街は光が強いから

　拝啓

　暖かい日だったけれど
　夜は星が見えなくて、そうか、街の夜は光が強いから。

　コインランドリーで布団を洗いました。
　中でもつれた紐をほどいて、整えて結び直すとき
　少しだけはずかしくなってしまって　心の中で落ち着こうとして
　動物になってみて、これは大きなパンだと思い込んで、誤魔化したくて。

　洗濯ものが乾くのを気まずそうに待っている人に話し掛けたくなりながら
　我慢して、袋に布団をしまって
　出るときに思い切って

　「拡げちゃってごめんなさい」と出来るだけ朗らかな声で、ジタバタしてるわたしをみながらどうしようと思っているその人の胸の内を理解して話しかけましたという気持ちで言えたわけです。わたしにはそれがようやくです。
　その人は返事に、布団を洗うのはひと苦労という話を楽しそうに聞かせてくれました。

　帰りは重くて疲れましたよ。
　星を見る間もありませんでした。
　わたし、これまでのわたしは遠慮して何も言えなかったから、真面目に笑って話しかけているんです。

　この世じゃみんな、流れ星ですから。あたしの気持ちも、大切に扱ったら、あなたがたの気持ちも大切に扱っていることにならないだろうかと、やってみているところです。
　草々不尽

　令和4年2月1日付
　Y．J

　追伸、2月が始まったんですね。お変わりなく、あなたが夢を叶え続けられますように。

11.729光年彼方へ枯渇しても愛を湧かす