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Aではない君と 薬丸岳

出版社に努める兄から定期的に本が大量に送られてくるのだけど、整理していたら薬丸岳の本が何冊かあった。薬丸さんの本はまだ読んだことないような気がして、手始めに、有名な「Aではない君に」を読むことにした。
14歳で殺人容疑で逮捕された息子を父にもつ父親の話で、ミステリ的に先も気になるし、少年犯罪という考えさせられるテーマも興味深くて一気に読んだ。だがなかなかにハードな内容と動物好きな自分にとっては目を背けたくなるようなシーンもあり読後は疲労感が強く、つらい。酒がすすまない。

本棚には戻さず、かわりに「新さん」を手に取った。このままでは寝つきが悪そうで、気分を変えたくて。
新さんについて人と話にのぼったことはないのだけど、私の大好きな本だ。久住昌之さん原作の漫画で、両津勘吉のようないなせな下町の男=新さんが主人公の孤独のグルメ、というような話。
とにかく面白くて爽快で最高。解説で川上弘美さんが、「男の人っていうのは、なんだかちょっとずつ『新さん』なんだ」と書いているが、まさにそうで、自分でも感じたことはあるがとても他人に言えないような、こそばゆい、単に「あるある」という言葉で片付けられないような言動のひとつひとつが恥ずかしくも愛しい。

Aではない君と、ノンストップで読んでしまうくらい面白かったんだけど、私は気楽で楽しい新さんが性に合ってるのかもしれない。今日も新さんは私を裏切らなかった。

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