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写真レタッチの進め方【説明編】






みなさんは写真のレタッチを行う際、どんな感じで進めていますか?

「何となく感覚で」という猛者もいらっしゃると思いますが、その「何となく」という部分を具体的にひも解いて説明してみたいと思います。

■何のためにレタッチするのか

まず一番大切な事なのですが、何のためにレタッチをするのか?です。
一般的には自分またはクライアントの理想とする写真に近づけるためです。

「理想」が明確であればそれに向かって作業するだけなので単純です。
しかし、その「理想」が見えていないと、誤った方向に進んでしまうことも。

では「理想」を明確にするにはどうしたらよいでしょか。
その辺が「何となく感覚で」という部分になるのですが、どうすれば良いか具体的な手法を紹介します。

■写真を分析する

※写真を分析する方法については、以下のNoteも参考にしてみてください。

レタッチする写真に対して以下の項目を確認します。

●欠点はあるか
写真に以下のような欠点が無いか確認します。

・ピンぼけ
・ブレ
・フレア
・露出(白飛び・黒潰れ)
・構図
・水平
・ゴミ
・ノイズ

これらに対しては欠点を補うレタッチをすればよいだけです。
欠点が大きければ大きいほど、補うために高度なレタッチスキル(加工や合成)が必要になってきます。

どちらかと言えば後ろ向きなレタッチと言えるので、可能であれば写真を撮る段階で欠点を排除することが望ましいです。

●特徴を探す
写真の中で以下の箇所を洗い出します。

・ピントのある個所
・明るい箇所
・鮮やかな色の箇所
・目立つ箇所
・印象的な箇所

これらは写真を見たときに視線が引っ張られる箇所になります。
さらにこの中から

・見せたい箇所
・見せたくない箇所

を選びます。

ここまで整理できれば、レタッチを施すべき箇所を特定できます。
人間の眼はまず「ピントの合っている箇所」に視線が行き、続いて「明るい箇所」に行きます。
この仕組みを利用すれば簡単に視線誘導できます。
写真の特徴(見せたい場所)を活かす前向きなレタッチと言えます。

もちろんこれらを撮影時にできればベストです。
写真の上手な方は光を読んだり、構図を工夫したり、撮影段階でこれらをやってしまうのでレタッチは最小限で済みます。

自分でレタッチするとこのような特徴のある個所を意識できるようになり、いずれは撮影段階に反映できるようになるでしょう。

■レタッチの流れ

続いて具体的なレタッチ手法です。
大まかには以下の流れでレタッチしていきます。

①プロファイル・プリセットの適用
②欠点の排除
③特徴を伸ばす

①プロファイル・プリセットの適用

SNS等で写真を公開することが目的の場合は、ブランディングは意識した方が良いです。つまり統一感ですね。
統一感を出す手っ取り早い方法として、プロファイルまたはプリセットを使う方法があります。

余談になりますが、私の場合はずっとプロファイルやプリセットは使わず一枚ずつレタッチしていました。理由は写真毎に特徴は異なるので、その特徴を伸ばすレタッチをした方が良いと考えていたからです。結果あらゆるジャンルに対応できるレタッチスキルは身に着けましたが、Instagramのギャラリーは統一感とは無縁の状態に。

プリセットはどちらかというと写真を平均化するので、場合によっては特徴を殺してしまう・・・なんて思っていたのですが、先日作ったクラシックネガを再現したプロファイルを適用すると簡単に統一感を出すことができるし、そのあとに特徴を伸ばしてあげれば良いことに気づいてしまいました。

今では自作プロファイル「Classic Negative Look」とシチュエーション毎の自作プリセットでほとんど対応しています。

というわけで宣伝です。

余談が長くなりすぎました。統一感を出したいなら、プロファイルやプリセットを使う手もありますよ~ということでした。

②欠点の排除

レタッチのポイントとしては「必要な箇所だけに必要な分だけ」が鉄則です。一部の欠点を補うために、他の部分の質が下がっては元も子もありません。

たとえばLightroomであれば部分補正を活用しましょう。

・段階フィルター
・円形フィルター
・補正ブラシ

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更に「範囲マスク」の「カラー」や「輝度」を併用することで適用する範囲を絞り込めます。

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ぜひ使い方をマスターしましょう
より高度な編集や細かい補正はPhotoshopの方が向いていますが、Lightroomでも十分に対応できます。私の公開している他のNoteでも多用しているので、参考にしてみてください。

欠点に対する主な対策となる機能は以下となります。

・ピンぼけ →シャープ、テクスチャ、明瞭度、かすみの除去、コントラスト
・ブレ →シャープ、テクスチャ、明瞭度、かすみの除去、コントラスト
・フレア →かすみの除去、コントラスト
・露出(白飛び・黒潰れ) →露出量、ハイライト、シャドー、白レベル、黒レベル、トーンカーブ
・構図 →トリミング、【Photoshop】ワープ、遠近法ワープ
・水平 →Upright
・ゴミ →スポット修正
・ノイズ →ノイズ軽減、【Photoshop】加算平均合成

一つの機能だけで強く補正しようとすると違和感が出ることがあるので、複数の似たような機能を組み合わせると自然な感じに仕上げることができます。

③特徴を伸ばす

この手法は特に海外で使われている方法となります。
先に説明したように「ピントの合っている箇所」「明るい箇所」に視線が行くことを利用します。

何を見せたいのか、何を見せたくないのかを明確にし、それに従ってレタッチをしていきます。
他にもやり方はあるのですが、まずは代表的なところを紹介します。

見せたいところ
・クッキリさせる:シャープ(上)、テクスチャ(上)、明瞭度(上)、コントラスト(上)
・明るくする:白レベル(上)、シャドー(上)
・鮮やかにする:彩度(上)、自然な彩度(上)

見せたくないところ
・ぼんやりさせる:テクスチャ(下)、明瞭度(下)
・暗くする:ハイライト(下)、白レベル(下)、シャドウ(下)、かすみの除去(下)
・彩度を下げる:彩度(下)、自然な彩度(下)

これらを組み合わせた例がこちらとなります。わかりやすいように強めにしています。

元写真

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分析結果

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レタッチ後

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次回はこのレタッチについて具体的な方法を紹介したいと思います。

それではまた。

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