イッツ・ア・グッド・ホリデー 第1話
俺は今、10歳くらいの少女を脇に抱えて裏路地を走っている。
ああ、勘違いするなよ。誘拐犯とかではない。断じて。俺はフリーの殺し屋で、今日はオフで、街で昼からビールを飲もうとしていた。で、店のテラス席に座ってタバコに火を点けた時、どういうわけかこの娘がテーブルの上に降ってきたんだ。俺は意識がない彼女を抱き起こし、声をかけていたのだが…
「いたぞ!」
後ろからの声に、俺は回想を中断する。さっき俺に銃を向けた奴の仲間だろう。黒服の、おそらく中国人。
走る速度をあげるため、少女を肩に担ぎ…俺はそこで初めて”それ”に気付いた。
「なんだこれ? あいつらのシュミか?」
少女の尻から、尻尾が生えている。黒くて細長く、先端が矢のような…そう、小悪魔のアレだ。
邪魔なので引っこ抜こうと、俺はそれを掴み…
「むぎゃっ!?」
少女が跳ね上がった。
「え、これマジで生えてんの?」
それが、俺史上最悪のオフの始まりだった。
【続く】
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