黒_収穫前_垣根_小粒

ワイン用ブドウを考える ~土壌編 他~

みなさんこんにちは。植野 竜生(うえの たつき)です。今回は続編です。続編ではもう一歩踏み込んで、軽く自慢できる程度に詳しくなっていただこうと企んでいます。土壌の話もしていきますよ。毒を混ぜつついきたいのでお気軽にさらっと読んでってくださいね。(前回記事はこちらから↓)


続:一般的に言われていることは?
 ぶどう栽培を語るうえでは外せないんだけどちょっとややこしいことを、ざっくり紹介したいと思います。

⑴痩せた(貧栄養の)、水はけのいい土壌が望ましい
  前記事の雨のとこの内容と繋がります。敢えて難しい言い方をすると、ブドウは、「栄養生長」と「生殖生長」の2種類の異なる生長をします。めっちゃ簡単に言うと、栄養生長は木に栄養を送ること、生殖生長は実に栄養を送ること、です。もうお分かりですね。美味しいぶどうをつくるには、生殖生長が大切なわけです。水や栄養に満ちてるからって油断して木を大きくするばっかりだといい実にならないんです。危機感もって子孫を残そうと必死に実に栄養を送るほうがいい実をつける。温室育ち貴族のお坊ちゃまより、スラム街でたくましく生き延びている子のほうがいい実をつけるというわけです。例えわかりにくいかな?(笑)
ちなみにフランスでは、“こんなに荒れた土壌では、ブドウくらいしか育たない”なんて言葉があるそうです。語呂いいですよね。♪マーク付けたら歌みたいです。長くなっちゃった。戦時中日本ではワイン推奨されてたんですよ。

⑵風。
  なんて雑な。思いつかなくてすみません。風強いのは好条件として挙げられることが多い気がします。農場行けばわかりますが、ブドウの最大の敵といっても過言ではないのが、カビです。代表的な病気の元凶であり、見た目にも汚いです。対策は農薬とかかな?風強いと湿気がこもらないのでカビが繁殖しにくく、寒冷地では霜も抑えられます。
ワイナリーの人間は頭おかしい人が多い(言い方)(褒めてます)んですが、カビに侵されてえげつない見た目になったぶどうを「これが美味いんだよ!!食べてみ(笑)」って嬉々として食べてました。でも発酵で酵母と競合するので捨てなきゃいけないんですって。味はマジで美味しかったです。食感がカビだったので二度と食べたくないですけど。写真は自重しますね。

⑶土壌の質について
  これね。避けては通れないけどややこしすぎて書く気しないやつですよ。栄養とか水はけとかは紹介した通りですが粒の大きさによって、礫、砂、シルト、粘土があって、ブドウにとっては礫質、砂利質がいいって言われてます。ソムリエ協会さんに。でも粘土質土壌で恐ろしい金額の高級ワインを産む産地もあるのでよくわかんないです。ペトリュスのことです。(笑)ちなみにソムリエ協会の教本によると、“生育期間中で必要な時期にブドウ樹に水分を供給し、ヴェレゾン期になると地下水位が下がるなどで水分供給が止まるような物理特性を有する土壌が良い。“(教本2018p.12より引用)とされています。ヴェレゾン期は果実が色づきはじめる頃のことですね。いや求めるハードル高くね?
と、いうことで私はそれぞれの畑の土壌個性をよく分析することが大事なのかなぁと思っています。雑。

⑷ブドウ根について
  ⑶に連なる内容です。ーー“雨が少ない土地ではブドウはより多くの水分を得ようとするため、地中深くまで根を伸ばし、様々な地層を貫通することで様々な成分やニュアンスを吸い取り、複雑で深いワインになる。偉大な畑のブドウ根は地下数十m~100mに達していることも、、”
引用じゃないです。どっかに書いてありそうですが。(笑) いやー嘘っぽい。(笑) まず数字が大きすぎますよね。地下100mて。掘りたい。無理ですけど。ちなみにフランス最高級ワインの一つであるペトリュスは特殊な粘土質で根が浅いのが特徴だそうです。特殊って何だよ。
それに何より、ブドウが地下から成分を吸い取り、それを実に貯め、それが発酵を経ても尚残り、ワインに知覚できる濃度で現れるというのは、もっともらしいですが非科学的だと感じてしまいます。特にシャブリ地区(フランス有数の白ワイン産地です)でよく聞く、「白亜質(石灰岩)土壌から吸い取ったミネラルによってミネラル感溢れるワインになる。」という言説はかなり疑問です。何より、ミネラルってブドウの栄養では?栄養ないほうがいいって話どこ行った?てかミネラルって不溶性じゃね?そもそもミネラル感って何だよ?
と、まぁ言いたいことは色々ありますが、ワインを売るにあたりストーリー作りやブランド化が有効なことに反論の余地はありません。尊敬している方に素晴らしいシャブリを振舞って頂いた際には「ミネラル感溢れるワインですね」と言うべきでしょうし、すっきり爽やかなシャブリは生牡蠣に合うでしょう。ですが、ここまで読み進めてくださった数少ない皆様には、表面のイメージや物語に囚われず、本質を見抜いていただきたいと思うのです。

はい。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。ご意見ご質問等ございましたらお気軽にコメントまたはLINE(ID:nananala6696)まで。お待ちしております。




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