外国勢力からの改憲の働きかけ、自民党改憲草案

外国勢力からの改憲の働きかけ

・降伏文書に調印して日本が主権を喪失した後、GHQが主導して「民主化」「非軍事化」を柱とした憲法草案を作成、公布後、米国の対外戦略に沿った形で、占領方針が「反共路線」に変更。
・米国はアジアにおいて朝鮮半島やベトナムで戦争を遂行、日本を軍事拠点として利用するには日本国憲法の「民主化」「平和主義」が邪魔に。
・日本では米国の世界戦略に追従する国家運営がされ「民主化」「平和主義」軽視。
・米国政府は自由民主党を密かに支援するだけでなく、労働運動から共産党の影響を排除するために、日本労働組内総評議会(連合の前身)の設立を支援、自由民主党優位の2大政党制(55年体制)が確立。
・湾岸戦争の際には、米国は日本に同盟国として戦争協力・派兵を強く要請。
・2000年には、アーミテージナイレポートで有事法制、集団的自衛権を提言。
・2005年と2007年に、経団連が改憲について提言。
・2012年に「民主化」「平和主義」を大きく後退させた改憲草案が自民党から発表。

日本国憲法第九条の成り立ち

日本国憲法第九条の原点は、国連憲章の敵国条項。
・日本を含めて第二次世界対戦で連合国と戦った国々が、再度他の国を侵略、またはその意思があると認められる場合は、国連安保理に諮らずに、他の国は軍事的制裁を科すことができる、という取り決め。
・主権回復を目指して、新しい憲法を制定する際に、敵国条項があり、国際社会から受け入れられるには、平和主義を掲げざるを得なかった。
・戦力保持できるように改憲すると、周りの国から見れば、他国を侵略する意思があるのでは、と解釈される可能性。

日米安保条約・日米地位協定・日米合同委員会

・日米安保条約・日米地位協定・日米合同委員会は、元々朝鮮戦争があったときに決まった枠組み。
・戦時下に日本を全土基地化、自由使用したいという米国の思惑が背景。
・裁判権の適用除外、基地権、つまりどこでも基地を作れる。
・さらに自衛隊の指揮権に関する密約がある、という情報も。
駐留米軍が日本にある限り、米国の軍事行動に伴って日本が攻撃の対象になるかもしれないという問題と、在日米軍の巨大な特権(裁判権の適用除外、基地権、自衛隊指揮権)が生まれて、日本の属国化に繋がって、主権(=自分たちのことを自分たちで決める権利)を制限。
日米合同委員会で在日米軍と日本の官僚が密約を決める。米軍をバックにした官僚の影響力が強くなる。

自民党改憲草案

自民党が2012年に公表した改憲草案では、平和主義・国民主権・基本的人権の尊重の内容が大きく変化。
国防軍を創設。
・緊急事態条項を織り込み国民主権や基本的人権を制限。
・日米同盟に基づいて海外において戦争が可能に。
・現憲法において、主権者として国政上最高の地位が国民にあることが保障されている。実際には国民の主権行使が制限されている欠陥があり、国政が民意を十分に反映しているとは言えない。
・関連法が未整備のため国民の主権行使が制限されている状態を改善せずに、国民の権利を今まで以上に制限する意図を、自民党は明確に説明していない。自民党改憲案は主権者にとってメリットが不明確。

硬性憲法、軟性憲法

憲法の条文の内容が包括的であれば、改正しなくても様々な政策を実行可能。
・逆に憲法の条文の内容が国政の詳細をある程度規定していれば、改正しないと必要な施策が実行できない。
・政府がやるべきことは時代・環境によってちがう、条文の規定が包括的な方が、外部環境の変化に対応しやすい。条文の規定が包括的な硬性憲法の方が優れている。
・現行の日本国憲法は、国民が主権(参政権)を行使して、民意を国政に反映させる枠組みを規定。
(実際は国民主権が制限され、民意を国政に反映できていない、前述)
・日本国憲法の各条文より上位にある概念、前文で規定されている「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を変える必要がある時に憲法を改正すればいい、それ以外では改憲するメリットはない。

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