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楓と美兎とシャイニーカラーズ

今僕は、昨晩のでろーんのシャニマス配信があまりに良く、一晩明けてもどこか興奮冷めやらぬ状況で、つい仕事の手を止めてこのnoteを書いている。

色々感慨深く、様々な思いもある。でろーんの話だけで色々書こうかなとも思ったのだが……
僕にとってはもう1つ、この配信がかえみとの新たな1ページになったという思いも強くあり、なので関係性オタクの1人として、その側面からnoteをまとめていこうと思う。
2人や2人のシャニ実況をよく知らないシャニマスPにもわかるように書いているので、知っている人には回りくどい表現になっているところもある。そのへんはご容赦を。

でろーんがシャニマスに沼るまで

そもそものきっかけは、委員長こと月ノ美兎さんがシャニマスの実況を始めたことだ。

(なお宣伝ですが、彼女のシャニマス配信をまとめるwebサイトを作成しています。随時更新中なのでぜひご参考に →こちら

重度のアイマスPであり、かつ、元々ノベルゲー、キャラゲー実況への評価が非常に高かった彼女の配信は好評と共に大いにバズった。続々とシャニマスを実況するVも現れて、ちょっとしたブームになった。
一方、彼女自身も配信のほとんどがシャニ実況になってしまうほどの入れ込みようで、「全員プロデュースを終えるまで担当は決めない」と公言し、23人いるアイドルを時間をかけて1人1人プロデュースしていった。

そんな中、彼女は17人目のアイドルとして樋口円香を選択。
そして、ゲストとして彼女の"相棒"樋口楓(でろーん)を誘ったのだ。

おそらく委員長は「同じ苗字だから」という以上の深い意図はなかったのだろう。
しかし、このコラボは一部のリスナーから不安視される結果となった。

なぜかと言えば……最近のでろーんといえば、天然狂人でヤンキーでキレ芸の人だったからだ。特にゲーム実況では、すぐ暴言を吐いて台パンしてキレ散らかすイメージが定着しつつあった。
だから、彼女を知る多くのリスナーが事前に想像したのはこういう図だ。かく言う僕もその一人。

しかし、いざ始まってみれば全く様子が違った。
でろーんはすぐにゲーム中のPにすっかり感情移入してしまい、悪態をつく円香に心を痛めつつも、どうにかして彼女をサポートしようと懸命に努力した。
時折見せる、委員長とは違う角度からの鋭い考察から、彼女がとても真摯に物語を読み解いている様子が伺えた。
WINGでなんとか優勝すると、まるで作中のPとシンクロするかのように感極まって泣いた。
そんなでろーんの姿など、事前にはまったく想像できなかった。

非常な高評価とともに幕を閉じたかえみとWプロデュース回だったが、話はここで終わらなかった。
翌日、でろーんがソロでもシャニマス実況を開始すると宣言したのだ。

更に翌日、始まったソロ配信の冒頭で、でろーんはシャニマスへの思いをこう語っている。

不安やってん。こういう、女の子と1対1で交流するゲームっていうの。
だけど、一昨日かな。みとちゃんのおうちでシャニマスの樋口さんをプロデュースして、あ、なんか全然違うな、っていう感じで。
ギャルゲー?とかそういうのと全然違うなって思って。
で今まですごい抵抗があったんだけど、一人の女の子の心情とか背景を読み解いていくゲームだなっていうのをめちゃくちゃ感じて。
でね。見事に沼に一歩踏み出して……ハマり出してしまったっていう感じではあるんですけれども。

配信では前半、運命の出会いガシャでお目当ての愛依のSSRが出ず、5時間以上もリセマラをするという大ハプニング。これはこれで見どころがあったが、むしろ本当の見どころは日付が変わった後の後半だった。
愛依とのコミュを進めるごとに、でろーんが入れ込んでいく様子がありありとわかった。Pに、愛依に感情移入し、愛依を勝たせてあげたいという気持ちがどんどん高ぶっていく。
結果、ソロ初プレイとしては奇跡とも言えるWING決勝進出を果たしたものの、決勝であえなく敗退した。
負けて、何度も嗚咽を漏らすでろーん。2年以上のキャリアの中で、ゲーム実況であんなに声を上げて泣く姿なんてほとんど見せたことはなかったんじゃなかろうか。

ひたむきにアイドルと向き合い、真摯にプロデュースした彼女の熱い姿に心を打たれない人はいないんじゃないかと思う。

対照的なかえみとのシャニ実況

委員長とでろーんは、界隈では「楓と美兎」あるいは「かえみと」と言うコンビ名で知られる。同じ事務所で同時にデビューし、様々な困難に立ち向かいながら二人三脚で成長し、互いを"相棒"と呼ぶようになり、親友以上の仲を築いてきた彼女ら2人のことを、この界隈で知らない関係性オタクはまずいないだろう。
先ほど紹介した2人のWプロデュース配信でも、合間に仲睦まじい姿を見せている。

バーチャルライバーの同僚という枠を遥かに超えて本当に仲のいい2人だが、更に興味深いのは、2人の嗜好や趣味、性格、配信スタイルといったものがほぼ真逆と言っていいほど違っていることだ。

委員長は元々、ノベルゲーであまり感情移入をしない。シャニマス実況では元来のアイマス愛もあってかまだのめり込んでいる方で、たとえば以前Vで流行した"Detroit: Become Human"の実況では、他のVと比べれば明らかに、主人公の3人に感情移入する様子を見せなかった。

これには悪い面もあるのだが、一方、彼女はこのおかげで、製作者の心情を見抜く能力に秀でている。神様の視点、すなわち製作者側の視点から常に物語を俯瞰して見ることで、物語の構造や描写、演出から製作者の意図をメタ読みする能力が非常に高い。
これは彼女のシャニマス実況にも遺憾なく発揮されている。世間で賞賛されている彼女の鋭い考察は間違いなくこのあたりから来るものだ。

あともう1つ言えるのは、委員長は天才肌で、かなりメンタルが強い。
大舞台でも(歌以外は)あまりプレッシャーを感じない、というのは自他ともに認めるところだ。またVとして2年以上のキャリアの中で、配信中に不平や愚痴を漏らしたり弱音を吐いたりしたこと(V界隈で言うところの「お気持ち表明」)がほとんどない。
そのためかシャニ実況でも、不安やプレッシャーに弱みを見せるアイドルの心情にそこまでシンパシーを感じていないと思われることがまれにある。
むしろ、感謝祭でのあさひの「トップを取った後アイドル活動に興味を失ってしまう不安」に共感してしまうような人だ。

一方、この2回のシャニ配信では、でろーんはその真逆を行っていた。
これ以上ないほど物語中のキャラに入れ込んで、アイドルの反応に一喜一憂していた。
考察は常に、アイドルの気持ちになって、アイドルの心情と自分を重ね合わせたところから生まれるものだった。
コミュの選択でも、歌系Vtuberとして多くのステージをこなしてきた経験から、アイドルがどう声をかけられたら嬉しいのか、アイドルの立場になって考えようとしていた。
アイドルが見せるステージへの不安、勝ち進めるかどうかの不安に強いシンパシーを見せ、アイドルに常に寄り添おうとしていた。
そして、アイドルを勝たせたい一心で、優勝すれば泣き、敗退してもまた泣いた。

(追記ですが、気になることがあったので補足を書きました:こちら

本当は、繊細で感受性が物凄く強くて、でも精神的に弱いわけじゃなくて、すごく我慢強い子

とは、以前委員長が『起立! 気をつけ! にじさんじ学園!』第1巻のインタビューで答えた樋口楓評だが、今回のシャニ実況ほど、この通りの樋口楓がここまで顕になった配信はなかったように思う。そういう意味では、シャニ実況は樋口楓の新境地とも言えるだろう。

ヤンキーでキレ芸の人ではない、本当に優しくて人間味のある樋口楓を配信で見せてくれたことに、僕は感謝をしたい。
そしてきっかけとなったシャニマスが、配信スタイルの全く違う"相棒"の委員長から渡されたバトンだったということに、関係性オタクの1人としては運命的なものを感じずにはいられないのだった。

2人のシャニにこれから期待すること

先述の通り、委員長は「全員プロデュースするまで担当は言わない」と公言しているが、それも残りあと6人のところまで来た(灯織、恋鐘、智代子、夏葉、甘奈、雛菜)。ぜひ完遂してほしいし、最終的に誰を担当にするのか、ぜひ公表して欲しい。
ここまでの雰囲気からして樹里じゃないかと勝手に予想しているのだが。

でろーんの場合、ソロ配信を始める前までは、今後続けるにしても早めに担当決めてその人中心に実況していくのがいいのでは、と思っていた。相性の合う合わないはあるだろうし、委員長のように全員プロデュースとやると、かなりの長丁場になってしまうからだ。
しかし今は、ぜひ色んなアイドルをプロデュースして、アイドルの色んな表情を見てほしいと思う。1人1人にあれだけ入れ込めるでろーんなら、どんなアイドルでもきっとうまくいくだろう。
手始めに、相当気になっていたらしい夏葉あたりはぜひ見てほしい。

そして、気が向いたらまた2人で実況して欲しい。視点の違う2人が一緒になって読み進めたW樋口回は本当に面白かったし、ぜひ違ったアイドルや、あるいはWINGではなく感謝祭だったりGRADだったり、あるいはイベントコミュを2人で鑑賞してほしい。
元々アイマスPの委員長に対してラブライバーのでろーんというやはり対照的な2人だったが、これで1つ、新たな共通の趣味ができたようだ。だから今後、シャニマスのライブなんかも軽率に2人で行って欲しいし、その感想などもぜひリスナーに聞かせて欲しいなと思う。


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