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手を後ろに組む人は、なにか隠しことをしている。おばあちゃんを介護している謎の男性とは...

もう10年以上前の話だ。たまにコンビニに行くと、Hさんと会っていた。
「こんにちは、お元気ですか?」
Hさんは笑顔でそう言うと足早に家に帰る。おばあちゃんの面倒を見ないといけないから家に早く帰るのだろうか?
40代半ばの男性でおばあちゃんと一緒に暮らしている。目はキョロキョロと周りを見ながら早口でしゃべる。長ズボンのスソが靴まで5㎝ほど足りてない。そんなHさんだが、やさしい口調で年下の僕にも敬語でしゃべりかけてくる。

おばあちゃんはあまり体調が良くないらしく、Hさんがご飯を作ったりして介護しているらしい。
ご両親は県外に住んでいて、複雑な家庭のようだ。
別の日、コンビニの外でHさんとばったりと会った。買い物を終えた後だった。
「Hさん久しぶりです。お元気ですか?」
「元気よーきんじょうくん、しっかりと食事してますか?1人暮らし大変でしょ。...じゃあお疲れ様です」
早っ!ぼくのことがキライなのか?Hさんに対してわるいことは何もしていません。なぜだ!おばあちゃんの具合がわるいから急いで家に帰るのは、まあわかる。しかしコンビニの前で会ってすぐに家に帰ろうとするのはオカシイ。待てよ、なぜかHさんは白いビニール袋を後ろにして両手でかかえている。

またまた別の日。Hさんとコンビニの前で会う。今日は早くもビニール袋を持ったまま両手を後ろにしている。あやしいー。ますますあやしいー。絶対に何かかくしている。万引きか?Hさんはそんな人じゃないと思いたい。


「Hさん、今日もたまたまお会いしましたね。買い物ですか?」
Hさんは曇った表情で早く帰りたそうな顔をしている。
いや、今日は見逃さないぞ!もし、万引きをしてたら犯罪だ。やさしそうなHさんだからこそ、そういうのはダメだ。
「そうです、買い物です...。おや、雨が降りそうだ、帰りますね、それじゃあ」
「そうですね、ぼくも帰ります」
ぼくは後ろにふりかえって帰るフリをした。すぐさまHさんを見ると両手で後ろのズボンから何かを取り出した!いや、ベルトと肌着の間だといっていい、その何かを取り出した瞬間、ぼくは目を凝視させた。下着の女の人が表紙になっている雑誌だった。まぎれもなくエロ本だった!


Hさんは万引きというよりは、大の大人がエロ本を買っていることに恥ずかしさを感じていたのだ。
レジでエロ本を買った後にぼくに突然出会うという謎のルーティンにびっくりしていたのかもしれない。
そんなシャイなHさん、介護も大変でしょうけど、どうか体を休めてください。

冒頭にお伝えしましたように、手を後ろに組む人は何か隠し事をしている。
そのとおりだったでしょう......
いつの日かお会いしましょう。では、さようなら

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