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ロボットに「友達」を教える


友達の定義は難しい。

意味を調べても互いに心を許しあう関係などといった抽象的な言葉が並んでいる。


その曖昧さを理解できるのが人間の魅力だと思うが、ロボットにはそれができるだろうか?

ロボットは基本的にプログラムされた事柄で判断をする。つまりロボットに「あなたは友達です。」と認めてもらうには友達の定義づけを具体的にしなくてはならないということだ。


「互いに心を許しあえたら友達です」という抽象さをプログラムでは表現できない。

もっと具体性が必要だ。

この人と何時間話したか。どれくらい一緒にいるのか。話した言葉の数は?

などなど。


人工知能(AI)でも難しいだろう。調べてみると「友達になってくれる」人工知能は存在している。

ただ、それは顔認識で覚えさせて初めから「友達」として会話をしてくれるだけで、AIが「他人」から「友達」として認める過程はないのだ。


つまり友達の具体的な定義付けはできていないということだ。

ここで仮に具体的な定義付けができたとして考えてみよう。


適当に私が友達の定義付けをしてみる。

・その人と50時間以上話す

・その人と話した単語の数が1000語以上になる

・その人の趣味を知る

・その人が「友達だ」と言ってくれる

上の4点を友達の定義として組み込まれたロボットがいるとする。さらにロボットは友達になりたがるとする。


このロボットと話すとどうなるか。

最初は普通に話す。

今日の天気は?  ー晴れだよ

暑いですか?  ー暑いね

・・・・・・

50時間後ーー

サンフランシスコの観光名所「フィッシャーマンズ・ワーフ」で火災が起きましたね。嫌ですか?    ー嫌だね

あれ?少し話題がおかしい。急に単語の数が増える。


1000語以上話した後ーー


趣味はなんですか?  -わからない

そうですか、ところで趣味はなんですか?  ー知らない

ところで・・・・・・


ここまでくると怖い。趣味しか聞いてこなくなる。ロボットとしたら当然の行為だ。「友達」になりたいのだから。


趣味を教えた後ーー

あなたは私のことを友達とも思っていますか?  -はい

あなたは友達です。


ーHAPPY END-


そんな訳ない。ロボットからは「友達」でも私からは「友達」ではない。

むしろ友達とは対極に位置付けられてしまう。

今挙げたのは極端な例だが、何をもって友達とするかが仮に決まったとしても、友達として認めてくれるロボットを開発するのは難しいのだ。


ここがやはり人間とロボットの違いだろう。

もし仮に実現できた時、それはそれで怖い。


ロボットは人間と同じと言えてしまうのだから。












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