田舎暮らしの贅沢は、やはり水。
私が住んでいる国東半島は瀬戸内に突き出ており、周防灘と伊予灘に面していることもあって瀬戸内式気候の影響をかなり受けている。だから、あまり水が豊かな地域ではない。移住して2年目の夏に、一ヶ月間まるで一滴も雨が降らないこともあった。(夏場と言えば毎日のように夕立が降る関東の感覚からすると驚き。)カラカラが過ぎて蚊がいなくなったほどだった。そんな地域なので古来からの知恵で、山上から沿岸に近い集落の田畑までため池が無数にある。
それでも、高くはないが山や森は多いので水が湧いているポイントはいくつかあり湧き水を汲めるように整備してあったりする。
週に一回ほど、8ℓのポリタンクを数個車に積んで水を頂きに行っている。
水汲み場の近くには、たいてい小銭が置いてある。
同じように水を頂きに来た人達が、水源を綺麗に管理をしてくれている地域の方への謝意で置いていく。これぞ、浄銭。
水が乏しい地域だから、大事さも身に染みているのかも知れない。
すごい軟水というわけではないが、ミネラルが多めなのにまろやかでとても美味しい。その場で手ですくって飲む時が、一番清々しくて贅沢に感じる。
「どこに水汲み行ってる?」と言うのは、移住者同士のあるあるトークだ。
同じような都会からの移住者は、水を汲んでいることが多いからだ。
贅沢ついでに、車も軽くその場で洗わせてもらっている。水をかけて、タオルでざーと拭くだけだが、これが驚くほど綺麗になる。水道水で同じことをしても、カルキが入っているせいで水滴のあとがバッチリ残ってしまう。
綺麗な水と土と空気があることがいかに得難いのか、地元の人にはなかなか伝わらない。伝わらないけど、素晴らしいということは言い続けてみようかと思う。
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