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矛盾が協調するときー福田平八郎のオポジション【ホロスコープからみる芸術家のひとかけら⑨の2】

こんにちは、たわ鹿です。

いつまでも古びない絵というものはあるもので。
没後50年も経った福田平八郎の絵も、まさにその一つ。

展覧会の公式Xに、「モダン、カラフル、チャーミング!」と形容されていたのも、その古びなさを表しているように思えていいですよね。

今までも、これからも、
いつまでも残ってほしい絵です。

さて、そんな平八郎さん。

初めからセンス抜群!というわけではありません。
いや、もしかしたらセンスは元々抜群だったかもしれませんが、初めから発揮できていたわけではないと言った方がいいかもしれません。

努力の末に、徐々に花開いていった感じです。

今回は、努力の星・土星とその対向にある木星に注目していきたいと思います。


◎ちょっとおさらいー魚座な人

※前回記事はこちら↓↓↓

魚座に星の集まる平八郎。
自然の「息吹」を描こうとした人です。
目に見えないものにも共鳴する魚座らしく、自然の姿形ではなく、そこに宿る本質を描き出そうとしました。

◎とにかくなんでもスケッチ

平八郎は、自らを「写生狂」と呼ぶほど、膨大なスケッチを残しています。
よく主題に用いられた《竹》だけでもノート何冊分もスケッチがあります。

子どもの絵まで!

ーーー

写生とは、「景色や事物のありさまを見たままに写し取ること」とされています。

見たままを写しとるというのは、客観的で具体的な行為です。

ですが、平八郎が目指したのは魚座的世界。
自然の見た目ではなく、内包されている「息吹」に注目しています。

さて、突然ですがここでクエスチョン!

Q.自然の息吹ってどんな形?

はい、いくつか解答例をば。

A.
もわもわ?
わからん
風みたいなの
緑っぽい

うん、ぼんやりした言葉のパレードですね。

この質問からもわかる通り、「息吹」って抽象的な概念です。

写生へのこだわりは、具体性を追求する行為ですが、目指すべき絵は抽象的概念を含みます。

平八郎のしていることと目指しているものは、矛盾があるように思います。

◎土星と木星のオポジション

ホロスコープで矛盾といえばオポジション。
平八郎はここにあります。

(Astro Gold より) ※ソーラーサインハウス

乙女座土星と魚座木星のオポジションです。

これを見たとき、まるで平八郎の中の具象性(土星)と抽象性(木星)が向き合っているように見えました。

木星は、広げる星です。
どんどん受け入れ広がって、抽象的な概念を扱うのが得意。
反して土星は、狭める星。
切り詰めて、固めて、確実性を得ることが得意。
(というより「そうせねば!」感がありますが)

どんなに相容れなくとも、オポジションは向かい合う相手を無視できません。
ということは、平八郎は具象性にこだわりながら(土星)、抽象性を広げていく(木星)ことになります。

また、この木星は、魚座内にある太陽の意志や月の心、水星の知性をも支えているようにも見えます。

木星「まとめて面倒見るよー」

みんなまとめて考えると、木星の役割は、抽象性を「広げる」というより「目指す」という方が当てはまるかもしれませんね。

さて、お次は、各惑星を細かく見ていきます。

○これぞ「写生狂」?ー乙女座土星

乙女座は、細かい仕事や仕分け・整理が得意です。
俯瞰した視点より細部を見て処理する力ですね。

前に取り上げた乙女座金星のミレイも細部に凝っていました。

また、柔軟宮である乙女座は、「私、来た球全部受け止めます!」みたいなところがあります。
ミレイのように金星が乙女座ならまんまその感じ。
「全部受け止めるって快感!だから、全部受け止めちゃうわよ!」ってね。

ただ、平八郎は土星なのでちょっと語尾変換が必要です。

※ネバダ州をヒントに

「来た球全部受け止めねば!」

もとい、

「見えるものは全て描き留めねば!」

さらに、

「全て描き留めて、完璧な作品に仕上げねば!」

ネバダー。


で、当初の結果がこう。

散っていく雄しべも受け止める乙女座の土星の凄さです。
すごいけれど、「息吹」と言われると弱いような気がします。

《緬羊》(左隻)大正7年(1918)大分県立美術館
※没後50年 福田平八郎展 公式サイトより

これとかも。
ひつじ好きとしては「そうじゃない」感があり。
私は絵とか描けないから、単純にすごい!とは思うんです。
ただ、ひつじの良さはそうじゃないんだよーと思ってしまう。

このように初期の作品を見ると、この頃のオポジションの効果は、乙女座土星が優勢のように思えます。

土星と木星がそれぞれに向き合っているというより、木星が土星の意志をどんどん受け入れている感じです。

♄「細かく描きたいんじゃ!むしろ細かく描かなきゃ!」
♃「そっかー、そうしよそうしよ」
♄「もっとだ!」
♃「オッケーオッケー」

みたいなね。

○大らかなまとめ役ー魚座木星

この木星は、⑨の1で書いた、平八郎の目指したものを表していると思います。

自然の息吹、真髄に注目していく世界です。

木星は肯定の星。
木星のあるサインやハウスの事柄については、全肯定しやすいと言われています。
いわば、根拠のない自信を持てるところ。

平八郎は、「自然の息吹を描くための苦労と努力」はしていますが、「自然の中に息吹があるのか?」とは悩んでいないように思えます。

「息吹はある」前提で、目的に向かってまっしぐらな印象。

これが、木星の強さってやつですね。疑わなきゃ真っ直ぐ走れるってことです。

さて、その木星さん。
初めこそ土星に押されていましたが、魚座太陽の意志がはっきりしていくにつれ変化していきます。

太陽、水星、月の「信念に向かうために生きること」「そのために考えること」「そうしたい気持ち」全てを木星が丸ごと受け止めて、その上で土星と向き合っていくようになるのです。

それが《漣》へつながり、その後のたくさんの作品へとつながります。

まるで抽象画のようです。

ですが、抽象のための抽象ではなく、具象を突き詰めた上で抽象的になっているのです。

乙女座土星の「あるがままを受け止めて描く」姿勢。
そこに、「魚座の感覚」を加えることで、ただのスケッチではない「平八郎の作品」へと変わっていったのでしょう。

土星も木星も主張し続けたことで、唯一無二の表現になったところが面白いです。

スケッチへの情熱はそのままに、晩年は作品に大らかさが宿っていくのも興味深いですね。

◎相手に飲み込まれない柔軟宮

平八郎は、写生によって同じ題材と何度も向き合い、どこまでも変化についていきました。
相手の変化についていくのは、自分を消すことにもなりかねません。

相手に染まりつつも自分を残す、もしくは、自分も共にありながら相手に染まる。

こんな感覚を持てたとき、柔軟宮は輝きます。

平八郎は、絵という土台で、それをやってのけた人なんだと思います。

こちら、「没後50年 福田平八郎展」企画のもの。
詩人の最果タヒさんとのコラボレーションです。

表面だけでない表現は、見る人それぞれに想いを起こさせ、表現の連鎖につながるのかもしれないですね。

魚座の真骨頂?な気がします。

まあ、その連鎖を確実に絵という形で達成できたのは、木星より土星が頼りになった感じですが。

こんな感じで。

土星を頼りにしていたぞってね。

◎柔軟宮に星をお持ちの方へ

柔軟宮に星を多くお持ちの方は、平八郎のようにそれが輝くのを助ける星があるかもしれません。

ぜひ探してみては?

絵の世界でなくても、あなたに合った世界とやり方で、柔軟宮の強さを発揮できるかもしれません。


はい、【ホロスコープからみる芸術家のひとかけら・福田平八郎】はここまでです。

今月18日(土)から、大分県立美術館で平八郎の展覧会が始まるので、お近くの方はぜひ行ってみてください。
いいですよー。


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《素描(うす氷)》 (1949)
平八郎の好きなお菓子だったよう。
平八郎って、絵への向き合い方は水要素が強くて、受け入れてなんぼなんですが、好きなものには火の「こっちからいくぜ!」要素万歳なんですよね。
火星射手座、金星牡羊座なので、好きなものには真っ直ぐです。

◎参考文献

・『福田平八郎 その人と芸術』山種美術館
・「美術の窓」2024-2:第43巻_第2号:No.485 生活の友社
・『福田平八郎 Suiko arts』光村推古書院
・『カンヴァス日本の名画 22 福田平八郎』井上 靖/[ほか]編集委員
・「没後50年 福田平八郎展」公式サイト
・豊田市美術館 研究紀要ーNo.7 2014福田平八郎 〜生命力の色と形〜 吉田 俊英