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映画「エンドロールの続き」の感想

インドの貧しい家に生まれ近所の駅で父と共にチャイ「お茶」を売り生計を立てている少年サマイ。ある日家族と出かけた映画館で見た映画に魅了された彼はやがて自らの手で映画を作る事を目指す様になる。

インド版ニューシネマパラダイスと上映前から言われニューシネマパラダイスをオールタイムベストのトップにおいてる自分としてはずっと楽しみにしていた作品を早速見てきました。

まず第1に主人公のサマイのキャラクターが良いですね。本作は監督の自叙伝的映画らしいですがまさにその監督の映画愛と子供らしい純粋さと危うさが同居した感じで。作中で映画が心底大好きになっちゃった彼がこっそり映画館に忍び込んだり時には家のお金を盗んだりで映画を見るようになる部分は少しおいたが過ぎる部分ではありますが子供がやる事と思えば愛くるしくも見えますし彼が映画から溢れる光に魅了され没頭する姿はまだ映画ファンになったばかりのあの頃の私達の姿を思い出させてくれる気がします。

そんな彼の姿をみた映写技師が条件付きで彼を映写室に毎回入れてくれる下りは確かにニューシネマパラダイスと重なる部分ではありますが人生をどう歩いたら良いのか分からなくなった主人公の姿を描いたニューシネマパラダイスと比べてこちらはインドの格差社会とカースト制度を絡めて来てる点でかなりテイストは違いましたね。主人公サマイのお父さんはインドのカースト制に順序的で映画なんて低俗な物だと決めつける厳格な父。時には悪さを働くサマイにきつい折檻も加えますがこれだけ厳しい態度を取る裏には彼が見てきたインドの厳しい学歴社会の現実や貧困があるわけで。言わば息子には俺以上に出世してほしい、それが息子に取って最大の幸福になるんだっていう強い思いの現れなんです。「今のインドは英語を喋れるか、喋れないかのどちらかの人間だ」って台詞が出てたけど今の日本も大概な学歴社会と叫ばれてますがぶっちゃけた話これっていう職種や地位に拘らなければある程度は働けて明日を生きていける日本は言うてもまだ平和やなあって思ってしまいました。サマイがそんな父との関係にぶつかりながらも子供とは思えない大人顔負けの賢さと行動力で自分の好きな事を今の自分がいる世界を変える光にしていく物語はどんなに閉ざされた世界でもやり方や努力次第で未来を変える事ができる希望を与えてくれると共に格差社会や貧困で自分の夢を諦めてしまった人達に対するエールにも感じました。映画を見終わった後は自分が映画好きになったあの頃とこれから先の映画人生に想いを馳せた。 

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