『LIFE HOUSE』vol.13は、8月15日(土曜)の21時から。 内橋和久さんがベルリンの自宅から出演してくれます。🎸🌏

ロゴ写真Ver.

8/15(土曜日)の21時から、七尾旅人youtubeチャンネルにて、『LIFE HOUSE』vol.13を配信します。

今回は内橋和久さんがベルリンの自宅から出演して下さいます。世界的に活躍するギタリスト、即興演奏家であり、僕の恩師とも言える方です。

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2003年頃、僕の「蜂雀」というアルバムを気に入ってくださった内橋さんからメールが届き、交流が始まりました。

それは20代序盤の僕にとって、本物の演奏者に初めて間近で触れる体験でした。
技巧の高さはもちろんですが、内橋さんの奏でる音は、千変万化する海のような深遠さと同時に、まるで子供の心のように澄み渡っていて自由闊達で、時代も世代も軽々と飛び越えてしまう、タイムレスな魅力にあふれていました。
イノセントレコードという自主レーベル名にも現れていますが、
常に先端的な場を切り拓いてきた内橋さんが内心でいちばん愛してきたものは、前衛でも実験でもなく、
ただあらゆる命が本来的に抱える、純真そのものではないでしょうか。

僕の「タブ譜すら読めず、基礎技術も無いが、無軌道に自由」みたいな部分を買ってくださったのか、即興演奏のイベントに初めて招き入れてくださったのも内橋さんでした。
こうした経験がなければ「百人組手」のような即興イベントをオーガナイズする方向にも行かなかったと思うし、さまざまな演奏家たちとの出会いもなかったでしょう。

人に対してまったく偉ぶるところがなく、常に優しくユーモアを交えながら他者と接する内橋さんですが、こうして僕のように音楽人生を一変させられたミュージシャンや、新たに派生したシーンは数え切れないほどで、
メディアやヒットチャートとは無縁の場所で、世界中の音楽家たちから圧倒的支持を集めてきた、現代の巨匠と言えると思います。
巨匠などと書くと、ご本人は相当嫌がりそうですが。

コロナ禍のあいだ、岡田利規氏の演劇作品「未練の幽霊と怪物」のオンラインリハーサルで内橋さんと毎日のように顔を合わせ、久しぶりに実家に帰ったような、不思議な時間を過ごしました。

40歳になった今、気づくことですが、内橋さんは僕にとって、一言で言えば、実家。
立ち返る場所というか。
16で故郷を飛び出してきてしまった自分にとっては、とても大切な存在です。

パンデミックによって、我々の生きてきた場所が空前の危機にさらされるなか、LIFE HOUSEは、「オンライン上に出現した架空のライブべニュー」「急ごしらえの、仮設の家」として生まれ、継続されてきました。

いつかこの荒野を抜け、本当の家がもっと近づくまで。
もしくは、また何らかの形で、あたらしい家を築けるように。
内心そんな気持ちも抱えながらこのシリーズを続けてきたので、
この節目のタイミングで内橋さんと一緒に放送できるのがうれしいです。

欧州の音楽シーンがどの程度復活できているか、文化政策の違いなど、いろいろと伺えたらなと思っています。
対話と、ベルリンからの生演奏を、楽しみにしていてください。


〈イベント概要〉
対コロナ支援・コラボ配信シリーズ『LIFE HOUSE』(ライフ・ハウス)は街角の小さなベニューをイメージした、手作りのオンラインイベントです。投げ銭ライブですが、経済的に苦しい方であっても、無料で誰でも観られます。収益は全てゲストにお渡しするか、相談の上、追い詰められた他の誰かや、お店等への支援に回します。(投げ銭については寄付、施しではなく、出演して下さるゲストさんへの対価と捉えてください。あくまでも小さなライブハウスのイメージで。映像アーカイヴも残しますので、後からでも、いつでも投げ銭可能です。)


〈アーカイブ〉

過去記録を大幅に塗り替えて4時間超えの配信となりましたが、内橋さんと出会って17年、公共の場での初対談、ラジオのように音だけでもいいのでぜひ聴いてみて下さい。
中国、香港の話に始まり、分かち難い音楽と人生の話。
互いの演奏も予定よりだいぶ長く、充実した内容です。

伺いたいことはまだまだたくさんあったけれど、
内橋さんからも僕への質問を考えてきて下さっていて驚きました。
目の前の相手の音を、生命の発露と捉えてまるごと受け入れていく内橋さんの器の大きさに、学ぶことは多いです。
リアルの現場での再会を心待ちにしながら、明日からも頑張ろうと思いました。


※これまでの全放送アーカイブはこちら。
https://note.com/tavito/n/n31ef10620508


〈投げ銭方法〉

◉スマホアプリ「pring(プリン)」もしくは、PayPalの投げ銭サービス「PayPal.Me」を使用します。詳しい説明は、こちら初回放送の記事の下段に。(映像も観られます)

https://note.com/tavito/n/nabe0a5713000

◉「Pring(プリン)」で投げ銭される方はこちら第13回のイベントページです。  

https://team.pring.app/teams/1630/posts/13824     

◉PayPal.Meで投げ銭される場合は(Add a note)に「第13回ゲスト、内橋さんへ」と必ずご記入ください。どのゲストさんへの謝礼か不明になってしまうため。こちらのURLから投げ銭をお願いいたします。

https://www.paypal.me/tamatamastudio

※PayPal.Meでの投げ銭は1回につき(規定の手数料+40円)が投げ銭から引かれますので、少額での投げ銭は 「pring(プリン)」がおすすめですが、PayPal.Meでちょっと上乗せして投げ銭してくださってるお客さんも居ます。感謝。ゲストさんにしっかり届けます。



〈プロフィール〉

◆音楽家 内橋和久  うちはし・かずひさ
ロック、ジャズ、現代音楽、ポップミュージック、あらゆる音楽シーンを無尽に横断、即興演奏とコンポジションの融合を図るギタリスト、作・編曲家、プロデューサー、世界屈指のダクソフォン演奏家。結成31年目になるインプロヴィゼーショントリオ「アルタードステイツ」主宰。舞台芸術では1980年代から「維新派」の音楽監督を務めるほか、東野祥子、鈴木ユキオなどのコンテンポラリーダンサーや宮本亜門(『三文オペラ』『サロメ』)や河原雅彦(『時計仕掛けのオレンジ』)、Lukas Hemleb(『Z』)岡田利規(『No Theater』『No Sex』『Vacumme Cleaner』)らとの共同作業で知られる。ミュージシャン共演歴も、世界各国の即興演奏家はもとより、高橋悠治などの現代音楽家からUA,細野春臣,おおたか静流、七尾旅人、青葉市子、くるり、Salyuなどのポップミュージシャンまで幅広い。近年はアジアのシーンを積極的に探求し、特にインドネシアのSENYAWAと結成したグループMAHANYAWAでは最強のコラボレーションを見せる。現在はヨーロッパと日本の往復のみならず、アジア諸国での演奏活動や各地の若者や子供を対象としたワークショップなど、活動は多岐にわたる。ベルリン在住。

noteでの記事は、単なる仕事の範疇を超えた出来事について、非力なりに精一杯書いています。サポートは、問題を深め、新たな創作につなげるため使用させて頂きます。深謝。