失われた30年と言うけれど、定年オヤジは30年以上頑張ってきたよ
バブル崩壊以降の日本経済の停滞を、悲観的に『失われた30年』ってよく言いますよね。でも最近、そうじゃないかもしれないって話を続けて見たり聞いたりしました。
一つは経済産業省の資料。『製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性』(2024年5月)です。(第16回 産業構造審議会 製造産業分科会の開催資料とのこと。)こんなグラフがありました。
日本の製造業において、1990年代後半に比べて、純利益が約3倍に増えています。そんなに悪くないじゃない。この話は実は、営業利益はあまり増えていないけれど、営業外利益が大きく増加しているために、純利益が増えたということのようです。これは考えてみれば、日本の製造業の儲け方が30年間で大きく変化したということであって、製造業が衰退したということではないと思うんです。
ダーウィンの言葉を引いて、『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもなく、唯一、生き残る者は変化できる者である。』って言うでしょう。そう考えれば、日本の製造業はまさに変化に適応しているんじゃないでしょうか。
同じ資料に、利益率が欧米に比べて低いというデータ(下図)もあり、相変わらず伸びないね~なんて言いたくなってしまいますが、GAFAMみたいにガシガシ儲ければいいって訳ではないと思います。日本には、『三方よし』なんていい言葉がありますよね。自分だけ巨万の富を得ることが繁栄ではないです。会社の利益はそこそこでも、100年以上続く企業数が世界一という日本の特長が、ここにも表れているように思います。
もう一つが、UCサンディエゴ校 ウリケ・シェーデ教授の『再興THE KAISHA』の話。日立製作所主催の展示会『hitachi innovation forum 2024』で、教授の参加するパネルディスカッションを聴講して知りました。アマゾンの内容紹介を引用すると以下とのことで、『失われた30年』は決して日本が衰退に移行していく転換点ではなく、むしろ新しい価値観を模索してきたんじゃないかな、と思います。
アマゾンの内容紹介より:『世界が必要とするディープテックのニッチ市場で比類のない競争力を誇る日本企業。日本のビジネスは安定を重視しながらも、確実に変革を遂げてきた。「失われた30年」は、ビジネス大転換の時代だったのだ。』
だからと言って楽天的な気分にはなかなかなれないですが、それでも、不必要に悲観したり、GAFAMや中国と比較していじけたりする必要はないと思う。だって、私みたいなしがない定年雇用延長オヤジでも、30年以上の間がんばってきたもの。
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