刀を亡くした侍に、鉛弾の祝福を。#5 (トレモズAct.2)
前回のあらすじ
満身創痍のシトリに、襲撃者の女がとどめを刺そうとしたその時、救世主が現れる! それは店のバーテンと、モッズコートの格闘家であった! 店のバーテンは熱線によって灼き尽くされたが──?
「ッ──!?」
「シャァッ!」
放たれたアッパーカットを、ツインは辛うじて仰け反り、回避! しかしモッズコートの追撃は止まらない! 拳が、蹴りが、手刀が、頭突きが、ツインを襲う!
「ぐっ……この!」
それらを辛うじて捌ききり、ツインは反撃の蹴りをモッズコートに叩き込む。しかし──
「ォォオオッ!」
その背後から、衝撃!
「なぁっ!?」
ツインは背後に視線を投げ、驚愕の声をあげる。そこにいたのは──先ほど灼き尽くしたはずのバーテンであった! 上半身の服が燃え、岩のような肉体が露わに──否、その肉体は、岩そのものである!
「ご、ゴーレムだと!?」
「私は不死身の<岩窟族>だ!」
ツインが驚愕の声をあげる。咆哮と共に放たれたバーテンの拳が、ツインの鼻っ柱を捉えた!
「ごぱァっ──!?」
ツインは衝撃でワンバウンドした。力なく宙を舞うその女が飛びゆく先には、獰猛な笑みを湛えたモッズコートの格闘家が構えている。
「喧嘩を売る相手を間違えたなァ!」
彼はどっしりとした構えから、右脚で地面を踏みしめた。床板が悲鳴を上げるほどのパワーが右脚から腰、背中、肩、右肘を駆け抜け──右の拳で、爆裂する!
朧な意識の中でその光景を見て、ツインは小さく悲鳴をあげ──
「ヒッ──」
ゴッ──パァンッ!
モッズコートの放った正拳突きが、過たずツインの顔面を捉えた!
悲鳴も、断末魔すらも呑み込んで、その頭が一瞬で血煙に変わる!
頭を失ったツインの身体は、そのまま縦回転しながらモッズコートの頭上を通過。バーの床に叩きつけられ、二度と動くことはなかった。
「ふぅ」
「っ……トゥ……」
残心するモッズコート──相棒・トゥの名を呼んで、シトリの意識はそこで途絶えた。
(続く/本文696文字)
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