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バイデン政権が中東を再び戦場にする

バイデン政権は、中東を再び戦場にしようとしているようだ。トランプ政権が成し遂げたアブラハム合意は、中東に平和をもたらした。このアブラハム合意が、バイデン政権の最初の標的となった。バイデン政権は、前任者が遺した平和というかけがえのない贈物を破壊しようと目論んでいるようである。このことは、バイデン政権の高官の人事からも明らかである。バイデン大統領によって国家安全保障会議のインテリジェンス担当ディレクターに指名されたマヘル・ビタルや、CIA長官に指名されたウイリアム・バーンズについて、以下に述べることにしたい。

バイデン政権がアブラハム合意に加えた最初の一撃は、F-35戦闘機のUAEへの販売の凍結である。バイデン政権は、トランプ前大統領によって開始された外国への主要な武器販売のいくつかを一時的に停止した。停止された取引に中には、F-35戦闘機のUAEへの販売が含まれている。[1]

米国がF-35戦闘機をUAEに販売することは、アブラハム合意の見返りとしての意味を持つ。それは、イランのテロリズムに対する抑止力として、戦略的にも重要な意義を持つ。この販売を停止することによって、バイデン政権はイスラエルとUAEとの間の同盟関係に揺さぶりをかけているのだ。

バイデン大統領が中東を再び戦場にしようと企てていることは、バイデン政権の主要な高官の人事からも明らかである。

バイデン大統領が国家安全保障会議のインテリジェンス担当ディレクターに指名したマヘル・ビタルは、反イスラエル学生運動グループの活動家だった。パレスチナ・アメリカ人で、弁護士の資格を持つビタルは、テロ組織ハマスによるユダヤ人殺害を支持する左翼グループの活動家だった。この活動家が、ホワイトハウスとインテリジェンス機関の間で情報を調整する責任者になるのだ。当然、この活動家は、最高度の機密情報を知ることになるだろう。[2]

この学生運動の活動家は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) の職員を務めた後、オックスフォードの難民研究センターで論文を書いていた。ビタルは、イスラエルの防御壁を「隔離壁」と見なした。イスラエルの「国家としての政治的な存在は、パレスチナ人が土地と国家を持たないことの原因である」と、ビタルはある論文に書いた。「イスラエルが彼らの帰還権を拒絶していることは、持続可能な解決を見いだすことの主要な阻害要因であり続けている」とビタルは述べた。ここで、パレスチナ人の帰還権とは、イスラエルを破壊することを意味している。

この人事は、ホワイトハウスと米国のインテリジェンス機関がイスラエルの敵になることを意味する。オバマ政権の時と同様、イスラエルを支持する議員たちは、スパイではないかという偏見の目で見られることになる。イスラエルにとっては極めて深刻な危機である。

オバマ政権時代に、イスラエルはワシントンからの情け容赦ない圧力と敵意に直面しながらも、何とか持ちこたえてきた。バイデン政権の下で、イスラエルはオバマ政権時代に経験した以上の激しい圧力と敵意に向き合わざるを得ないことになりそうである。

バイデン大統領はウイリアム・バーンズをCIA長官に指名した。驚いたことに、このバーンズは、2018年の春の叙勲で旭日大綬章を受賞している。以下、キャロライン・グリックの先週末の論説に基づいて、CIA長官になったウイリアム・バーンズが、米国政府の外交政策において、どんな役割を果たしてきたのかを振り返ってみたい。[3]

オバマはバーンズを指名し、イランとの秘密の核交渉に当たらせていた。この秘密交渉は、イスラエル、サウジアラビア、UAEの知らないところで行われていた。この交渉の結果として、2025年までにイランに核兵器の保有を可能にする2015年イラン核合意が成立した。その合意は、イランの体制がウランを濃縮することを許可した。その合意は、イランの弾道ミサイル開発計画には触れていなかった。その合意は、国連の査察団が入ることのできる場所を決定する権限をイランに与えた。しかもその合意は、1,500億ドルもの直接の報酬をイランに与えた。その内の17億ドルは現金だった。

オバマがイランとの秘密交渉の担当者としてバーンズを指名したことには、合理的な理由があった。バーンズには、イランを優遇しながら、イスラエルに不利益をもたらしてきた経歴があった。ジョージ・W・ブッシュ政権時代に、バーンズは国務省近東問題担当補佐官を務めていた。当時の同僚たちによると、バーンズはシリアとイランに制裁を課すことに反対していた。バーンズはイエメンへの制裁を阻止していた。バーンズはまた、ミサイル技術管理レジーム(MTCR) に違反することになるという偽りの主張によって、イスラエルのアロー・ミサイル防衛システムの開発を妨害しようとしていた。

2000年9月に、パレスチナ人はイスラエルに対する大量のテロ攻撃を開始した。道端での投石や銃撃から爆弾による自爆テロ、ミサイル攻撃に至るまで、イスラエル国民は、毎日毎日、残虐なテロ攻撃を受けていた。パレスチナ人がこのテロ戦争を開始したのは、2000年7月にキャンプ・デイビッドで開催された平和サミットで、平和と国家の地位に関するイスラエルの提案をパレスチナ人が拒絶した後のことだった。にもかかららず、2001年にバーンズは、当時のブッシュ大統領を、パレスチナ人の国家の地位を支持する最初の大統領にするために尽力していた。バーンズのパレスチナ人支持は、バイデンのチームのメンバーの間で広く共有されている。

バイデン大統領が国際開発庁長官に指名したサマンサ・パワーもまた、オバマ政権の高官として、イスラエルに敵対しながら、中東の不安定化に関与した経歴を持つ。キャロライン・グリックがTelegram に投稿した記事に基づいて、国際開発庁長官に指名されたサマンサ・パワーがオバマ政権で何をしていたかを振り返ってみたい。[4]

バイデン次期大統領によって米国国際開発庁(USAID) 長官に指名されたサマンサ・パワーは、オバマ政権で国連大使と国家安全保障会議担当補佐官を務めた。

2011年、リビアのムアンマル・ガダフィがすでに米国にとって主要な脅威ではなくなっていたにもかかららず、パワーはスーザン・ライス、ヒラリー・クリントンと一緒になって、ガダフィの打倒を要求し続けた。オバマは、ガダフィを打倒するためにEUの介入を支援した。このオバマの決定において、パワーは重要な役割を果たしていた。その結果、どうなったか。アルカイダが台頭し、リビアは落ち着きを失い、部族間の内戦が始まった。欧州には難民が群がった。2012年9月11日にはベンガジで、米国大使と3人のアメリカ人がアルカイダのテロリストによって処刑された。9年後の今も、リビアにおける内戦は猛威をふるい続けながら、アフリカ北部と地中海東部を不安定にしている。

米国の国連大使の職務にあった時、パワーは国連安保理決議2231を作成した。この決議2231は、国連憲章第11条の下での拘束力のある国際合意として、イラン核合意を定着させた。この行動は憲法違反であった。なぜなら、それは条約を批准する上院の主権を否定していたからである。それは故意の行動だった。

パワーはまた、2016年12月の国連安保理決議2334の成立の主要な原動力としての役割を果たしていたと言われている。この決議2334の一節は、エルサレムとユダヤ・サマリア地方における1949年停戦ラインを越えたすべてのイスラエル人のコミュニティと軍事施設に「目に余る国際法違反」というレッテルを貼っている。そこには西壁が含まれている。もしかしたら、あなたはその西壁を歩き回ったことがあるかもしれない。(もちろん僕はそこを歩き回ったことがある。)

1990年代に旧ユーゴスラビアでの戦争についての書物を著した時、パワーは左翼の王者だった。『地獄からの問題提起』という本のタイトルのせいで、「ジェノサイド娘」と愛情を込めて呼ばれるようになった。しかし、人権のために闘う偉大な戦士であった彼女も、オバマ政権における国家安全保障会議の高官の時には、シリアにおけるアサドによる虐殺に対しては、まったく何もしなかった。イランのごますりであるバシャル・アサドは、スンニ派が多数の自分の国を破壊するために、何十万人ものシリア人を殺害していた。

トランプ政権が達成したアブラハム合意は、中東に平和と安定を実現した。ところが、バイデン政権の顔ぶれを見る限り、中東は再び不安定になりそうである。日本の四国ほどの領土しか持たないイスラエルは、バイデン政権の敵意に直面しながら、持ちこたえていかなければならないのだ。

[1] https://www.startribune.com/us-puts-hold-on-foreign-arms-sales-including-f-35s-to-uae/600015721/

[2] https://www.frontpagemag.com/fpm/2021/01/biden-puts-anti-israel-bds-activist-charge-nsc-daniel-greenfield/?fbclid=IwAR0o0Y0lxMPuEON7cZGeFacymWFyT1LExdvFyNe6-D8yPCIa1wmlrqiKLVU#.YBBpU6naqlQ.twitter

[3] https://www.israelhayom.com/2021/01/15/israel-goes-back-to-the-future/

[4] https://t.me/carolineglick/20

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