愛犬の話(まさかの後編)

昨日のつづき、です!

ただ、あまりに状況についていけず「一体どうなっているんだ」と姉に助けを求めたところ、「そういう話は少し前からあったよ」との返信が来て、やはり段階を踏んだ末の来店だったのか少し安心した。姉はいざというときに頼りになる。
同時に、一番末っ子の私にその話が回ってきていないことに少し拗ねた。末っこあるあるかもしれないが、私は家族の中では未だに幼稚園扱いされているのだ。山椒は小粒でもぴりりと辛いんだぞ。集中力が半分に削られたまま映画を見て、ペットショップに向かった。

「この子だよ」
ケージの隅っこで丸まっている「要検討の犬」は、想像よりもさらにちっこかった。かわいいのだけれど、「かわいい!」というよりは、ちっこくて、弱々しくて、ころころしているなあという印象の方が強かった。

本当に、このちっこい生き物が家に来るのか。私はそう思うとさらに不安になったけれど、父と母はどことなく嬉しそうだった。というか、すでに犬にメロメロだった。

詳しい話を聞くうちに、「犬を飼う」ということが現実味を帯びてきた。
店員さんに詳しい話を聞いていたら、犬を抱っこする流れになった。友達の犬を抱っこしたことがあったので、意外とすんなり私の腕におさまった。

犬は弱そうに見えて意外とタフで、ふわふわしていてあったかかった。目を見ても、しかと私を見てきた。思わず、「フフッ」と笑ってしまった。
その時に、ふと思ったのだ。この子が家に来て、新しい生活が始まるのも悪くない。新しく小さな弟が生まれた姉の気持ちって、こんな感じなのかもしれない。こうして私も姉も犬を飼うことに賛成して、次の日には正式に飼うことが決まっていた。

後から聞いてみてもよく分からないのだけれど、母はかなり策略を練って、父親をペットショップに自然に連行し、そこで父が犬に一目惚れしたらしい。母の手腕は侮れない、恐ろしい。

あれから4年ほどが経ち、あんなに弱そうだった飼い犬は、今や我が物顔でソファに寝転がってしょっちゅうごろごろしている。警戒心のかけらもなく、本当の弟のよう。
今から思い出しても、本当に訳の分からない流れだったけれど、家に帰ってきてふかふかの首元を触ったり、散歩に行ったり、抱っこするのは本当に癒される。環境と気持ちが整っていれば、飼い犬と戯れるほど幸せなことはないと、ここに明記したい。

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