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「冬は冬をたのしみ、春は春をたのしむ。かわりがわり来れば、それをたのしめばいい。」

水を見た時は水の美しさを感じればいい、
花の美しさを見た時はその美しさ許(ばか)りに
気をとられるのが本当の人間だ。
春もいいが冬もいい、冬もいいが春もいい。
どっちもいい、冬は冬をたのしみ、春は春をたのしむ。
かわりがわり来れば、又それをたのしめばいい。

   ─ 武者小路 実篤 ─(『幸福者』)

「20世紀の名言」からの引用です。


その時その時を楽しむ。その時その時の良さを感じる。
私はこれができてないんだよなぁ。


秋が深まってきて、紅葉シーズンも本格化し、本格的な冬が間近に迫ってきている。今年はラニーニャ現象で、厳冬になると気象予報士が言っていた。

日本には四季折々の美しさがある。春は花見を楽しむ人でにぎわい、夏は海や山のレジャーが増え、秋は紅葉の行楽シーズンとなり、冬はスキーやスノーボードで雪山に行く人が増えて、鍋のおいしい季節になる。季節ごとに綺麗な景色があって、旬の食べ物がある。季節ごとに楽しみがある。

季節が移ろっていくなんてことは自分じゃどうしようもない事実なんだから、次の季節が来たらワクワクできる方が人生得できると思う。でも、私は春から夏になる時は、「もう暑くなるのか。虫も出るし、嫌だな」と思ったり、夏から秋になる時は、「秋は涼しくて好きだけど、こんな急に寒くなったら冬を越せないよ」と思ったりする。

「やったぁ、夏だー!どこに行こうかな」「ようやく冬だー!スノボ行きたい」と思えたらいいのに、夏は暑すぎて冬の寒さを恋しく思い、冬は寒すぎて夏の暑さがマシだと思う。今を楽しめないのは、つくづく損な性格だなと思う。


季節だけじゃなくて、その他でも今を楽しめていない損な性格だと感じる。

よくそれを感じるのが、一緒に働く人に対して。同じ時期に働いている時は、相手の嫌な部分が目につきやすい。初めはニュートラルな気持ちで接しているつもりなんだけど、何か嫌なところを見つけると、自分と合わない部分ばかりが気になって、どんどん苦手になっていく。

でも、一緒に働かなくなると、相手の良いところを思い出すようになり、「いい人だったな。もっと仲良くしたかったな」と思う。「あの時、険悪な雰囲気になったけど、もしかしたら私の言い方が悪かったのかな」と自分を反省する余裕が持てたりする。

転職についても、辞める時は少なからず不満があって、新天地への期待を膨らませるんだけど、いざ転職すると、「前の職場だったらこうしてて楽だったのに」とか、「前の職場は気の合う人が多かったな」とか思う。さらには「転職までしなくてもよかったのかな」とまで思ったりする。

ちょうど先日、前の上司から「みんなで飲んでるけど、来る?」と連絡をもらった。上司と部下として働いていた時は、そんなに好きな上司じゃなかった。職場の人と距離を縮めすぎるのが好きじゃないというのもあるけど、当時はあまりその上司になついていなかった。でも、今となっては、いい上司だったんだと考えが変わった。思い返せば、他の人はみんなその人を慕っていた。だから、今でも思い出して連絡してくれるのがとても嬉しい。


過去を懐かしんでばかりいるよりは、今を楽しめる方がいい。ネガティブなところに先に目が行きやすいという思考回路になってるけど、意識的に、今の良さに満足できるような思考回路に変えていきたい。意識的に。




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