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松方コレクション|国立西洋美術館②~美しき愚かものたちのタブロー|原田マハ

前回、以下のようなことを書きました。
・上野の国立西洋美術館が出来たのは、戦前に松方幸次郎がヨーロッパで買い集めた松方コレクションを収めるためだった
・それを2019年に開催された松方コレクションに行って初めて知った
・そして、そのことを思い出しながら、今ある本を読んでいる

そのある本とは、原田マハさんの「美しき愚かものたちのタブロー」です。
読み終わりました。
ちょっと時間がかかってしまいましたが。

戦闘機でなく絵画(タブロー)を。
戦争ではなく、平和を。

文庫本の帯にあるこの言葉が響きます。
特に、いまだにロシアによるウクライナ侵略が継続している現在においては。
小説の中でこの言葉が出てくる場面もとても感動しました。

私は遅ればせながら、今ごろになってこの小説を読んだわけですが、本のあとがきに「この本を読んだ人がたくさん松方コレクション展に訪れた」というくだりがあり、「松方コレクション展の前に、この小説がすでに存在していたんだ」、ということを知りました。

もっと知りたくなって調べたら、この小説が発刊されたのは、松方コレクション展の会期(2019年6月から9月)の直前、2019年5月だったことが分かりました。

「直前なんだ、一体どういう経緯だったんだろう?」とさらに調べてみると、原田マハさんの公式サイトでマハさんが以下のように語っているのを発見しました。

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私のなかの大きな意義を達成するため、どうしても5月中に刊行したかった。 

—最新刊『美しき愚かものたちのタブロー』は、「松方コレクション」という国立西洋美術館の設立に繋がる一大コレクションを題材に選ばれていますが、なにかきっかけがあったのでしょうか? 

 三年ほど前に『たゆたえども沈まず』の取材で国立西洋美術館の馬渕明子館長にアドバイスをいただく機会があり、そこで2019年に国立西洋美術館が設立60周年を迎えるため、「松方コレクション」の全容を解明する大規模な調査をしていることを伺いました。以前から松方コレクションのことを知ってはいましたが、詳しく調べたことはなかったんです。なぜこの素晴らしい美術館がいまここにあるのか、自分なりに掘り下げてみたかった。設立60周年に合わせて「松方コレクション」を巡る小説を上梓することで、私から国立西洋美術館への餞(はなむけ)の一冊にしたい気持ちがありました。

詳しくはこちらを。

https://haradamaha.com/topics/20190531_964/
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私が最初に読んだ原田マハさんの小説は「楽園のカンヴァス」でした。
たった一枚の絵を軸にこんなに壮大な話を描けるんだ、と感動しました。
また、間違いなくあの小説のおかげで絵画に対する興味も増しました。

今回この作品を読んで、原田マハさんってやっぱりすごいな、アートの力ってすごいな、と改めて感じた次第です。

おわり

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