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私の小さな農園での初収穫

カボチャの苗を植えるため、5月に堆肥を入れた、私の小さな農園。大きさにして、二畳分あるかないかといったところ。

一週間後に苗を2本植える予定だったが、ウキウキしすぎたのか、うっかり1本しか買ってこなかった私。少し落ち着きたまえ。

2日後、外出する母に頼んで、もう1本買ってきてもらった。私が買ったものとは違う種類のカボチャで、苗はちょっと小さめ。

すぐに植えたかったが、お天気がよろしくない。今日は暑かったが明日は寒いし雨の予報、という日が続き、あたたかい日まで待機。

そしてようやく、当初の予定より5日遅れで、苗を植えることに。

まずマルチシートに、器具を使って穴をグリッと開ける。そこに近所の専業農家さんからもらったという、白っぽい粒の肥料(?)をひとつまみずつ、穴の中へまく。
「カボチャにはナントカって虫がつくから、虫よけの薬」
と母の説明。

ちなみにその後、虫がついてしまったわけだが、そのナントカって虫かはわからない。

母の指示で、苗はまっすぐ立てて……とは入れず、はわせたい方向に少し傾けて植える。
苗に土を寄せるときは、なだらかな山になるように。うっかり城の外堀のような溝を作ってしまうと、水がたまって根腐れを起こしてしまう。

それと「ネッキリ虫」とやらがつくと苗がやられてしまうので、茎が太くなるまではガードをつけるとのこと。
ガードは牛乳パックで作る。高さ10cmくらいの輪切りにし、「く」の字型になるよう半分に切り離して完成。あとは苗の根元を囲むように、これを差すだけ。

苗が細いうちは、棒を2本クロスさせたもので、首を支えてやる。風で苗がグラグラ揺れると、根元に穴が開いてしまうから。

マルチシートの中が熱くなりすぎないように、日よけ用の干し草を苗の周りに敷き詰める。葉が大きくなってきたら、干し草は外して良い。
(数日後、雨に当たったせいか干し草が腐ってしまったので、取り払った)

カボチャのつるが伸びてきたら、伸ばしたい方向へ誘導しながら、干し草も敷いていく。これはカボチャに泥がつかないようにするため。

これで植え方はひとまず完了。
苗を買ったときについていた札は、大事に取っておく。育て方が書いてあるから。あとは母が愛読している農業の本を参考に、カボチャのお世話をする。

その後、虫がついたり病気になったりで、母が白い粉状の薬をまいてくれていた。
「まだ実がついてないから、早い段階なら薬振っても大丈夫だから」
とのこと。

  *

つい先日。私の小さな農園で、ついに初収穫があった。カボチャ――ではなく、ニンニク。これは植えたのではなく、カボチャからちょっと離れたところで、勝手に生えていたもの。

以前母にニンニクの収穫はいつ頃なのかと尋ねたら、
「収穫オッケーになると、葉っぱが枯れてくるの」
とのこと。いよいよ枯れてきて、もう抜いていいよと母にも言われ、ついに収穫を迎えたというわけだ。

1本しかないと思っていたニンニクは、よく見たら寄り添うようにもう1本あった。収穫したニンニク2玉は、干して乾燥させる。

すでにずらっと並んで干されている新玉ネギ先輩たちのすみっこに、
「ちょっと失礼しますね」
と私のニンニクちゃんたちを置かせてもらう。

自分の畑のものと思うと、やっぱり愛しく思ってしまうもの。ニンニクちゃんたちをナデナデして、この日の作業を終えた。

最近の作業は、ちょっと目をはなすとびっしり生えてしまう、ハコベ取り。

私の小さな農園では、青ジソさんたちも育てている。これも去年生えていたものから種が落ちて、勝手に生えてきたもの。
間引きしていないせいか、ちょっと育ちが遅い気がする。ハコベを抜きながら、青ジソさんたちも適当に間引きして間隔を開ける。

ふと隣を見ると、母が世話している赤ジソさんたちが、スッキリと草取りされた畑でのびのびと育っていた。さすがである。が、私は梅干しや赤ジソが嫌いなので、苦々しい思いが隠しきれない。

  *

カボチャの葉が大きくなってきた。
つるも伸びてきたので、棒を地面に立てて誘導する。

私が買ってきた苗は成長が早く、母が買ってきた苗は小振りなまま。

「こっち、なかなか大きくならないねえ。大丈夫かな」
「あら、収穫時期がずれるから、二人っこで食べるにはちょうどいいじゃない」

なるほど。一気に全部が育ってしまうよりは、時期をずらして順々に収穫できた方が、長く食べられるわけだ。

それを上手にやっているのが、ご近所の奥様である。

あちらもご夫婦で二人暮らしなので、畑は大きくはない。だけど種類が多い。途切れないように、いつも何かが収穫時期を迎えている。

ダンナさんは草刈り上手で、奥様は野菜作りがお上手。このお二人を、私は密かに尊敬していた。

「あんだに農業は無理」と母に言われ、私もそう思っていた。だけどご近所さんの畑を毎日尊敬の眼差しで見ていたら、
「ああいう暮らし方も、なんかいいなあ……」
と思い始めた自分もいる。

目下、野菜についた虫に触れないのが難点ではあるが。


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