穏やかな夜
全部忘れてしまっても
ちゃんとそこに
底に生きていた
あまりにも
低い背丈で
文句ばかり
満たされない思いばかり
やせ我慢
見栄
卑怯
逃避
影が何重にも重なって
底なしの闇の奥に──
あの頃僕はいた
少し離れて
少し浮かんで
痛みを忘れる
時間には
そんな作用があると
思ったりする
また沈むかも
それもまたいいと
他人事みたいに
穏やかな夜
眠れなくても
慌てない
穏やかな夜
眠たくなるまで
起きていてもいい
嵐に難破した
船が身を寄せる
小さな島に
月は昇る
すべては景色
そんな
穏やかな夜
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