまでの同省が行った意味不明な購入リストにある最新の例に過ぎない。

これらの無駄な支出は、2019年の同省の予算が7000億ドル以上もあることが根本的な原因となっている。
もし財務が適正であれば、無駄に高い備品や契約は承認される前に発見されるからだ。

更に不正、無駄、乱用、盗難を見つけやすくし、抑止するための効果的な内部統制も、税金の不正使用を防ぐためのファイアウォールの役割を果たすだろう。

1990年、連邦議会は最高財務責任者法を可決し、すべての連邦政府機関は監査官または独立した会計事務所による監査を受けるために財務諸表を作成することを義務づけられた。

監査役は財務諸表を審査し、問題なし、不備あり、不合格のいずれかの意見を述べる。
その目的は、財務上の問題を特定し、修正することによって、政府の説明責任を果たすためである。

それ以来、国防総省を除くほぼすべての連邦政府機関が、毎年クリーンな監査を行えるようになった。
国防総省が出来ない理由は、その会計システムが破綻していたためである。

ペンタゴンは、複数の会計システムを持つ多くの支部や機関によって構成されていた。
何百もの異なる会計システムがあり、何百もの異なるプロセスがあった。
この複雑に入り組んだシステムは、無駄、不正、乱用のためには最適なな環境だった。
例えばあまりに多くの異なるシステムが存在するため、領収書や契約書などの文書が、意図的か偶然かに関係なく簡単に消えてしまうのだ。

支出されたすべての予算について説明する能力がなければ、国防総省に対する監査を行う方法はない。
また、どのような経費がどれだけ使われているのかを正確に知る方法もない。

納税者は、国防力を強化し、軍人を支援し、国家の安全を守るはずの国防総省のプログラムに資金を提供するために、毎年何十億ドルも納税しているのだ。

しかし無駄な予算はアメリカの軍事力を弱め、全ての国民の財産と国力を奪う。

先月、米国防総省は4億ドル以上を投じて実施した会計監査の結果を発表した。
その結果は驚くようなものではなかった。
データを提供できる会計システムがないのだから、最初から期待はしていない。
監査は納税者のお金の無駄遣いだ。

私が驚いたのは、結果ではなく国防総省の高官たちの反応である。
国防省の副長官は記者団に対し「監査に合格するとは思ってもいなかった」と語ったのだ。

このコメントは、納税者の金の無駄に支出することに対し、国防総省が今も軽率な態度をとり続けていることを物語っている。
同じ結果しか出ないであろう監査に何億ドルも費やす前に、会計システムを修正するのが国防総省の賢いやり方であろう。

国民は常に通帳の残高を確認し、クレジットカードの明細を精査し、家計を管理するためにスマホアプリを活用している。
国防総省が同じことを効果的に行えない理由はない。

国防総省は今一度マティス長官の言葉に耳を傾け、納税者の納めた税金の良き管理者になるという彼の約束に応える必要がある。


ということで、今日はここまで!

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それでは、ナイス減税!
引用元https://www.nytimes.com/2018/12/19/opinion/pentagon-budget-military-spending-waste.html

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