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新しいことを表現する「怖さ」とそれを乗り越える「小さな自信」を育む

今日はゼミ活動の話をもとに、創造的な活動に取り組むための準備について書いてみます。

結論から先に言えば、「なにかの作り方」を教えるのも大事なのですが、そもそもの「つくり手の心構え(マインドセット)」を学ぶことに時間をかける必要があるというお話です。

つくることを目的としてゼミをはじめたけど?

舘野ゼミでは「遊び」「リーダーシップ」「教育」という3つのキーワードをもとに、最終的には「個々人がオリジナルな制作物(なにかの冊子でも、ワークショップでも、ツールでも)をつくる」ことを目的としています。

そのためにここまで10回の授業をしてきました。まあゼミは今年4月に初開講、しかも急遽オンライン化ですべての予定が狂ってしまったのですが笑、

・まずゼロベースでいきなり何かをつくってみる
・既存のワークショップなどを体験してみる

からはじめました。最初は「オンラインでのオリジナルな遊び」や「オンラインサークルをつくってもらう」などをやっていきました。これはこれで大変楽しかったのですが、なにかひっかるところがありました。個性的なメンバーなのに、なにか個々人のキャラが表現されていないような。

そこで気づいたのが、結局「創造のマインドセット」というか、なにかのつくるときの「心構え」や「考え方」についてまず個人が理解をして、さらにそれを組織レベルの共通認識にする必要性でした。

「個人でオリジナルなものをつくる」という怖さ

自分もいまはすっかり忘れてしまいましたが、よく考えると、「個人でなにかオリジナルなものをつくる」というのはけっこう怖いことだなあということを思い出しました。

・正解がない中で何をすればいいのか?(どうしたらいい?)
・自分のオリジナルと言われてもそれってそもそもなんなのか?(ほんとにある?)
・自分の思っていることをここで本当に表現していいのか?(ひかれない?)

これはたしかに怖いことですよね。

というか、子どものときは大丈夫だったけれど、大学生くらいになるまでに「怖いこと」になってしまっているのかもしれません。

そういう段階で「何をつくる」という活動をいきなりしてもうまくいきません。

なので、ここから「創造のマインドセット」というか、「つくり手としての心構え」を学びながら共通認識をつくっていき、さらにお互いのことを理解したり、自己開示をしたりしやすいような環境を同時につくっていくということをやりはじめました。

書籍を読みワークショップで体験する

1つ目は、創造のマインドセットに関連するような書籍を輪読することにしました。「マインドセット」や「遊び」や「創造」に関する書籍を読み、新たな考え方に触れてもらいました。ゼミ生全員が読むことで、個人の理解にとどまるのではなく、組織レベルとしての共通理解へとつながっていく契機になったように思います。

2つ目は、書籍の内容に関連するようなオリジナルワークショップを毎回、ゼミ生の担当メンバーと一緒につくり、自己開示をしていきました。うちのゼミは、ゼミ長などはおかずに、毎授業ごとに「日直が2人いる」という形式にして、その日直とともに授業を運営しています。

その日直たちとぼくが「いっしょにワークショップをつくる」ということを通して、作り方を日直に伝授しつつ、そのワークショップにゼミ生が参加することで、自己開示ができる環境をつくるということをしました。

毎回オリジナルワークショップはユニークで、「面白い問い」を用意してみんなで話してもらうものから、「オリジナルなリーダーシップ体操をつくろう」というものや、「即興ごっこ遊びをしよう」というものまで、なかなかにカオスな場が展開されていました...笑 自分がこどものときに好きだった遊びを紹介するという活動も、すごく面白かったです。

「自分はつくり手になれる」という自信を持つ

これらを通して、少しずつ育まれてきたものは「自分はつくり手になれる」、「ここで自分を表現してもいいかも」と思えるような、個人、そして組織レベルでの「つくることへの小さな自信」といえるのではないでしょうか。

もちろんまだまだ怖さはあるのですが「もしかしたら大丈夫かも?」と思えるような一歩は踏み出せたのかなと思っています。これは大きな一歩だと思います。

こういうことは大学生だけでなく、広く必要なことなんだろうなと考えています。

教育という視点でいえば、インプット型の学びから、アウトプット型の学びにシフトがされつつありますが、その際にアウトプットのHowにとどまらず、個々人の考え方や、それを表現するコミュニティを醸成していくという視点は非常に大事になります。

また、経営という視点でいえば、「うちの組織では新しいアイデアが生まれない」といった問題があったときに、それは果たしてアイデア出しのやり方の問題なのか?ということを問い直すことができるでしょう。「なにをつくる」ということにフィットした個人、そして、組織のマインドセットが醸成されているのかを考えるのが大切になります。

そして、こういうもののを育むためには「じっくり」、しかも「個人と組織の両方」にアプローチしていかなくてはなりません。1回なにか研修したらうまくいくということはやっぱりないと思うのですね(もちろん、何かのきっかけにはなりますが)。

つくることへの小さな自信を、コツコツと育てていく。

こういうことが新たな教育・経営のあり方を考える上で大切な一歩になるのではと最近よく考えています。

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