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都市農業と社会正義

ボンジュール

久しぶりの投稿になります。修士論文は突破して採用されたのですがそこからまだ手直しがたくさんあり、書き直し再提出、書き直し再提出を繰り返しやっとこさ終了しました。

とはいってもまだ今学期の授業がまだたくさん残っており、全ての論文とレポートを提出し終わる4月後半までは気が抜けません。

noteの投稿がかなり滞っていてので久しぶりに書いてみようと思います。今後はブリコラージュやフランスでの生活もそうですが、農業や環境問題の面でもインプットしたことや気づきなどを書いて行けたらと思っております。よろしくお願いします。

さて今日のテーマは「都市農業と社会正義」です。Urban Agriculture は2000年くらいから徐々に世間で認知されるようになり、2010年以降はAI、IOTなどの開発、また都市開発と✖️農業 への投資の規模の拡大などに伴いかなり勢いがましてきました。

実際に日本でも多くの都市農業計画が進んでおり、街中に畑を設けてグリーンかを推進する動きや、植物工場、ユニークなものではビルの屋上での米づくりなどその他さまざまな都市農業/アーバンアグリカルチャー が存在します。東京都・青山の 「バケツ稲」の例は有名な例です。

都市農業は街のグリーン化が話題にあげられがちですが実はそのほかにもさまざまな機能を持ちます。


- 環境を守り、街並みをきれいにする環境資本としての機能                -  野菜を中心とした新鮮な食べ物を作る機能
- 農業を体験することで食や農についての学び場としての教育的機能
- 地域の人や農家と交流しふれあいの場を作る社会的な機能
- 災害時に周辺の住民を守る防災としての機能

実際に2020年にアーバンアグリカルチャーの会議「世界とし農業サミット」開かれ、サミット期間中とくにキーワードとしてとりあげられた内容が「貧困対策」「コミュニティを育てる拠点」「気候変動」「都市緑化」などでした。ここからもわかるようにSDGs の17の目標にそってマッピングをしていることがわかります。


農業都市の役割としての食の供給源をつくりだすことはもちろんあるのですが、都市に住むひとびとが都市農業を通しての活動をしながらグリーンインフラをひろめていこうということが伺えます。つまり自然環境がもつ自然的資本の機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方の普及活動として都市農業を育てていこうという動きが見られます。

海外に目を向ければアメリカや欧州を中心に都市での農業化はどんどん進んでいます。例をあげるとフランス・パリではパリ市長号令のもと市内に計100ヘクタールの都市農園を整備する動きが既に進んでおり、2020年には世界最大級ともいわれる1.4ヘクタールの屋上農園が開園します。

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具体的な例としてはAgricoolというグループはパリ中心部のベルシー公園にある輸送用コンテナの中でイチゴを生産しています。最近では、研究開発オフィスと生産拠点をパリ郊外のラ・クルヌーブにある16,000平方フィートの工場に拡張しました。農薬や遺伝子組み換え作物を使用せず、水や養分の使用量を90%削減し、再生可能エネルギーのみを使用することで、従来の農業に比べて120倍の生産性を実現する「新しい食料栽培の方法」であることをアピールしています(「Agricool-notre-histoire」)

ここでとりわけ注目すべきなのが Renewable energy(再生可能エネルギー)を資源エネルギーとして使用していることで、従来のAgri business、都市農業との大きな違いはここにあります。


これまでは農薬を使わない、遺伝子組み換え肥料などを使用しない都市型農業は存在しましたが、エネルギーは再生可能エネルギーを使用するまで技術が進歩しておらず、かつ生産性コスト面でもかなり厳しい状況でした。

しかし技術面での開発と環境面への配慮を考慮した政府の支援、きちんとした研究により蓄積された過去からのデータをもとに本当の意味で産官学が体現できている技術革新だと僕は思っています。

社会的な面ではフランスでは2015年に、パリ市が採択した過去5年間の「持続可能な食の計画 - Plan Alimentaire Durable - 」が主に学校給食の調達だけに焦点を当てており、持続可能な食の戦略として都市部での生産を対象としなかったことから抜本的な改革と見直しが行われ、教育的な配慮と食料安全保障の面での大きな変化がありました。

https://metropole.rennes.fr/sites/default/files/file-PolPub/PAD-engagements_2017-2018.pdf

それ以降はアロットメントガーデン、教育ファーム、スクールガーデン、養蜂活動などを対象として、緑地の管理を通じたコミュニティ形成にも大きく着手され「食育✖️コミュニティづくり✖️都市農業」のめんでの大きな成長が見られたそうです。

フランスの都市農業での環境面、社会面それぞれふたつの例や日本での都市農業の再生エネルギーの導入と大きな技術革新の発展はここ数年のことです。

まだまだ社会正義に関して見直す点は多くあるとされていますがその点に関しても技術革新のみに頼るのではなく政策的支援、コミュニティづくりの推進の産官学すべてがあわさらなければ多方面での成功とは言えません。

最近の評価では、都市農業の生態系サービス(食料生産を含む)の潜在的な経済価値は、2010年のドル換算で世界全体で88~1640億ドルと推定されており(Clinton et al.2018)、 また「ハイテク」都市農業への投資が収益性を示唆するならば、急成長するCUAセクターが強力な経済的リターンを生み出すという期待が少なくとも存在します。


スケーリングのことを考えれば大きな企業がぐいぐいと引っ張っていきステークホルダーと国の支援によって促進はなされることは当たり前のことなのですが、それよりもベンチャー企業や、中小企業などがそれぞれの技術をだして独占的なモノカルチャーにしないことがサステイナブルな都市農業の未来かと僕は考えます。

小規模農家さんたちが丹精をこめてつくったそれぞれの野菜や果物、畜産業での食の伝統やストーリーがあるように、entrepreneurship(起業家活動)をどんどん推進していくことが個性を殺さない多様性かつ持続可能な未来であると思います。

自分が実際にその分野に1プレイヤーとして参入するかは別として非常に興味がある分野なので今回こちらの記事を書かせていただきました。

また今後も頑張って更新していきますのでよろしくお願いします。


A bientôt







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