自分をリードする「軸」と「向き」を見つける「セルフ・マイニング」の手法を紹介
セルフマイニングとは、自分の歴史や置かれたシチュエーション、その背景を言葉にしていきながら、そのキーワードを紡いでいくことで、自分というものをより明確にしていこうという自己分析の手法です。
今回は、人生を振り返りながら、自分自身の「軸」と「向き」を発見することで、チャンスを引き寄せやすくし、自分をありたい姿へとリードしやすくする正に「セルフ・マイニング」の真骨頂ともいえる手法を紹介します。
このワークでは、独自に開発した「セルフ・マイニング」用のワークシートを活用していきます。これまでの過去を振り返りながら、文脈(コンテキスト)を見つけ、紡いで行く「Dot & Tag」。そして、自分の「軸」と「向き」をシステム思考的に整理する「Self Relation Map」と、それを一言で定義する「Self Leading Cycle」の3つを使います。
基本的には、二人一組で、片方がインタビューをしながらメモを書いていく方式をとります。相手にアドバイスをするつもりで、インタビューをしたり、まとめていってください。(コーチングのスキルがあると尚良しかと思います)
インタビューの目安は、全体で2〜3時間程度を見込んでおくと良いでしょう。時間がとれるのであれば、長めに確保しておけると、より深く話を聴くことが出来ます。
始める前に〜インタビューの心得〜
まず、インタビューを始める前に、下記の「インタビューの心得」を心に留めておいてください。
傾聴すること、相手の言葉をシャドウイングするくらいの気持ちで、疑問が浮かんでも、集中して聞きながらシートに書き込む。
相手の言っていることを、否定せず、まず受け止める。
その上で、なぜそう感じたのか、その行動に至ったのか3回くらい深掘ると、インサイト(真の感情)に至りやすい。
インサイトだなと思ったら、他の領域で出てきたインサイトと共通点を見つけながら、視点を広げる質問をしてみる。
準備が整ったら、始めましょう。
こちらから、セルフマイニングのワークシートをダウンロードして、印刷してご利用ください。(A3縦 推奨)
① 人生を棚卸す Dot & Tag
まず、ここでは、生まれや家族状況から始めて、人生の棚卸しをしていきます。今回は、大学生を対象としていますので、幼少期から聴いていきますが、社会人では、程よいところから始めるのも良いでしょう。
セクションごとに話し手と聴き手を入れ替えながら行う。
聴き手は、出来事を聴きながら、それをどう感じたか、どう行動したかを聞いて、シートに書く。
原体験を探るため幼少期から聞く。「軸(行動原理)」と「向(行動指針)」を探る。
一般的に言われている行動原理を意識しながら質問するのも一つ。
・幼少期:自分は不十分 / 親に認めてもらうための思考・行動
・中高生:所属の欲求 / 自分なりの得手や領域をつくる
・高校生〜大学生:自ら働き掛けて、自立・自信を得る重要なのは背景にある感情。なぜなら、行動の原動力がそこにあるから。
後ほど、事実を感情でつないでまとめるので、キーイベントには☆を、「軸(行動原理)」や「向(行動指針)」に関することは#下線をつけておこう。
1) 家族状況 <一人5分ずつ>
親や兄弟の影響も人によっては大きいので把握しておきます。
・両親、兄弟/姉妹構成
・両親の出身地、お仕事
・どういう性格をしていて、両親の仲は? 自分との関係は?
・兄弟/姉妹とはどんな関係?(仲の良さ/上下など)
2) 出生/住んだ場所/活動 <一人5分ずつ>
シートの左端を埋めていきます。続けている場合は、矢印を縦に引っ張って行くのも良いでしょう。
・生まれ、これまでに住んだ場所(海外含む)
・習い事/部活/委員/課外活動などをリストアップ
キッカケは何か、いつからいつまでやっていたか?
※時間がない場合は、後のインタビューで追記することも可
・まずは、分かりやすいタグから把握していく。
3) 幼少期/親の影響 <一人5分ずつ>
一番上から埋めていきます。幼少期は、「自分は不十分 / 親に認めてもらうための思考・行動)」を取っていると一般的には言われています。
また、「三つ子の魂百まで」と言われているように、この時点での行動に原点がある場合もあります。
・両親やまわりから、どんな子と言われていたか?
・親との印象的なエピソードは?
・幼稚園や保育園でのエピソードは?
・何をするのが好きだったか?
4) 小学生時代 <一人5分ずつ>
一学年ずつ聴いていくと時間がないので、低学年/高学年に分けてハイライトを聴いていくのが良いでしょう。
・記憶に残っている出来事は?(学校、家族、その他)
・この頃、一番頑張っていたことは?
・親友はいたか、一緒に何をしたか?
・お世話になった先生は?
・将来の夢は? 世の中に思うところはあったか?
5) 中学生時代 <一人5分ずつ>
中学生くらいから、段々と世界が広がっていくのでキーエピソードも出てきやすいかと思います。こちらも中1〜2は、まとめて聴いても良いかと思います。
・公立/私立?どんな学校?
・記憶に残っている出来事は?(学校、家族、その他)
・この頃、一番頑張っていたことは?(後半になると受験パターンも)
・親友はいたか、一緒に何をしたか?
・お世話になった先生は?
・将来の夢は? 世の中に思うところはあったか?
6) 高校生時代 <一人20分ずつ>
高校生ぐらいから、記憶も最近になってくるので、思い出しやすく、また濃い体験も多くなってくるでしょう。ここでは、1学年ずつ、しっかりと聴いていくようにしましょう。
・どんな高校生活だったか?
・記憶に残っている出来事は?(学校、家族、その他)
・この頃、一番頑張っていたことは?
部活、勉強や受験、課外活動など
・将来のことは?(行きたい大学や、受験や夢など)
7) 大学生時代 <一人20分ずつ>
かなり直近の話になってきますので、季節ごとに変化する話が聴けるかと思います。高校時代よりもさらに世界が広がるので、学外の話も積極的に聴いていってみましょう。
・どんな大学生活だったか?
・記憶に残っている出来事は?
先輩・後輩や、学外の関係、人によっては恋愛もキーに。
・この頃、一番頑張っていたことは何か?なぜか?
サークル、バイト、ゼミ、課外活動など
・将来のことをどう考えるようになったか?(進学/就職)
お疲れさまでした。一度ここで休憩を挟むと良いでしょう。
ここで、「Dot & Tag」シートを見ながら、キーイベントや「軸」や「向き」に関係しそうな繰り返し出てくる近しい言葉をチェックしておくと、次のワークがやりやすくなります。
② 相手の「軸」と「向き」をシステム思考的にまとめる「Self Relation Map」
このワークでは、「Dot & Tag」で発見した「軸」と「向き」と「キーイベント」を書き出してつなぎ、関係性を俯瞰できるようにしていきます。そうすることで、「こういう感情を大事にしている」「こういう行動を取りやすい」といった共通点が見えてきます。そして、キーイベントが共通点や因果関係の根拠になるので、納得感が高まります。
各自シート作業 <15分>
軸(行動原理)と、向(行動指針)で最も共通していることを、それぞれ書いて○で囲む。
上記の○と因果関係や、つながりがありそうな☆キーイベントを書きだして、線や矢印でつないでおく。
矢印は因果関係、つながりは線でつなぎ、影響力が多いものは線を太くするなどして分かりやすく。①の次に共通していることを、なるべく既にある○と因果関係や、つながりがありそうなところに配置し、同じように線でつないでいく。同じようにキーイベントもつないでいく。これを繰り返していく。
③ 自分をドライブする原動力と、ありたい姿をサイクルで整理する「セルフ・リーディング・サイクル」
このワークでは、「セルフ・リレーション・マップ」を見ながら、「軸」と「向き」を一言にまとめて、サイクルの図をつくります。正解はありませんので、相手にアドバイスするつもりで、仮説ということで書くのがコツです。
各自シート作業 <15分>
Self Relation Map をみながら、重要そうなことを
軸と向、それぞれを一言にまとめていく。軸:自分が歓びを感じられること。頑張れること。
向:自分が働きかけたいことや、ありたい姿。
→頑張ると実現して、実現するとまた頑張れるサイクル。
④ 相手に共有しよう
ここで、まとめた「セルフ・リレーション・マップ」と「セルフ・リーディングサイクル」を、相手に共有します。
まず、「セルフ・リレーション・マップ」から始めて、何が共通点として見えてきたか、それらはどのイベントのどんな行動に見られるのか。そこからどんなありたい姿に関係していくのか。ということを説明していきます。
一通り説明を終えたら、一言でまとめた「セルフ・リーディングサイクル」を説明してみてください。
おわりに
いかがでしたか?
おそらく、基本的には相手の話をベースにつくっているので、大きな違和感はないかと思います。ただ、一人で考えるよりも、相手に聞き出してもらうことで、意外な共通点に気づくことも多いでしょう。ある程度、自分で分析出来ている人は、再確認にもなると思います。
このセルフマイニングのコツは、なるべく同じくらいの歳で行うことで、自分自身の経験も活かせるので、インタビューがしやすくなるかと思います。
また、歳の差が開いている場合は、年上の方から一方向的に話しを聴いて、まとめていってあげるのも良いでしょう。
おそらく、シートを埋めたサンプルがある方が、より理解しやすくなるかと思いますが、また後日、時間をみて用意できればと思います。
文責:小田部 巧
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