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「僕たちの若い頃は情報も少ないし、何もなかった。何で戦うかといったら、言葉だったと思う。」

僕たちの若い頃は情報も少ないし、何もなかった。何で戦うかといったら、言葉だったと思う。だから背伸びをした。いろいろな物事に対して問題意識を持って、本質的なことを歌おうとした。この年でこの歌詞を書くのか、というような言葉。必死に言葉を探して、もともと自分の中にないものでも、自分の感情と言葉で強く訴えた。
   小田和正

Yahoo!ニュース オリジナル 特集


毎年楽しみにしている小田和正さんの「クリスマスの約束」という音楽番組。今年も番組表にその名前を見つけて嬉しくなっていました。

好きなんですよねぇ、小田和正さん。

小さい頃から親が家で流していたオフコースの曲をよく聴いていたし、「ラブストーリーは突然に」をはじめ、ドラマやCMでもあの声を長年耳にしている。

やっぱりあの声はこの世で唯一無二。誰にも真似できない。高くて透き通ったあの声は、感動的でドラマチックな世界観を見せてくれる。

他の人の楽曲をカバーしても、どれも小田さんのオリジナル曲かのように聞こえる。

恋愛系の歌詞も多いのに、「クリスマスの約束」のMCでは辛口で毒舌なところもあって、たまに棒読みしたようなMCも好きだ。


オフコースや小田さんを好きな理由は、声やメロディーだけではない。
歌詞も心に直接訴えかけてくるものが多い。

君が思うよりきっと僕は君が好きで

オフコース「YES-YES-YES」

終わるはずのない愛が途絶えた
(中略)ちがう きっとちがう 心が叫んでる

あなたに会えて ほんとうによかった
嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない

オフコース「言葉にできない」

愛したのはたしかに君だけ そのままの君だけ

オフコース「さよなら」

こんなことは今までなかった
ぼくがあなたから離れてゆく

オフコース「秋の気配」

挙げていくとキリがなさそうなので、オフコースのベストアルバムからの引用でとどめておきます。




この記事を読んで、小田さんが歌詞に向き合った姿勢が垣間見えて、また好きになった。

今はインターネットを通じて世界中の音楽に触れることができるので、昔よりもジャンルの幅も広がっているし、使っている機材の効果も広がっているんだと思う。

外国の言葉で、意味や響きのかっこいい言葉も取り入れやすくなっている。

SNSで他の人の体験談にアクセスすることもできるから、そこからインスピレーションを得て歌詞にするアーティストも多い。

今は取捨選択が難しいほど情報が溢れてるけど、昔はそこまで情報が多くなかった。だから、自分の中にある言葉を増やすために、自分から情報を探しに行って、咀嚼して、自分のものにしていかないといけなかったんだろう。


歌詞に音を乗せて、もしくは音に歌詞を乗せて、1つの楽曲に仕上げる。
それが人々の心に届き、何年も歌い継がれていく。

特別な才能ですね。


「関ジャム」という音楽番組が好きでよく観ているんだけど、その中で、「最近の曲は、海外の楽曲に日本語を乗せているだけで、音と歌詞が一体化されてない」という感じのことを言っていた。「昔のJ-POPの良さが失われている」というようなことを。

小田さんは「クリスマスの約束」で若い世代ともセッションをするんだけど、インタビューの中でこんなことも言っている。

若い人たちと楽しくやるには気力も必要で、そこにたどり着くのは毎回大変だけどね。今の若い人たちの音楽は、ファルセットを自在に使って、コード進行も面白くて、音がすごく飛んだりする。最初はタネも仕掛けも分からない感じだった。昔は音楽についての情報がそんなになかったけれど、今の人たちは知識もノウハウも豊富で、達者な人が多いね

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それに、アナログからデジタル化が進むことについて、こんなことも言っている。

なんだかんだ言い訳してるけど、音の進化についていく気もなくて。でも、音はきっとまだまだ変わるでしょう

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50年以上も新しい楽曲を生み出して世に送り出し続けている小田さんだからこそ、肌で感じている音楽業界の変化がある。

音楽の変化を敏感に感じ取りつつ、それを知ろうとしつつも、時代に迎合しない。それが小田さんの音楽がいつまでも色あせない理由なのかもしれない。

かっこいいなぁ。




「才能が枯渇するのでは?」という質問に対しては、こんなことを答えている。

常に枯渇していますよ。そこから始まってるから。また同じこと書いてるなって思うこともある。でもちょっと角度を変えただけで、全く別のものになったりするからね。昔は冗談半分に、『湧き出てきちゃうからなあ、参ったなあ』とか言ってたけど(笑)。自分を勢いづけるつもりで。だから、それを演じてもいいんだよな。

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私のnoteのネタはすでに枯渇している。「同じこと書いてるな」と「もうそのネタは書いたし」と思うことがすでに頻発している。

でも、ちょっと角度を変えてみると、前に書いたものとは違うネタになったり、まったく別の新しいネタにつながったりする。

小田さんと比べるなんておこがましいけど、「自分を勢いづけるつもりで、演じる」というのに共感です。勇気づけられます。




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