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ラヴクラフトがやって来る

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ひょんなことからラヴクラフトのアウトサイダーを翻訳することになったのだが、これがなかなか癖のある文章でオドロ面白い。しかしセオリー重視の翻訳AIにはいきなり匙を投げらてしまって…。
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ラヴクラフトがやって来る⑤

ラヴクラフトがやって来る⑤

 翻訳者の妻と私が興味に駆られて、ラヴクラフトの短編「The Outsider」を翻訳し始めた話の5回目です。
 昨日からは、いよいよ本文部分の翻訳に入ったわけなのですが……ここで大きな発見がありました。
 なので今日は一旦ここで話が横道に逸れることになるんですが。

 ──その前に、少し著作権について触れておこうと思います。

 昨日、原文の英語文を引用した記事を書いてから「原文をそのまま引用し

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ラヴクラフトがやって来る④

ラヴクラフトがやって来る④

 翻訳家の妻とラヴクラフトのクトゥルフ小説を翻訳しながら、その翻訳意図と思考プロセスを綴っていくシリーズの第4回です。

 今回からいよいよ「The Outsider」の本文の翻訳に入ります。

Unhappy is he to whom the memories of childhood bring only fear and sadness. Wretched is he who looks

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ラヴクラフトがやって来る③

ラヴクラフトがやって来る③

 DeepL翻訳がこっそり裏でサボっていることがわかった私達夫婦は、気を取り直して最初からしっかりと原文を見直していくという方針に転換することにしま──。

妻「それってあなたが、機械翻訳でサボろうとしていたアテが外れて一人でがっかりしていたってことだよね?(ニコニコ)」

 そ、そうとも言いますね、はい(震え声)

妻「下訳を機械翻訳でやっても、それを鵜呑みにしないで一単語ずつきっちり見直してい

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ラヴクラフトがやって来る②

ラヴクラフトがやって来る②

 そんな訳で。

 ラヴクラフトのアウトサイダーを自分達で翻訳することになった私達夫婦ですが、他に良い訳が無いかどうか調べなかったわけではありません。
(念のために申し添えておきますが、これは何もラブクラフト全集の当該箇所を翻訳していらっしゃる大瀧先生が「悪い訳」である言っているわけではありません。文学的には素晴らしい翻訳だと私達も思います。ですが、今回はラヴクラフト自身に興味を持った中学生に「作

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ラヴクラフトがやって来る①

ラヴクラフトがやって来る①

 ヤァヤァヤァとか言いたくなってしまいました、ごめんなさい。

 今回の話はひょんなことからラヴクラフトのアウトサイダーを翻訳することになった話だったりします。翻訳家をやっている私の妻が大きく関わってくる(というか妻のほうがメインの)話なので少し妻の話から入ります。

 いきなり身内贔屓な感じで申し訳ないんですが、私の妻はなんと言いますか──私なんかにはもったいないくらいの人でして個性的で非常に面

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