ていたらくマガジンズ__82_

【桃】逆噴射小説大賞2019 セルフライナーノーツ

 よくきたな🍑

 10月8日から逆噴射小説大賞2019が開催されておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 去年は毎日ひねり出して投稿していた逆噴射小説大賞ですが、今回は『ひとり5本まで』のレギュレーションとなり、僕自身は「5発撃つ」を目標に掲げ、チャレンジしてきました。

 昨日、ようやく初志貫徹で5本目の投稿が終わったので、ここで一度振り返ってみようと思います。

 それでは行ってみよう!

1本目 「よろず屋サカズキ」営業中

メインジャンル:よろず屋モノ
サブジャンル:九十九神、妖怪、怪異、(将来的に)対人荒事
人の命:軽くない(人死は基本ナシ)
文字数:800文字
投稿日:2019/10/08 15:03
あらすじ:
 ──この酒、味がしない。
 苦労して手にした幻の酒。なぜだか「目の前の白い盃でだけ味がする」という状況に戸惑いつつも、引き続きそれを飲もうとしたら……その盃が、喋った!?

◆きっかけ

「酒は器によって味が変わる」という話を居酒屋でしていて、そこから逆に「その器でないと飲めなくなる」ってのはどうだろう、という発想から生まれたお話です。それだけだとつまんないので、僕の好きな九十九神を絡めてみました。

 結果として、「酒の味がしない」という謎を呼び水にして九十九神を出し、謎は解決したものの事態はより面倒な方向へ……というパターンで組み上げてみました。

◆内容/キャラクターについて

 この盃の九十九神の名前はまんまサカズキちゃんです。彼女のキャラクターイメージはグラブルのユエルちゃんですね。声もあのまま。きっと主人公をたくさん振り回しつつ、事件を解決していくことでしょう。

 主人公の酒の好みは僕自身と合わせました。多分美味しいお酒を飲んでも「おいしい」っていうだけなんだけど、それでも好きなものは好きなんですよ!

◆裏話

投稿時点では「九十九神の万事屋さん」という名前だったんですが、色々と考えた結果変更し、このタイトルに至ります。

「まぁ期間長いし、ぼちぼち撃って行けばいいかなー」と日和見していた僕でしたが、10月8日に日付が変わった瞬間に大量の作品が投稿されてるのをみてこうしちゃおれんと慌てて書き上げたんですよね、この作品。

 その後、期間中に色々と悩み続けた結果、慌ててつけたこのタイトルも納得が行かなくなって、変更という流れ。レギュレーション的にアウトかどうかは明記されていないので怖いけれど……。

2本目 狩屋咲ミカコの豊かな新生活

メインジャンル: ……なんだろうねこれ?
サブジャンル:ギャル、巻き込まれ、荒事
人の命:軽い(人がたくさん死ぬ)
文字数:800文字
投稿日:2019/10/11 08:00
あらすじ:
 目を覚ますと、そこはトイレの個室だった。飲みすぎた。吐きそう。
 そんな中、外から聞こえてきたのは……ギャルの声! ……まさかここ、女子トイレ!?
 迫りくる社会的な死! 神様助けて!
 ……しかし事態は、更に厄介で物騒なことに──

◆きっかけ

 会社でトイレの個室にはいったら、女モノのイヤリングが落ちててマジで焦ったんですよね。その時はもちろんシラフだったから良いけれど、酔っ払ってたらガチ混乱しそうだなぁと思ったところから。

 トイレってかなり特殊な空間で、音はすれどなにも見えない、というサスペンス向けの場所だなと思ってます。今回みたいに「ゴキン」とは聞こえないまでもなんか変なときする時ないですか? 僕は以前「ずるるるるっ」て聞こえたことがあります。びびった。

◆内容/キャラクターについて

 主人公は「普通の冴えない酒カス」を書こうとしてこうなりました。酔っ払ったときの思考回路って大体こんなもんだよね。

 ギャルたちについては都市伝説に聞く合コンなるものの最中の、これまた都市伝説に聞く集団トイレ作戦会議タイムをイメージした会話を書いてみたんですが、実際こんな会話してるんですかね? 「あいつ絶対ヤリチンだよ」とか言われてたらと思うと怖すぎん?

◆裏話

 前日までの真剣素振りの期間中に「なんでもない話から急に治安が悪くなる」感覚を掴めていたこと、そしてボンズ殿こと遊行剣禅さんのエンド・バイ・デイライトを読んで「社会的な死と物理的な死の危機の共存ってやべーな」と心底思ったので、そのあたりを混ぜ混ぜした結果出来上がりました。

 なおタイトルにも名前のある通り、作中に出てくる「ミカ」ちゃんがヒロインです。でも主観はあくまで「俺」なので、彼女の豊かな新生活を「俺」が眺める、涼宮ハルヒ方式になる予定。座して待て!

3本目 神器戦士ミツマナコ

メインジャンル:ヒーロー
サブジャンル:伝記、荒事
人の命:軽い(ぽこぽこ死ぬ)
文字数:800文字
投稿日:2019/10/17 20:45
あらすじ:
 遥か昔、創生の時代。人々は自然の中に神を見出し、崇めた。
 神の力を借りる依代、神器。それを悪用し、人々を支配する者あり。
 立ち上がるは、三つの目を持つ神の戦士!
 ──世は乱世。神器を振るい、天下を救え!

◆きっかけ

 過去の幻覚記事で設定だけ書いた「神戦士」シリーズをこの機会にひとつ形にしようと思っており、その中で選んだのがミツマナコでした。実は「神型戦士リーゼント」「神拳戦士ツクモシャイン」あたりも候補に入っていたんですが、どちらもあらすじは微妙に公開してあったため今回の対象に置ける「未公開のパルプ小説」に引っかかるかなーという懸念から除外。まぁ神型戦士〜はネタ枠になる可能性もあったからね……。

 とはいえそこからが結構大変で、「神器戦士」という名前の通り三種の神器が出ること、そしてそれをミツマナコが行使して戦うことは考えていたものの、それ以外は世界観設定も含めて完全にゼロだったのでそこからの検討に……。さらには文明強度的に特撮の王道でやろうとすると不自然になっちゃうトコとかも出てきてさぁ大変!

 回り回って最終的に無銘さんのアイデアもお借りして、地方豪族があれこれやってる感じの世界観にしようと決め、さらに事件の幅を持たせるために、1話1話をミニマルな、小さな村での出来事にフォーカスすることにしました。毎回毎回「これは……神器の仕業か?」とか言って首突っ込んで最終的に「はぁ……今回も違ったかぁ……」となるようなイメージですね。

◆内容/キャラクターについて

 お読みいただいた方はわかるんですが、主観者たる「僕」は「ミツマナコ」ではありません。怪人側の存在です。

 本物の「ミツマナコ」である「黒い男」のほうは、無頼漢にしてみました。他の作品で正義の心溢れる奴らは書いてるので、ちょっと違うことしたくなったというのもあるんですが、彼の使う武器=神器のひとつを斧と定めたことにも由来してます。がっはっはと笑いそうな男が大斧持ってるの好き。

 黒い男を主観視点にするとどうにもやりづらくて(後述)、その結果生まれたのが主観者たる「僕」でした。要するにこの子ひどい目に遭うために生まれてきたわけなんですが、書いてるうちに「この子自身も成長するような話にしたいな」という思いも強まってきてるので、そこ辺は色々と変えるかもしれません。

◆裏話

 この話はマジで難産でした。今年イチ難産でした。後述する通り「変身!」で終わるのを避けようという思いがあったのと、同時に他の参加者のパルプを読みすぎて急性パルプ中毒を発症し、「パルプ感を出さなきゃ……出さなきゃ……」となっていたのとが合わさり、赤信号が連続してしまう事態に。辛かった……。

 解決のきっかけは上述の通り無銘さんから「乱世」のアイデアをもらえたことに加え、思い切って視点を黒い男から「僕」に変えてみたことも奏功しました。

 やっぱあの、色々“わかってる”主人公だと主観視点は逆に難しいですね。読者が「!?」となる設定も主人公は平然と受け止めちゃうので、そのあたりの齟齬が大変(これは「阿吽昇天」を書いてる時も思っていました)

4本目 好奇心は猫を伸ばす

メインジャンル:サスペンス
サブジャンル:都市伝説、妖怪
人の命:比較的軽い(モブは軽率に死ぬ)
文字数:800文字
投稿日:2019/10/21 19:59
あらすじ:
「最近のプリクラって全身撮れたりするもんだから、中でトラブルがあっても気付かないんだよね。……おや、すごい汗だね? ダメだよ、プリクラは笑って映らなきゃ」
 そう言った彼の唯一の誤算は、私が人ではなかったということだろう。

◆きっかけ

 ネタが浮かばんー浮かばんーと言っているときにTwitterのタイムラインに「プリクラ」の文字が流れてきて、「…………プリクラミミック!」と天啓を得てから2時間くらいで初稿ができました。なんだよプリクラミミックって。

 元々プラクティス時に書いた「その仏頂面を崩すな」が超上手くいった実感があり、ああいうのを本戦でもやりたいなーと思っており、この都市伝説みたいなアイデアと混ぜたら面白そうだなと思って書いた次第です。

◆内容/キャラクターについて

「仏頂面」では犯人がひたすら喋って呪い受けた宣告されて終わり、という形でしたが、本戦ではもうちょっと物語がこう動くよ、というのを示したいなーと思っておりました。

 結果として「犯人の思惑通り殺したけど、思惑と違って死んでなかった」というパターンにしようと思い立ち、手持ちの不老不死者の手札の中から猫又のタマちゃんに頑張ってもらうことにしました。飼い主のコージくんも人外の想定なんですが800文字には書いてません。今後をお楽しみに!

◆裏話

「神器戦士ミツマナコ」のとき同様結構悩んでいた時期だったのもあり、誰かに読んで欲しいなーと思っていた矢先、ワイフと馴染みの居酒屋に行くことになったので、「飲みながら読んでよー」とお願いしてみたという裏話。

 結果として、サスペンス風なわりに犯人が説明しすぎとか、もっと得体の知れない存在にしたほうがゾワっとするとか色々と指摘をもらって大幅に加筆。最終的に二人とも納得行くものができ、無事に投稿に至りました。いやぁ、字下げくんがなかったら詰んでた。

 ちなみに更に裏話なんですが、実はこれ以外にも何本か未公開のものを読んでもらったところ、どれも良い反応がなく、結果として「好奇心猫」以外は全て没になりました。……が、翌日シラフでそいつら読んだら「やべぇ微塵も面白くねぇ」と思ったんで客観的意見はマジで大事だと痛感。危ないトコだった。

5本目 阿吽昇天:‪装震拳士グラライザー(68)

メインジャンル:ヒーロー
サブジャンル:ジジイ、共闘、背中合わせ
人の命:比較的軽い
文字数:800文字
投稿日:2019/10/27 21:29
あらすじ:
 装震拳士グラライザーこと千寿菊之助の目の前に、過去に菊之助が倒したはずの悪の総統、人造人間リュウが現れた。
 彼は神妙な面持ちで頭を下げ、ある人物を助けてほしいと告げる。
 しかし──彼が挙げたのは、50年前にリュウ本人によって殺害された、"おやっさん"の名前だった。

◆きっかけ

「最後の一発」というプレッシャーはかなりのもので、本当になにを書くかずっと悩み続けていました。ある意味1年間の集大成なわけですしね。

 そうして悩む中で、やっぱり初期衝動とか書きたいものってのを全面に出していこうと決意。そうして最初に出てきたのは「触媒ファントムガールさん」で、そこからヒトリボッチ革命戦争が生まれたわけなんですが、これはもう二次創作に該当しちゃうんで(インスピレーションで片付けるには無理があった)プラクティス行き。さて他の初期衝動は……と考えると、「やっぱヒーローだよな」というところに落ち着きました。

 やっぱりここでも「ヒーローが変身して終わり」は避けたかったので苦労したわけなんですが、3日ほど前に「退役ヒーローと幽霊JKの話」というアイデアが降ってきてコレダーッと書き始めました。降ってこなかったら正直やばかった。

 そこから紆余曲折を経て、退役ヒーローは現役のジジイヒーローに、幽霊JKは過去の怪人総統に姿を変え、阿吽昇天が生まれるに至りました。

◆内容/キャラクターについて

 主人公・千寿 菊之助のキャラクターイメージは、グラブルのイングヴェイさんです(まぁあそこまで性欲強くないけど)。イケオジ。

 一方の怪人・人造人間リュウくんは、見た目は28歳くらいのお兄さんで考えています。彼の背景(秘密結社イザナギ)とかも色々と考えてはいるものの、それは追々明かされるので今は秘密です。

 ジジイヒーローにお呼びがかかるという展開を考えたとき、その必然性はなんだろうなぁと思いを巡らせた結果出てきたのが「最強の宿敵」と「おやっさん」の2要素でした。そして、最強の宿敵は主人公の影であり、「つまりおやっさんが世話を焼けば良い奴になるのでは?」とスパークした結果がこの話です。おやっさんすげーぜ。元気でいてくれよ。

◆裏話

 投稿の直後に凄い勢いでご冥福をお祈りされてめちゃくちゃ笑いました。みんなジジイが大好き。

 退役ヒーローとJK幽霊の話は別途公開しますが、最初「立花徳次郎を殺して欲しい」という話で書いていたんですよ。「うおー面白そうじゃんー!」と思いながらウキウキで投稿準備してたんですけど、ふとそこで去年の優勝作品のことを思い出して「………………あぶねぇっ!?」となってやめました。危なかった。本当に危なかった。

 ちなみにJK幽霊の発想元はここからきてます。インターネット滝行の産物ですね。

全体を通して

ていたらくマガジンズ (82)

 ジャンル的にはヒーローが2本、九十九神/妖怪が2本とめっちゃ偏りました。多分そういうフェチなんだと思います。両ジャンル共にちょっと考えたことをまとめてみます。

◆ヒーローものについて

 今回、「ヒーローが登場して「変身!」で終わる」パターンは意図的に避けるよう心がけていました。特撮の第一話では絶対やることなんだけれどね。

 理由は、すでに『碧空戦士アマガサ』でやっていて、差分がつけづらいなーと感じたためです。映像なら変身後のビジュアルで差がつくのだけど、小説だとそうもいかないので……おかげで、結構悩みました。ミツマナコとか特に(上述)

◆妖怪ものについて

 こっちは量だけなら割とすんなり書けた一方、800文字でなにをどこまで表現するかというところにすごく悩まされました。妖怪によって引き起こされる現象はそれだけで超常現象なので、起きた事象を説明するだけでも結構字数取られるんですよね……。

 結果として「九十九神」では「酒の味が変わった」ということだけど、「好奇心猫」では「死んだけど生き返った」ことだけを記述するに留めて、理由とかは読者の想像に委ねることにしました。後々明かされますけどね。

 ……とこんな具合に、妖怪もヒーローもある意味では「なんでもあり」なものだけど、モノの名前や話の流れ、ジンクス、そう言ったものの縛りを良くも悪くも受けてしまうジャンルなので、挑戦しがいがありました。楽しかったー!

 その他の色々な思いの丈は別の記事にまとめたので、よかったら読んでってください。

今後の連載について考える

 今回応募した5作品は、いずれも「長期連載できそうな話か?」を念頭に置いて執筆しました。結果として、5本中3本は長期連載できるフレームワークに収まりっています。

 例えば「よろず屋サカズキ」や「好奇心猫」は依頼や事件の内容を変えればいくらでも話が作れるし、「ミツマナコ」も訪れる村と神器を変えて色々な話を作れる感じです。

 一方でちょっと不安なのは「ミカコ」。これはなんか短編として終わりそうな気がするけど、ミカコの“新生活”次第では色々と展開ができるかも。要検討ですね。

 また「阿吽昇天」に関しては、「装震拳士グラライザー(68)」シリーズとしての構想はあるものの、内容については若干悩み中だったりします。

 そんなこんな踏まえて、今後連載したいなぁと思っている作品は以下の通りです。

◆すでに連載しているもの

 碧空戦士アマガサ #碧空雨傘
 トレンチコートとモッズコート #トレモズ
 黄昏二丁目三番地 #黄昏二の三
 刻命部隊クロノソルジャー #刻命クロノ

◆まだこれからのもの

 バリバリライトニングエレクトリックサンダー! #バリサンダー
 神戦士ミツマナコ #ミツマナコ
 「よろず屋サカズキ」開店中 #よろず屋サカズキ
 好奇心は猫を伸ばす(※連載版タイトル検討中)

◆悩んでいるもの
 狩屋咲ミカコの豊かな新生活 #ミカ活
 阿吽昇天 #グラライザー

わざわざ横にハッシュタグをつけているのは、自分が連載するときに忘れないようにするためだよ! カシコイ!

 ご覧の通りめちゃくちゃ多いです。どうしようこれ。

 思いついたものを思いついた順に書いてやれるほど器用ではないので、書きためて徐々に放出→その間に他のを書く……という流れでやってく必要がありますね。

 とはいえ出したからにはぜひやりたい。というか僕自身がこの物語の続きを読みたい!

 連載順序等は検討中ですので、お楽しみに。

いじょうだ

 残すところあと3日。コロナ取れるかはわかんないけど、僕の弾丸が誰かの急所を撃ち抜いていたら良いなと思っています。

 今日からは作品を読みつつ、アマガサ5話を始め色々と構想を立てていくよ! オタノシミニ! ちゃお!

▼宣伝▼

①逆噴射小説大賞2019を数字で見てみようってことでまとめました。

②素振りした作品たちもあるので、そちらも合わせてチェック!


🍑いただいたドネートはたぶん日本酒に化けます 🍑感想等はお気軽に質問箱にどうぞ!   https://peing.net/ja/tate_ala_arc 🍑なお現物支給も受け付けています。   http://amzn.asia/f1QZoXz