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学びは高度に、ツールはシンプルに:オンラインでの演習型授業をどう成立させるか

オンラインでの大学授業も、早くも明日で2回目です。私は、産学連携のプロジェクト型授業を18クラス(1クラス約20名)同時に展開するための、共通スライドづくりをしています。

この「リーダーシップ入門(BL0)」という授業は、立教経営の新入生全員が受講するものなので、新入生の環境に配慮しつつ、いかによりよい学びの経験をしてもらうかについて日々頭を悩ませています。

スマホのみの環境でも授業参加できるように

新入生の状況把握はデータをもとに、かなり正確に状況がわかってきました(ここでは正確な数字は出しません)。現状をみると、多くの学生がアクセスできている状況でありつつ、やはりどうしても「スマホのみでアクセス」の学生も一定数います。もちろんPCの方がやりやすいですが、アクセスできる環境にいるのはうれしいことです。

ただ、授業デザインする側からすると、非同期・講義型の授業でなく、同期・演習型の授業をスマホのみで実現できるようにつくるのはなかなか頭をつかいます。

付箋ワークはどうしようか。模造紙をどう実現しよう。発表はどういう形式にしよう。こんなことを一つずつどうするか考えています。

1つの授業で新しいツールを登場させるのは1つまで

対面でやっていたグループワークをそのまま実現しようとすると、かなり多くのツールを使うことになってしまいます。しかしこれは避けたいです。

新入生はただでさえ4月は覚えるべきシステム(ツール)が山盛りです。メール、課題提出、履修登録などの方法をすべて覚える必要があります。それに加えて、またさらにシステムが増えてしまっては、それだけで疲れてしまうでしょう。

そのため、運営チームでは「1つの授業で新しいツールを登場させるのは1つまで」ということを原則に、なるべくツールを限定しながら、それでいて学びの経験としてはリッチなものになるように試行錯誤をしています。

これがタイトルに書いた「学びは高度に、ツールはシンプルに」という言葉の意味です。

これは「言うは易し、行うは難し」で、毎回頭を悩ませています。なるべく新しく覚えるツールを少なくして、学習内容の方に意識を向ける時間をとれるよう、頭を使っています。

具体的な方法は?

いま現在具体的にやっている方法はたとえばこんなかんじです。

・なるべく手書き、それを撮って写真で共有
・zoomの機能も一気に教えるのではなく1つずつ
・付箋ワークはGoogleスライドを活用(大学のシステムがGoogleのため)

これらから見えてくる指針は、

・アナログな方法で実現できるなら、必ずそちらを優先
・使用しているシステムでも、いきなり全部の機能を使わない
・この授業に限らず、他の授業でも共通して使用しそうなツールを優先

といった点です。これらを意識ながらいま授業をつくっています。

どうやって最終的に方法を決めているかは、とにかく地道に自分も学生たちと一緒にツールを使ってみて試してみています。自分がユーザーとして使った時にどのような体験になるのか、先輩の学生が使った感覚を聞き、学生視点ではどう感じるのか、を1つずつ確認する地道な作業をしています。

結局、事前に頭でやれやこれや考えるより、「ためして、考えて、またやってみる」のが一番早くて精度が高いんですよね。そんなかんじで試行錯誤をしています。

ちなみに最終決定は「使いやすさ」に加え、学生スタッフがツールを使う体験として「楽しい」と感じるかも重視しています。

まとめ

今日は授業デザインにおけるツールの話について書きました。

なるべく授業内容に集中できるよう、ツールは最低限にしたいということを書きました。

一方こういうふうに書くと「なんでも準備してあげすぎ」という話もあるかもしれません。しかし、これは必ずしも「難しいことを、すべて簡単にしておいてあげる」というわけではありません。

最終的には、受講生にツールの使い方自体も学習してもらうことがゴールです。イメージでいうと「階段をつくりつつ、一歩ずつ学習してもらえるように、学びの量と配列を意識している」という感覚に近いです。

必要なツールをすべて一気に渡すのは、「一週間に必要な栄養はこれだから」といって、一週間分の食料をすべて目の前においているようなかんじです。これらを少し小分けにして、学習を支援しているかんじかなーと思っています。なかなか難しいんですけどね。

我々大学教員も「はい、これオンライン授業をやるためのツールとやり方資料一式です」と、どさっと大量の情報をもらったらかなりつらいことと同じですね笑

教えたいことを全部丸投げするのではなく、学ぶことを支援するあり方を模索していきたいです。

ぼくらも日々勉強ですねー。

■参考資料

ここで紹介した授業はこちらの本に詳しく実践が載っています。ご興味ある方はご覧くださいませ。

また、先日書いたこちらの記事も関連するのでどうぞ。


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