中国4000年の歴史はチャーハンの音で分かる!

あれは今から12年前のことだった。

仕事でクタクタになり、アパートに帰って晩飯を食べるとすぐに寝た。ザァーザァーと、おおきな音が聞こえてパッと目を覚ました。

おかしいなぁ、窓を開けて外を見ても雨は降ってない。よく耳をすましてみると雨音に似た音は隣りの部屋から聞こえる。

なんだ!火事か?

急いで玄関を開けて、隣りの部屋を見た。すると中国人夫婦で仲良くチャーハンを炒めていた。それにしてもチャーハンの火力の強さたるや。

大雨が降ったと思って飛び起きたらチャーハンを炒めている。なんだろう、びっくりして起きて隣りの部屋を見たら夫婦仲良くチャーハンを炒めてる光景のギャップたるや。

目があったのであいさつをすると、笑ってチャーハンをおすそ分けしてくれた。自分の部屋に戻って食べてみると、絶妙に美味い。

やはり火力の問題なのか?業務用コンロを使っていたと思う。あの丸型のフライパンはとてもデカかった。女性なら片手で持ちあげられないだろう。

その日から中国の方と交流が始まった。向こうが餃子を持ってくると僕はちんすこうを渡す。僕が島酒を渡すと向こうは八宝菜を渡してくれる。最も近い国際交流だ。

しかし、別れの日は訪れた。

僕が猫を飼っているのを大家さんにバレた為だ。となりのスーパーに捨てられていた子猫を部屋に入れると、愛情がわいてしまってそのまま育てていた。大家さんには猫を捨てるか出ていくかどっちかにしてと言われた。

隣りの中国の人に猫の鳴き声は聞こえていたのかもしれない。バレてはまずいと、ベランダで僕が猫の鳴き声を発していたのもバレバレだったかもしれない。

引っ越しの準備をしていると中国の奥さんが寂しそうにこっちを見ている。

「ヒッコシデスカ?」

「はい」

僕は両手で手のひらを猫の耳の形にして、おでこに持っていき

「キャットソーリー」

おじぎをして謝った。

中国の奥さんは笑って

「ガンバッテクダサイ」

と言ってくれた。

チャーハンを食べると今でもあの夫婦を思い出す。









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