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オンライン授業・研修でいかに学びとコミュニティ参画を促すか?

昨日、「オンライン研修の技法を探る」というテーマで、オンラインで講演をしました。ミミクリデザインの田幡さん、東南さん、安斎さん(アフタートークから)とともにお話ししてきました。500名の定員が事前に埋まり、当日も多くのコメント・質問がなされ非常に活発なイベントでした。

私はオンラインの学びの設計について35分くらいで話題提供しました。かなりこってり内容詰め込みました。

重要なポイントはこの5つです。

1.オンラインであっても学びの場の設計の基本はまったくかわらないこと
2.しかし「オンライン特有の教育モジュール」と「並べ方」があること
3.「授業・研修の設計」だけでは学びを支援する上で不十分であること
4.オンラインへの「置き換え」という「対処(その場しのぎ)」から「創造」というストーリーに置き換えること
5.そのためには「我々の組織のミッションは?」「なぜやるのか?」という組織開発の側面が重要になること

「オンライン研修の技法」といっても、「どのツールがいいのか?」といった話は「枝葉」の話になるので、そうした話だけではなく、あらためて本質的に「学びの場をいかに設計するか?」という話を議論したいと思い、スライドをつくりました。

その意味で「オンラインだから」という内容ではなく、

・教育プログラムを媒介させていかにコミュニティ参入を促すのか?
・そもそもなぜその授業・研修をするのか?

という本質的な問いを問い直そうという思いをぶつけた発表になったように思います。

自分の中では、ここ数年考えていた「教育プログラムづくりと、組織づくりを同時に進めるのはなぜ必要なのか?」という問いについて、自分なりの一定の答えを出すきっかけになったと感じています。

スライドだけにしておくのはもったいないので、このへんは本にしようかななんて思いました。

事例と理論とtipsと未来を伝えたい

今回の講演は、伝え方としても

・自分のストーリー(立教経営でのオンラインウェルカムキャンプの挑戦)
・学びの場の設計の2つのモデルを説明
・実際に使えるtips集
・オフライン・オンラインのハイブリッドな教育設計の未来
・これからの働き方について(リモートワークを体験した学生)

というかんじで、無謀にも「物語的で、研究的で、実践的で、将来的な話」をしようと思ったので、準備で死にそうになりました。ちょっと詰め込みすぎたという反省はしています笑

ただ、それこそ「なぜ自分がこのテーマについて語るのか?」「自分にしか語り得ないことはなにか?」を考えると、この4つの要素を1つに統合して話すことなのかなと思っています。

これは非常に大変なことなのですが、大学院で所属していた「学際情報学府」で、そこにいる先生方から学んだ重要なエッセンスはそこだったと感じています。そこは挑戦していきたいところですね。

オンライン講演は楽しい

今回あらためて思ったのは、オンライン講演は上手に設計すれば、対面より楽しいということです。発表中に参加者のみなさんからコメント、質問をたくさんいただけるように設計しておけば、登壇者側の学びが深まります。今回のイベントでは、自分も学習できたという感覚がとてもあります。

「講演をインタラクティブにできる」要素は、オンラインの方がうまく設計しやすいですね。

もちろん、オンラインでもリアクションなしの講演はつらいし、対面でもインタラクティブな講演は学びが深いのはあるんですけど。

また、500人規模のイベントをやろうと思ったら、相当大きな会場を借りなくてはならないので企画から実施まで時間もかかりますし、人がこなかったらどうしようという不安もあります。その不安がないのは大きいです。

今回、地方の参加者の方も多くいたと聞いています。講演などのイベントはよく「東京一極集中」と言われていましたが、参加の幅が広がるのはいいことですね。

講演を聴くスタイルも「パソコン広げてしっかり椅子に座って」だけでなく、「いまお風呂入りながら聴いてます!」とチャットに書いてくださる方もいてとても面白かったです。

以前、Youtubeライブで配信をしたときも「ヨガをしながら聞いてました!」というコメントがあったのですが、なぜかとてもうれしかったです笑

たぶんそれは「自分のリラックスする時間」に「学び」がすっと入っているからなのかもしれません。学ぶということは、苦行でなく、本質的に楽しいことだと思っているので、いろんな学びのスタイルが広がるといいなと思います。

制約を楽しむこと

講演後のアフタートーク(舘野、田幡さん、東南さん、安斎さん、田中さん)をしているときに、安斎さんと話をしていましたが、結局のところ、

「よい教育者は、制約を楽しむ学習者であること」

なのかなと思います。

「オンラインだから」

に続く言葉は、自分で選べる余地がけっこうあります。

「対面だから」

できたことはたくさんありますが、そのときも「無制約」ではありませんでした。さきほど言ったように「地方の人は参加できない」「椅子に座るというスタイルしか許されていない」などできないことがたくさんあったんですよね。

制約はそれを認識して受け入れたときに、新たな発想を生み出してくれます。そして、その制約を超えるパワーを生むのは、自分や、その組織において何を大切にしたいかという想いなのかなと思っています。

なかなか大変な時期ではありますが、せっかくなら面白い挑戦にできるよう、私もひきつづきがんばっていきたいと思います。

参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました!

今回紹介した事例については、こちらの3冊を読むとだいぶイメージが湧くと思いますのでどうぞご覧くださいませ。


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