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美容医療に対する苦情が急増!医師、そして患者はどうしたらよいのか

こんにちは。
 
僕のnoteを開いていただき、ありがとうございます。
 
8月末、ショッキングなレポートが発表されました。
全国の消費生活センターに、美容医療サービスに関する相談が多く寄せられ、昨年度は過去5年で最多。しかも、この5年間で2倍にも増えているというのです。
 
相談事例を見ても手口が酷く、
美容医療に携わるものとして、残念でなりません。
 
美を提供する美容クリニックが患者さんの信頼を裏切るようなことは、あってはならないことです。
 
今回は、国民生活センターが発表したレポートをもとに、
美容クリニックやそこで働くドクター、そして患者さんに必要な心構えについて僕なりの意見をお伝えできたらと思います。

美容医療のトラブル相談件数は過去5年で2倍に!

SNSが台頭するようになった昨今、
美容医療にかかわる医師のモラルの低下については、僕も感じていましたし、苦情も相当に増えているのではないかと懸念していました。
 
しかし、国民生活センターが発表した今回のデータは
予想を上回るものでした。
 
美容医療のトラブルの相談件数は年々上昇。
2022 年度は 3,700 件に達して、過去5年で2倍に増加。
2023年度も7月末時点で、すでに1,845件もの相談があるというのです。
 
新しい美容クリニックは年々増えていますし、
マスクで顔を隠せる間に施術をしようと、
コロナ禍が美容医療の追い風になったように見えます。
 
美容医療の経済規模が拡大しているならば、
比例してトラブルも増えるのは致し方無いといえますが、
矢野経済研究所の調査によると、最近の美容医療の経済規模はデータとしては横ばいでさほど大きくなっていません。

それにもかかわらず、相談件数は倍増している……。
これは由々しき事態といえるでしょう。

クリニック側の対応の“まずさ”が明るみに

国民生活センターのレポートの相談事例を見ると、
金額の問題やインフォームドコンセントを含めたクリニック側の対応のまずさが明るみになっています。
 
・広告では安い金額なのに、カウンセリングで他の施術も勧められ、結果的に高額になった。
 
・「今やらないと間に合わなくなる」「今、やったほうがいい」と、その日のうちに契約と施術を迫られた。(医療の世界でこのような営業をするとは……)
 
・リスクや副作用の説明を十分にせずに施術され、ひどく腫れてしまった。
 
個々のドクターはこのような手口はいけないことだと認識していても、クリニックのトップが指示している場合もあるでしょう。
 
また、モラルのない経営をしているクリニックを辞めたとしても、
そこで育ったドクターがその経営手法を受け継ぐ場合、
悪徳な芽を根絶することは難しいでしょう。

美容医療にトラブルや苦情が多いのはなぜ?

美容医療で苦情やトラブルが多くなる背景にあるのは、
美容医療がビジネス的な要素が濃い分野であることが挙げられると思います。

サービスの品質や相場がわかりにくく、
患者さんの知識と医師の知識に解離があります。
また、美容クリニックに訪れる患者さんは美容医療が初めてという方が少なくありません。
 
広告では安価なのに、実際に患者さんがクリニックを訪れて、カウンセリングをするなかで、アップセルしていく手法が発生しがちなのです。
 
保険診療(疾病診療)は治療費に基準があり、治療方法もある程度決まっています。
「医療は収益が目的ではない」という考えが前提にあるので、
クリニック側にとっては経営が苦しい現状はあるものの、
誰もが同じ基準で治療を受けられるところが、保険診療の良いところです。
 
一方、美容は自由診療なので、値段も術式も自由です。
埋没法だけとっても、バリエーション豊富で20種類以上あります。
 
美容医療ドクターのモチベーションは
保険診療よりも高い収入にあることは確かかもしれません。
それに伴って 、治療費は高額になりがちです。
(もしくは不当に安価に提供するところもあります。)
 
クリニック独自の治療が常態化し、医療の質の担保が難しいのが
美容医療のデメリットと言えます。
 
また、近年のSNSの普及で、フォロワー集めの自己アピールに注力するあまり、医師のモラルの低下が気になります。
 
フォロワー数が増えているだけなのに、自分に技術があると錯覚する医師も増えているようにも感じます。

ドクターだけなく、患者さんへの啓蒙も重要

ドクターたちが誠意を持って適切な治療をすることが、最も重要ですが、患者さんにも、悪徳美容クリニックを見極める選別眼が必要です。
 
聖心美容クリニックでも、被害者がこれ以上増えないように
患者さんたちに対して、正しい美容クリニックの選び方を啓蒙していかなければならないと考えています。
 
ひとつの試みとして2019年に公開したのが「Dr.Beast(ドクタービースト)」のWEBムービーです。
 
モラルに欠ける美容クリニックを、「Dr.Beast」として擬人化したもので、
悪徳な手口の特徴と被害事例を紹介しつつ、正しい美容医療クリニック選びのポイントをわかりやすく解説しています。
 
そして、医師の説明を十分に理解した上で施術を受けること、
受けようとする施術が本当に「今、必要なものか」を冷静に判断することが重要であると呼びかけています。
 
患者さんは「その場」での契約を踏みとどまるだけでなく、
その後どのようなアクションを起こすかを考えることも大切です。
 
クリニック側がインフォームドコンセントのなかでリスクを説明せず、良いことしか言わなければ、一度自宅に戻っても「やっぱり契約してみよう!」と思ってしまうかもしれませんよね。
 
クリニックが良いことしか説明しなかったら「何かがおかしい」と感じ取り、クリニックを選び直すなど、患者さんが正しい行動を取れるための情報が必要だと思います。
 
クリニック選びの判断基準のひとつが、受けたい治療の相場を知ることです。
もし、相場からかけ離れた金額を提示されたら要注意。
同時に“安いものには理由がある”ことも考慮するべきでしょう。
 
とはいえ、施術料金の適正を患者さんが判断するのは難しいですから、
相場がわかる一覧表のようなものが作成できるといいと思います。

インフォームドコンセントでは十分な説明を!

クリニック側の姿勢が重要なのは言うまでもありません。
医師はインフォームドコンセントのなかで、
患者さんに対して、いいことばかりではなく、合併症やリスクについてもきちんと伝えるべきです。
 
また、うまくいかなかった場合、どうするかのフォローアップまでを説明する必要があると思います。
 
患者さんはドクターの前では緊張してしまいがちなので、聞きたいことはあらかじめメモして、照らし合わせながらドクターに質問することをおすすめします。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
 
美容クリニックは「美しさ」とともに患者さんの「幸せ」を提供する場所。

聖心美容クリニックが「とことん真面目に、美容医療。」というスローガンを掲げているのも、安心、信頼、納得、安全、満足を何よりも大切なものと捉え、その心構えがなければ、美容医療の発展はありえないと考えているからです。
 
ビジネス要素の濃い美容医療業界にいる僕たちは、
常に自分たちの姿を顧みて、正しい医療提供者としてのあり方を追求していく使命があると思っています。


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