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僕の心は金脈(4月下半期のまとめ)




4月下半期は、なにもありませんでした。
いや、大学には行っていました。

麻雀で運悪くずっと飛び続けたこととマイナンバーカードを作ったこと。
あとは、寿司の食べ放題を食べたことだけです。
『The Whale』という映画も見ました。



掘り下げるような話もない、かつGWですので、少しだけ昔話をしようと思います。


名付けるなら……えーっと、あいとゆうきのおとぎばなしなんてのは、言いすぎですね。


エルヴィス・プレスリーの名曲、『The Wonder of You』からとって君の奇跡の愛ってのはいかがでしょうか。


いや、ここはやはりニールヤングの名曲、『Heart of Gold』からとって、
僕の心は金脈で行きましょう。








Surface




思えば、僕は昔から他より優れていたいという気持ちであふれていました。

早生まれで、ド田舎の汚れた島から引っ越してきて、字が汚くて、色が分かりにくくて、耳が悪くて。

他者よりも劣っているという自覚がある僕は、その自分に生まれた気持ちを否定することができませんでした。

小学生のころからインターネットに入り浸って、多ジャンルのアニメや漫画や小説を読んで。

色々なことをしましたが、そのすべての根底は、不純な気持ちでした。
もしかしたら、1/3くらいは純情な感情があったのかもしれませんが、ほとんどは他者よりも優れたいという気持ちによるものです。

そして、他者を見下していました。
いや、正しくは他者を眼中に入れていなかっただけですね。
不純な向上心は、人を盲目にさせます。

「自分はこの世で選ばれるべき存在だ」

根拠のない自信は身を滅ぼしますが、根拠のある自信は手に負えません。
たとえその根拠が正当なものではないとしても。


しかし、その自信は中学校に入ったことによって打ち砕かれました。

周りには、自分より優れた人間しかいないのです。

きっかけなんて些細なものなんです。
周りを見る余裕ができただけ。
不純な向上心に、どこか飽きが来てただけなんだと思います。

周りはみんな幸せで、僕だけは常に不幸で。

それから、夜は寝れなくなりました。
寝れなくなって、限界がきて授業中に寝て。

ごはんも食べれなくなって。
随分と痩せました。

アニメや漫画、ゲーム、小説にそれまで以上にのめりこみました。
自由な時間だけは、たくさんありましたから。
友達は多くありませんでしたし、外にはあまり行かなかったので。

インターネットにそれまで以上に入り浸るようになって。
いろんな人と話して。
プログラミングを始めて。

でも、学校の成績はずっと悪くて。
勉強していないんだから、当然ですよね。

周りだけはどんどん年相応の力をつけてきて。


世界は、僕だけを置いて進みだしていました。



PIECE OF LOVE





やがて、僕は僕という名の解けないパズルを抱え、孤独に彷徨うこととなりました。


彼女もできましたが、半年もたたずと別れました。
そこらへんは前のnoteを見てください。


そして、インターネットでは少し有名になりました。

Twitterという場末のSNSでフォロワーが5000人程度行きました。
まとめサイトにも何度か取り上げられましたが、他より優れているとは言えませんでした。

僕は、誰しもが思っているがわざわざ言わないことを言っているだけのアカウントでした。


そんな中で、僕はある人と出会いました。

身バレは避けたいので、彼のあだ名…局長とここでは呼称させていただきます。


局長は世界のすべての行く末を常に案じている人でした。

彼は会うたびに髪と目の色が変わる、30代の男性でした。

コスプレが趣味だという局長はぼくよりも10cm近く身長が高く、しがないソーシャルゲームのシナリオライターを務めているという話でした。

彼は、僕の普段のツイートを見てこういいました。


君には圧倒的に文を書く才能がない。

ただ、うまく嵌ればよいものが書ける。



局長はそうして、僕に多くのことを教えてくれました。

言葉の使い方や、書き方。

そして、普段の勉強こそが大切であること。


僕は、彼に騙されたと思って真面目に勉強してみました。

そうして、僕の成績はみるみる上がっていったのです。
僕は、置いてかれた3年分の時間に1か月で追いついたのです。


高校時代は、水曜日の夜にする局長とのディスカッションこそが僕を揺らすものでした。



しかし、コロナウイルスが蔓延し出したころ、突然に局長との連絡がつかなくなりました

なにがあったのか、僕にはわかりませんでした。

ただ、見放されただけなのか、それともすべてを教えつくしたからなのか。

答えなど、見つかるはずはありません。
ただ、僕にできるのは彼との約束を果たすことだけでした。


何かにはまる、うまいものを書かねば。



Shangri-La




そこからの日々は、目まぐるしく過ぎていった春夏秋冬。
2000年問題より、上回っていた問題です。


僕は目につく小説の新人賞に応募しまくりました。

色々と書きました。
色々と読みました。

しかし、箸にも棒にも掛からない結果ばかり。

結局のところ、才能がないんです。

講評にはいつも似たようなことばかり書かれていました。


話の流れはいいが、登場人物に魅力がない。


それはそうでしょう。
人をあまり観察してこなかったのですから。
関わってこなかったのですから。
見下してきて、され返したら逃げ続けてきたのですから。


そんなこんなで、大学2年生が半分ほど過ぎたころ、1通のメールが来ました。


入賞のお知らせ。

賞金3万円。口座を教えてくれ。


最初は詐欺かと思いましたが、作品名は確かに僕が書いたものでした。


それを見たとき、僕は思わず笑ってしまいました。



だって、それは僕が書いた中で一番嫌いな小説だったからです。


それはGL(ガールズラブ)を書いたもので、すれ違いもなく、ただ二人の女性が幸せにいちゃついているだけ。

僕の書きたいと思ったものではない。

ただ、手慰みに売れ線のきらら系やツイッターの4コマをまねて書いただけ。

僕の書きたい、大きな挫折や、陰鬱とした展開を主人公が一つずつ解決して世界をよりよくするものではない。


僕は、確かに他者より優れていました。

しかし、それを証明するには、僕自身がやりたいことではだめだったのです。

他者より優れているのを証明するのと同時に、僕は素の自分が優れていないことも証明したのです。


たどり着いたシャングリラ、楽園に僕自身の居場所はありませんでした。



WORLD END




僕はその3万円で、バイト先の友人達に知る限りで一番うまい寿司をおごってやりました。


そんな金は、直ちに僕の手元から消したかったからです。


Twitterアカウントも、炎上したので消しました。
僕の発言がフェミニズム擁護だVtuber批判だなんだ、といわれて僕のメイン支持者だった気持ちの悪いオタクたちに攻撃されたからです。


これで終わりです。

ぼくがこの6年間で得たものは、ついこの間すべて消えました。

インターネットの居場所も、物書きとしての努力も。

僕という金脈は枯れ、残ったのは心を砕くピッケルのみ。



だから、こんな僕にも仲良くしてください。




因みに局長は、児童ポルノ所持罪でしょっ引かれ、スマートフォンやPCを押収されたのでインターネットから離れていたそうです。


おしまい。








おまけ



僕がとても好きな漫画家、U-temo先生の『今日はまだフツーになれない』がGW中は無料公開されています。読んでください。


缶乃先生の『あの娘にキスと白百合を』もです。
読みなさい。


今度こそ本当におしまい。

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