マチに働きかける暮らし - 清荒神 part 1 「住みびらき」と「自邸」
僕は、宝塚市の清荒神(きよしこうじん)というマチに住み、清荒神で建築設計事務所を主宰している.
学生時代は文化人類学を専攻していたけど、自分とは価値観の違う他者や集団を”知る”、という研究だけではなく、知り合った人やマチの暮らしを豊かにする仕事がしたくて、建築を学び、設計と施工と、場づくりの企画と、イベント企画運営と、シェアハウス運営などなどを行っている.
設計事務所として独立当初、その想いをクライアントさんに知ってもらうには、まずは自分の暮らす場所から!と考え清荒神で自邸を構えた.
それから8年くらい、宝塚はベットタウンだけど、
・ただ家があるだけとして暮らすだけではなく
・ただ仕事場があるだけじゃなく
自分もマチの主体者となって地域が楽しくなるようには、どうすればいいか考えて日々を過ごしてきた.
清荒神に長屋を買ってリノベーション、そして移住
自然との距離感が心地よく、道が細く有機的で、レトロな雰囲気、地元が近かったのも嬉しくてこのマチのことを好きになった.
清荒神清澄寺の参道商店街は魅力的な雰囲気だったけど、商店が減り始めていて少し寂しくなりつつあった、そんな中で、シチニア食堂という美味しいご飯屋さんで、近所に住む魅力的な人が集い交流が生まれていた.
このマチだと、楽しい仲間を作り、僕みたいな設計者が住み暮らしながら何かマチのためにできることがあるかもしれない、そう思ったのがきっかけだった.
物件を探し始めたはいいけれどなかなかいい物件が見つからず…
地域を歩き、家主さんに直談判したりして、やっと見つけた家.清荒神参道の路地を少し入ったところにある木造長屋の一角、50平方メートルくらいの広さで決して広くはなかったけど、窓の外から見える森と川の景色が魅力的だった.「山奥でも不便な場所でもないのに、家の中に入るとこの景色」というのに可能性を感じた.
そしてリノベーションした家がこちら、参道を歩いていたら実は見えない森の景色を堪能できる自宅兼事務所になった.
はじめは自分が心地いい場所をつくろうと思っただけだったど、ここに住んで思ったことは、こんな景色や緑がある清荒神をもっと知って欲しい!という想いだった.何かこの場所や気持ちよさをシェアして、清荒神に人を呼びたい.そして始めたのが「いちにちカフェ」という住みびらきイベントだった.
「いちにちカフェ」の開催
仕事ではなく、遊びでもなく、交流の場をつくり清荒神を知ってもらうために、気持ちいい四季を感じてもらうために.自分がしんどくならないペースで、年4回程度開催.
発信はSNSのみ、近所で出会った人とFacebookでつながってイベント告知して、毎回2~30人集まるイベントに.
僕自身素人だけど、料理を試行錯誤してランチを用意したり、ご近所のSHIZUKU COFFEE ROSTER の浅野さんに協力してもらって、ドリップコーヒーやラテを出したり、参道で売ってる麹で甘酒ドリンクを自作したり.
全力でおもてなしをしながら、このマチの魅力や、「参道商店街に住んでて楽しい店、友達を呼びたくなる店がたくさんあればいいよね!」みたいなアツい話を語り合っていた.笑
回数を重ねていくと出会った友だちとコラボして、ランチに友だちのパンを使わせてもらったり、ファブリック作品の展示会をしたり(狭い家だけど.笑)ソムリエとワイン会をしたり、気がつけば狭い長屋でたくさんの人が集い交流し新しいコラボやアイディアが生まれていった.
これがきっかけで、新しい友だちがどんどん増えて、清荒神でのお店やお家の設計依頼を受けることにつながっていった.
場を持ちシェアすることで、自分自身もいろんな人に出会い新たな刺激を受け成長できるだけではなく、訪れた人にとってマチのイメージが更新されていく感覚を持つきっかけになったと思う.
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⇨マチに働きかける暮らし - 清荒神 Part2へ続く
このシリーズは清荒神での僕の思い出と、これから清荒神で新しく始める試みのため、自分にとってのまとめ的文章です
⇨清荒神の長屋(自邸)についての詳細はこちらをご覧ください
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