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地方自治体組織入門(その2)

前回からの続きです。

6.土木部

県が管理する道路や河川の整備や管理を統括する部です。他にも、建設業、用地、営繕、公営住宅、都市計画、港湾などと土木業や建築業と関係が深い部局が並びます。
名前のとおり、土木職を始めとする技術職の割合が非常に多いです。また、時間外勤務も保健福祉部についで多め。
災害があると、その対応に追われます。また、台風や大雨が予想されるときは、職場に詰めて臨場体制をとります。天候次第なので、休日夜間関係ありません。
前日夜から配備体制に入って、そのまま翌朝勤務ってこともざらにあります。というか、私はその経験者です。。。
新採での初任部署が土木部の本庁でした。この災害時の配備が結構負担でした。時間外勤務手当は出るものの、急に配備が決まったりして、着替えがなくて、がーんってこともありましたね。
あと、個人の意見として元気な人がとても多い。昼休みでもちょっと時間があれば、サッカーやランニングに興じる人が多いです。土日も組合主催のサッカー大会とかに所属ででる感じです。
団結感やアットホーム感を感じるにはいいところですが、そうしたの求めていない人にはしんどいかも。

7.公営企業局

「公営企業」とは、すんごくざっくりいうと、地方自治体が運営している民間企業ですね。民間企業??って思うかもしれません。県によっては、発電用のダムや県内に立地する民間企業のために、工業用水路を整備しています。その発電事業や工業用水事業等で、電気や工業用水を企業等へ売って、その売上で組織運営しています。つまりは独立採算です。
税金の繰入は(一部例外がありますが)していません。競輪、オートレースや競艇も地方自治体が運営している公営企業だったりします。
会計については企業会計を採用しているので、「歳入」とか「歳出」とか言わずに「収益的収支」「資本的収支」とかいいます。会計も民間企業と同じように発生主義で、複式簿記です。
ここに所属する職員の社長は「知事」ではなく、「公営企業管理者」になります。独立した会社ですね。本当に。
そういった意味では、公務員だけど、財務面では民間企業のような側面が学べるのかもしれません。発電事業とかやっているので、電気職とか比較的レアな職員に会うこともできます。

8.出納局

少し昔、ここのトップは「出納長」と呼ばれるポストで、知事や副知事の次に偉い。。。という時代も会ったようです。今では・・・まあ。
一言でいうと超地味です。ざっくりいうと、県の支出の審査や公金の管理をしています。一日中書類とにらめっこです(数は膨大ですが。。。)。なので、仕事もルーティン。同じようなことばかり。
よって、定時退庁を実現しやすい所属と思います。
事務仕事が多いので、予算も少なめです。予算が少ないということは、時間外勤務の主たる要因となる予算要求事務や、予算執行後の決算事務も比較的少ないです。
ワーク・ライフ・バランスを実現するには絶好の所属でしょう。ただし、仕事の張り合いはありません。
といいましたが、自治体も最近ようやくキャッシュレス決済の動きに入りました。なかなか長い時代変わることがなかった自治体の歳入事務に動きがみられます。この所属もそうした意味では変革期を迎えつつあるのではないでしょか。

9.行政委員会事務局

ここからは少しまとめて。県には、「人事委員会事務局」、「監査委員事務局」、「労働委員会事務局」や「収用委員会事務局」というような、ミニ部局があります。
県の職員のみならず、外部の有識者による行政委員会を設けて、専門的な判断をするのを補助する部局です。
「人事委員会事務局」・・・職員の採用や公平審査、給与の決定とか行っています。国では人事院がありますが、その地方版です。毎年人事委員会勧告といって、人事院勧告の丸写しをしたような給与の水準の見直しを知事へ勧告しています。
「監査委員事務局」・・・ここは「委員会」ではなく、「委員」です。他の委員会は合議制であるのに対して、それによらないからです。合議ではなく、各委員が意見します。まあ、泣く子も黙る「監査」です。自治体よって違うかもしれませんが、監査委員事務局職員が行う「予備監査」と監査委員が行う「本監査」があります。
「予備監査」直前は大忙しです。書類をたくさん作って、当日はこってりヒアリングです。不祥事でもあろうことなら、長時間そのことについて、ずーと詰められますね。改善して、こうやっています!って言っても、そんなことやっても同じこと起こるって詰められますね。また、この事務はもっとこうやった方がいいなじゃない?っていう非常にありがたいお言葉もいただけます。
「予備監査」で徹底的に粗を見つけないと「本監査」で監査委員が的確に、非常に限られた時間で「指摘」や「指導」ができませんからね。
「労働委員会事務局」・・・民間企業の使用者と労働者が争議したときに仲介機関になります。「あっせん」とかいいますね。労働組合や労働法と非常に関係が深い業務をしています。そうした関係を勉強した方にはもってこいではないでしょうか。法律を駆使するという感じです。ただ、納得がいかない場合は、訴訟になることもあり、過去の判例を十分に検証しながら、という感じらしいです。
「収用委員会事務局」・・・「強制収用」とかいう言葉が出るときに、この所属の名前を聞くことがあるのではないでしょか。公共事業を行うために、土地の売買に応じない方に対して、強制収用の決定を行う所属となります。土地の売買は現場職員の粘り強い用地交渉を経ねばならず、それでもだめ。で、最後の最後で出てくるのがこの「強制収用」です。訴訟に発展するケースも当然あり、慎重が判断が求められます。

長々説明しましたが、いずれも激務というわけではないようです。個人的には、いずれも、非常に興味がある所属です。

【番外編】教育委員会事務局、警察本部

この2つを番外編としたのは、ここのトップが、知事ではなく、教育長や県警本部長であること、また、採用ルートが異なるので、他の部局と単純比較できないためです。
教育委員会事務局はその名のとおり、教育に関することを所掌しています。教員の働き方改革が叫ばれて久しいのですが、事務方の事務局職員も同様に多忙を極めています。特にコロナになってからは猫の目のように関係通知を発出しています。また、統計やとりまとめ事務も非常に多い。全ては子どものためとは思いますが、色々犠牲にしている感はあるような気がします。
県警本部は全くわかりません。ブラックボックスです。警察官はもちろん、ここの事務職も「警察事務」といって採用は別ルートです。
ただ、県警本部は警察署よりかは働き方改革が進んでおり、警察署より早く帰れる、休みがよりやすいとの噂も・・・当直勤務もほとんど無いし。とのことです。

短い言葉で結論を。結局どこいってもしんどそうです。業務はどんどん拡大しているのに、人は減らさている。減らなくても再任用などに置き換わって!?、偉くなるのはゴマすり野郎かパワハ・・・などの問題が起こっています。。。
私の意識がどんどん低くなっているのはこういうところがあります。

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