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不思議で小さくて愛しい人

いつだったか、友人に今やりたいことを聞かれた。
それは、仕事や制作活動についてのことだったのだと思う。もちろん仕事でもやりたいことはあったけど、その時、一番やりたいことは、「自分の子どもに会ってみたい」ということだった。

それから月日が流れ、幸運にも我が子に会えることが現実になる日が来た。自分の体から小さな人が出てきた。
出産は、本当に鼻からスイカを出すくらい痛いと聞いたことがあって、すごく怖かったけど、私の場合は、助産師さんと看護師さんに言われるままに、ただ素直に、息を吐き、息を吸い、息を止め、力んで、を繰り返したら、出てきた。それは、スポーツトレーナーに声をかけられながら、ただ必死に過酷な筋トレをしているような、そんな感覚だった。
そして、意外とあっという間だった。立ち会った夫は、感動するつもりだったのに、そんな時間もなく、ただ呆気に取られたと言っていた。シワシワの小さな人は、一瞬目の前で見せてもらい、すぐさま別室へ行ってしまった。処置室に残された私は、胎盤を取ったり、会陰切開した部分を縫われたりした。会陰切開も痛そうで怖いと思っていたけれど、出産の際は、なんだか分からなくなっていて、いつ切られたのかも分からないような感じだった。ただ、出産が終わるとドーパミンが減るのか我に変えるのか、その切開部分を縫われているのがやけに辛かった。なんとなく縫ってるという行為を想像すると怖かった。その時間が一番長く感じられた。

そんな出産を経て、出てきた我が子はもう2歳である。歩けるようになり、言葉も少しずつ増えてくる。ママ、ママと小さな手で、私の手を引いてくる。かわいくて愛しい小さな人。せっかく作ったご飯を食べなかったり、なぜかコップをひっくり返して床をベトベトにしたり、お風呂を嫌がったり、思うようにいかないことも多いけど、柔らかい頬とキラキラな目で笑っているのを見るとこちらも嬉しくなってしまう。
今は、ママと一緒に遊びたいお年頃だけど、そのうち、友達と遊ぶ方が楽しくなって、そのうち、親を疎ましく思う日がいつか来て、そして、一人旅立ち、家を出て行く日が来るんだろうな。簡略化しすぎだろ、とつっこまれるかもしれないけど。

毎日があっという間で、一日、一週間、一ヶ月が一瞬で過ぎ去ってしまう怖さを感じる時もあるけれど、今、この時間を大切にしなくてはと思う今日この頃です。

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